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【SSです】幻想でない軽業師
[268]森崎名無しさん:2018/02/17(土) 00:13:41 ID:??? オランダ留学でダーティなサッカーを学んだ妖夢 そして3年後、大事な場面でマリーシアがバレて赤紙を貰う妖夢の姿が!
[269]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/18(日) 01:42:11 ID:??? >>267 乙ありです。 オランダは思想はともかく、FW陣が高いレベルのドリブラーダイレクトシューターと妖夢が手本にすべき見本がいますね。 >>268 これにはパルスィも苦笑い 本日も更新はお休みさせてもらいます。それでは。
[270]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/18(日) 23:07:46 ID:??? 本日もお酒を飲んでしまったので、更新はお休みさせていただきます。
[271]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/19(月) 22:17:13 ID:??? 本日も更新はお休みさせていただきます。 明日には更新出来ると思います。
[272]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/20(火) 23:16:51 ID:??? 悩める者もいる一方で、留学を打診されて喜ぶ者もいる。 輝夜「……という訳でイナバ。 八雲紫から持ち掛けられた留学の件……。 今回はあなたに行ってもらう事にしたわ」 うどんげ「は、はいっ!!」 宵の帳も落ちた迷いの竹林の更に奥、まともな人間ではまず到達できないような場所に佇む屋敷――永遠亭。 ここでは主人である蓬莱山輝夜自らが、留学に向かわせる選手をじきじきに選定し、その密命を言い渡していた。 これを受けたのは永遠亭の誇る薬師――。 の見習い兼家事担当兼雑事担当兼お庭に沢山いるうさぎのまとめ役兼つまりは雑用担当、鈴仙=優曇華院=イナバである。 通称をうどんげとする彼女は、非常に元気よく返事をした。 先ほどから懇々と輝夜が留学について説明する内、もしかしたら自分が選ばれるのかもしれないと考え、 実際に自分が選ばれたのだから当然でもある。 永琳「頼んだわようどんげ。 永遠亭の未来は貴女の双肩……もとい、両足にかかっているわ」 うどんげ「は、はい! お任せ下さい師匠!(師匠にも期待されてるんだ!!)」 尊敬する師匠――永琳にも叱咤され。 てゐ「ま、頑張ってきなよ。 逃げ出さないようにね〜」 (一応)部下であり気心知れた仲である因幡てゐにはかつての汚点をしっかり皮肉られながらも応援され。 うどんげは完全にやる気に満ち満ちていた。 うどんげ「(サッカー留学……私にもこんなチャンスがようやく巡ってきた! これでやっと地味で毎日慌ただしい生活とはおさらばだ……うぅ、これまで耐え忍んできた甲斐があったよぉ)」
[273]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/20(火) 23:18:53 ID:??? 彼女も勿論、永遠亭の者たち――そして、生活自体が嫌いな訳ではない。 月の戦争が嫌で嫌で、思わず逃げ出した臆病兎。 そんな彼女を受け入れてくれた永遠亭に、感謝の気持ちはある。あるが――。 地上の人間は穢れているというエリート意識と、そんな地上で毎日あくせく働いている自分へのストレス。 それらはいかんともしがたい問題として、うどんげの心中に存在をしていた。 元々、彼女自身――サッカーについても弾幕ごっこについてもリアルガチの戦闘力でもそこまで低いものではない。 無論高い方ではないのだが、幻想郷全体の尺度で考えれば、まぁ、ギリ上位から数えた方が早いんじゃないかなというレベルである。 にも関わらず、彼女は自身が軽んじられていると感じていた。 部下のウサギは自分の言う事をまるで聞かないし(ウサギからの人望はてゐの方がある)、 里に薬売りに出かけてもあまり人は買ってくれないし(単純にうどんげの営業がド下手であるだけ)、 家事全般など雑事は全部丸投げされるし(輝夜は姫なのでしない。永琳も色々忙しい。てゐが手伝う筈もない)、 おまけにサッカーではそこそこの実力があるにも関わらず何故かいつも伏兵呼ばわりである。 名無しばかりのチームに行けば、自分だってエースになれる実力はある筈だ、とうどんげは自負していた。 ――誰だって名無しばかりのチームに行けばエースになれるとは言ってはいけない。 なにはともあれ、彼女は現状に対して小さくない不満を抱いていたと言える。 しかし、これもサッカーが上達すれば――きっと事態も好転をする筈だと考えてもいた。
[274]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/20(火) 23:20:42 ID:??? うどんげ「(名無しの妖精だってサッカーで活躍すれば人気が出るんだもん。 私だって活躍出来れば人気者になれる筈! そうすればきっと待遇だって変わってくるわ!)」 問題はどうやってサッカーの技術を高めるかである。 1人で練習をしたところで上手くなれない、上手い人に教えて貰って初めて上達すると考えていたうどんげとしては、 これが忌々しき問題であった(なお、この考えを他人に吐露した所、『情けない奴!』という感想を抱かれた)。 何せ永琳は多忙の身――幻想郷一の薬師である彼女は、常に多くの患者を抱えている。 月の天才の異名を持つ彼女にサッカーの教えを乞えれば万事解決だったのだが、 残念ながら永琳はうどんげに最低限の基礎能力を備えさせたまではいいものの、その後はうどんげの自主性に任せていたのだ。 練習を見てくれと言っても、簡単なアドバイスをしてくれるだけで大きな変化は無い。 うどんげ「(でもサッカー留学をすればきっと詳しいコーチの人とか上手い人とかに教えてもらえるはず! そうすれば私の実力なら師匠の相棒を名乗るに恥ずかしくないくらいになれる筈だよ!)」 そこに降って沸いた、サッカー留学の話。 幻想郷Jrユースとして戦ってきた彼女は、外の世界でのサッカーというものも見てきた。 そこでは多くのコーチといったものや先輩選手などが、まだ未熟な選手を指導している姿もあった。 もしも自分が同じように指導を受ける事が出来れば――実力は飛躍的に上がるだろうと考える。 うどんげ「(そう! これは間違いなく……)」 うどんチャンスなのである。
[275]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/20(火) 23:21:45 ID:??? うどんげ「(毎日の家事雑事から解放される。 サッカーは上手くなる。 私は師匠や皆に褒めてもらえる。 わぁ、一石二鳥どころか一石三鳥だ! もう人生ライン際な状態からはおさらばだよ!)」 このうどんチャンスを見逃す程、うどんげは間抜けではなかった。 留学から帰ってきた後、自分がちやほやされる姿を脳裏に描き思わず表情を綻ばせる。 そんなうどんげの様子に対し、永琳は小さく咳払いをして意識を自分に向けさせ――。 永琳「ともかくうどんげ――留学の具体的な日取りについてはまた後日話すわ。 あなたはそれまでにここでの仕事を片付け、身支度を整えておきなさい」 うどんげ「あ、そ、そうですね! わかりました!」 輝夜「話は終わりよ。 ……ところで夕餉は何かしら?」 うどんげ「今日はニンジンたっぷりのシチューとにんじんしりしりとにんじん山盛りの炊き込みご飯です」 てゐ「うどんちゃんの壮行会も兼ねるんだし、キャロットジュースもつけといて〜」 うどんげ「もう、しょうがないなぁ。 特別だからね!」 これからの輝かしい己の未来の前では、目の前の雑事など些細な事。 てゐのお願いを快く受けながら、うどんげは今にもスキップをしそうな足取りでお台所へと向かっていた。 今、彼女の中では周囲に期待されているという歓び。 ようやく地味で目立たず軽くみられるという損な役回りからの解放感。 そして敬愛する師匠に褒められるかもしれないという高揚感もある。 それだけ浮かれてしまうのも、仕方ない事なのかもしれない。 廊下を歩くうどんげの、ご機嫌な鼻歌を聞きながら部屋に残った3人はしばし無言でその場に座し。 やがてその鼻歌が聞こえなくなった所で……。 てゐ「…………アカン。 うどんちゃん、完全に浮かれとるウサ。 もう強くなった後の事考えてる顔じゃんあれ」 まずはてゐがその肩をガックリと落とすのだった。
[276]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/20(火) 23:23:19 ID:??? 輝夜「いやいや……まあ、やる気は十分だったみたいだし平気でしょ……多分」 輝夜もまた、不安そうに溜息を吐いていた。 うどんげの事を腐そうとするてゐに対し諌めるような発言もするが、そんな彼女の口元も引きつっている。 言っている彼女自身も、完全に浮かれているうどんげに不安があるのだろう。 永琳「とはいえ、うどんげしか送るものがいないのも事実だし……こればかりは」 そして、うどんげが敬愛するお師匠様――永琳もまた、それはそれは盛大な溜息を吐く。 何のことはない。 うどんげは大きな期待をされて留学選手に選ばれた訳ではなかった。ただそれだけの話である。 永遠亭という組織は、決して大きな勢力ではない。 主要とされる人物は4名であり――まず、当主である輝夜はこの屋敷を離れる訳にはいかない。 その輝夜の従者でもある永琳もまた、離れられる筈もない。この時点で2名に絞られる。 うどんげかてゐの二択となった時、どちらが永遠亭に残らないと影響が大きいか。 うどんげにとって悲しい事に、てゐの方が永遠亭に与える影響が大きい。 先にも述べた通り、配下のウサギたちが言う事を聞くのは、てゐの命令のお蔭である。 普段うどんげがやっている家事雑事なども、ぶっちゃけ誰でも出来る事だ。 てゐがその分を請け負っても――てゐの負担は大きいが問題無い。 つまりはうどんげが今やっている事はてゐにも大体出来る事だが、 てゐが今やっている事はうどんげにはとても出来ない事なのである。 よって、留学に行かせるのはもううどんげしか選択肢が無い状態であったのだ。 とはいえ、それを正直に言った所でうどんげがショックを受けるだけ。 だからこそ、こうして4人揃って会議のような形で言い渡したのである。 ……正直な所を言えば、少し考えればうどんげ自身でも自分の立ち位置というものに気づき、 選ばれた理由にも察しがつくかもしれないが――残念ながら彼女は完全に有頂天となっていた為、気づく事が無かったという。
[277]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/20(火) 23:24:31 ID:??? 輝夜「……まぁ、単純な実力を考えても私やてゐよりはイナバが行った方がいいとは思うんだけどさ」 てゐ「うどんちゃんだからなぁ……」 輝夜「ねぇ……」 ただ、彼女たちがうどんげに対して全く期待していないという訳ではない。 少しは期待していた。少しは。 実際問題、輝夜は自他ともに認める三流キーパー。 てゐもパス精度に関してだけならば一流レベルにも通用するが、それ以外はこれもまた三流といった程度。 それに比較をすれば、うどんげはまだ永琳に基礎能力を鍛え上げられている為にそれなりには強い。 ここから更に一段、二段とレベルアップをしてくれれば――やがては永琳を超える……のは無理としても。 永琳の相棒として恥ずかしくないだけの実力はつけてくれる可能性はある。 ……無論、可能性の話であり、それ以上に彼女がただうどんげである、というだけで失敗しそうな気が彼女たちはするのだが。 永琳「……賽は投げられた。 ここから先は、流石の私でもどうなるか読めない」 天才の頭脳を持ってしても、うどんげが更なる飛躍をするか否かは見当がつかない。
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0ch BBS 2007-01-24