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【SSです】幻想でない軽業師
[290]森崎名無しさん:2018/02/22(木) 10:05:31 ID:??? 少なくともシュート70はFWの数値ではない
[291]森崎名無しさん:2018/02/22(木) 16:53:55 ID:??? 謝れ!シュート70で他分野もうどんげ以下な本スレ反町に謝れ!
[292]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/22(木) 23:45:32 ID:??? >>289 人生ライン際が発動すればタックル72、カット73ですからね。 技の1つでもあればまぁそこそこ活躍出来るでしょうか?そこそこ止まりでしょうが……。 >>290 少なくともストライカーと呼ぶには低すぎますね。 >>291 なおこのスレでは魔王様になってしまっているもよう。 改めて見ても酷い数値ですねほんとに。 本日も更新はお休みさせていただきます。明日は出来たらと思います。
[293]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/24(土) 00:09:54 ID:??? 留学の話を聞いた瞬間、従者たちの想いが1つとなる組織もある。 忌み嫌われた妖怪たちの行き着く先――旧地獄を統べる地下の楽園、地霊殿。 当主である古明地さとりは、 八雲紫から受けた話を早速己のペット達(地霊殿にいる者の多くは、元はさとりのペットである)へと説明していた。 さとり「……という訳で、この地霊殿からも1人。 留学に向かわせる選手を決めなければいけないわ。 おくう、お燐、どうかしら?」 おくう「う、うにゅ! 外の世界でサッカーしたら強くなれるんですか!?」 さとり「ええ、きっと。 勿論相応の努力は必要だけど……環境に関しては、ここよりずっとよくなる筈だわ。 おくうも、外の世界の施設は見てきたでしょう?」 おくう「はい! なんだか凄そうな、よくわからないのが沢山ありました!」 お燐「(よくわからない……まぁ、おくうのオツムじゃなくても河童が弄ってそうな機械だなんだってのは、 あたい達もわからんしなぁ)」 旧地獄の一角に居を構えるとあり、地霊殿近くのサッカー施設というものは環境が整っている訳ではない。 勿論、旧地獄街道の方に比べればここら一帯はさとりの管理している場所という事もあり、 忌み嫌われ忘れられた妖怪たちが暮らすには十分すぎる設備がある。が、それでも比べればという話だ。 実際に外の世界でフランスというサッカー先進国で最先端の練習を繰り返してきたさとり。 そして、幻想郷Jrユースとして外の世界で練習を積んできたおくう。 どちらもこの地底世界ではありえない程の充実した環境には覚えがあり……。 それだけでサッカーが上手くなれる訳ではないのだが、ここでするよりは成長する可能性が高いだろうという事はわかる。 おくう「そっかぁ、今よりもっと上手くなれるんだぁ!」 さとり「………………」 無邪気にそう呟くおくうは、傍から見れば留学に乗り気なようにも見えるのだろう。 事実、彼女は幻想郷Jrユースとして戦ったあの大会の中、 まるで出番が来ず活躍出来なかった事を恥じ、悔いていた。強くなれる機会があるのなら、すぐにでも飛びつくだろう。 ただ、そんなおくうはニコニコと笑みを浮かべたまま、さとりをじっと見やるだけだ。
[294]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/24(土) 00:11:23 ID:??? おくう「(さとり様が留学に行ってくれたら、今よりもっと強くなってくれる! そして今度こそ、あの意地悪な人間を倒すんだ!!)」 さとり「………………」 心を読む覚り妖怪――古明地さとりには、おくうの心が透けて見える。 今、おくうの中にあるのは、純粋にさとりがこの留学に行き、 意地悪な人間――反町を今度こそシャットアウトするのだという確信。 そんなおくうの心から……しかし、目を逸らすようにしてさとりは矛先を変える。 さとり「お燐はどう?」 お燐「にゃっ……あ、あたいですか?」 火焔猫燐……彼女は幻想郷Jrユースに一時期選出されながらも、合宿でリタイアするという憂き目にあっていた。 ドリブルを得意とし、そのネコ科特有の俊足としなやかさを持った技術は高いレベルではあったのだが、 しかし、如何せん幻想郷Jrユースには彼女以外にも大勢のドリブラーがいた事が運のつきだった。 召集される以前の大会で負傷をしたパルスィが、驚異の回復力で実力を合宿中に取り戻した事も不運である。 結果的に、役割の被る選手が大勢いたが為に彼女は主人や友人が外の世界で戦う中、 寂しくこの地霊殿で帰りを待っていたのだった。 それだけに、今以上の力を手に入れたいという欲求はおくう以上のものであろう。 さとりの問いかけに対して、しかしお燐は困ったように俯く。 お燐「(あたいだって行きたいのは山々さ……でも、一番はさとり様に行ってもらいたいんだ。 でも……)」 さとり「………………」 彼女もまた、さとりに留学に行ってもらいたいと願う1人であった。
[295]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/24(土) 00:12:35 ID:??? この幻想郷界隈で、かつて三大キーパーと謳われていた古明地さとり。 しかしながらオータムスカイズとの戦いを経ていく内に、さとりに降りかかる罵詈雑言の嵐は日に日に増えて行った。 対戦する時は常に大量失点。 反町どころか、他の選手にもゴールを奪われる始末。 遂にはフィールダー全員を含めての、驚異の11人抜きゴールという屈辱にも甘んじた。 ……しかも、その時の反町のシュートは完全なるミスキックで――である。 古明地さとりという少女にとって、反町一樹という少年はトラウマ以外の何物でもなかった。 トラウマを操る妖怪が、トラウマに苛まれるなど皮肉にも程がある。 そしてそんなさとりは――先のフランス国際Jrユース大会において、各国へ送られる派遣選手として選出された。 幻想郷に比較をして劣る各国に対し、選手兼コーチという名目で向かった先。 まだ地位が失墜した自分でもそんな重要な役回りを任せられる程には認められていたのかと感じたのは当初だけ。 さとり……そしてその妹であるこいしが派遣された場所は、大会開催国でありながら、 一部の選手以外は世代で見てもワーストクラスの選手が目白押しの国、フランスだった。 どこからどう見ても左遷――便宜上、さとりという一勢力の主に対して形としては派遣選手の体を為したものの、 実際の所はどうでもいいその他の国を押し付けたという形だった。 これに対してさとりは心底絶望をした。 派遣選手である自分たちの力量については誰よりもさとり自身が知っている。 彼女たちは決して強い方の選手では無い――反町一樹に『凌辱』をされ、自信を完全に喪失していた彼女はそう感じていた。 事実、幻想郷サッカー界に精通する者ならば、他国に派遣された選手に比べて見劣りをすると断定をしていただろう。
[296]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/24(土) 00:13:40 ID:??? その上、フランスJrユースはキャプテンであるピエールとストライカーのナポレオン以外は、 幻想郷の各チームに所属をする妖精やら羽目玉やらバケバケやら……そういった類の選手と大差無い実力。 有り体に言って、雑魚である。 このチームで勝てる筈が無い。誰もがそう思う。だからこそ、さとりは諦めていた。 だが、そんなさとりを――2人が救ってくれた。 1人は古明地こいし……さとりの唯一の肉親であり、誰よりも大切な妹。 そしてもう1人は若林源三……さとりと同じくザルキーパーの烙印を押され、地の底へと叩き落された『元』天才キーパーである。 絶望の縁にいたさとりに対し、偶然出会った若林は――しかし、そんなさとりを軽蔑し、奮起した。 それがさとりには不思議でならなかった。 反町一樹に思うが儘に蹂躙され、今まで大事にしてきたものを奪われ、それでも尚立ち上がろうとする気概。 意地の塊のような男である若林の生き様を、さとりはまるで理解が出来なかった。 こいしについてはもっと理解が出来なかった。 弱い弱いとされていたフランスの選手たちを、おはようからおやすみまで――朝から晩まで、練習のサポートを続けた。 気まぐれで飽き性で、何よりも我儘なこいしからは考えられない行動である。 何よりも、弱い選手を鍛えるという『無駄』な行為。何故そんな事をするのか、さとりはわからなかった。 何もかもを諦めていたさとりは、その時点では既に自信どころか戦意を喪失していたのである。 ただ、それでも――泥塗れになりながら呟いたこいしの言葉を、さとりは今でもしっかりと覚えている。 さとりこそが幻想郷でも一番のキーパーだという言葉を。 今度の大会で、今度こそそれを証明して見せて欲しいという言葉を。
[297]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/24(土) 00:14:41 ID:??? ――思えば、さとりがこうして駄目になるまで、こいしとさとりは決して仲が良い訳ではなかった。 悪かった訳ではない。 ただ、こいしの性格上、姉であるさとりに対して大きな執着を見せるという事は無かったのである。 それがさとりの地位が失墜するや否や、こいしは献身的にさとりの為にと動いた。 チームを強くする為にと、フランスの選手たちを鍛え上げ、さとりを懸命に励ました。 フランスの選手たちもそのこいしの気持ちに応えようと――彼らに出来る、精一杯の努力を積み重ねた。 無論、チームの中心人物であるピエール、ナポレオンも同様である。 そんな彼女たち――彼らを見て、ようやくさとりは立ち直った。 自分たちは弱い。だが、弱いのならば強くなればいい。 弱音を吐く心を捨て去り、こいし達に支えて貰ってようやく折れない心を手に入れたさとりは――。 ただ1人で立ち向かう事を決意していた若林源三と、修練に励んだ。 ……その後、さとりは大きく成長を遂げた。 力押しに弱かった貧弱な体は、簡単には吹き飛ばされぬ程に屈強に。 相手の心を読んで行うセービングの速度は、誰よりも速く。 死のグループともされたイタリア、ウルグアイ、アルゼンチン――そして幻想郷と揃ったグループに配置される中。 それでもさとりを有したフランスは、リーグ最終戦である幻想郷との戦いを前に決勝トーナメント進出を決定づけていた。 ……結局、最後の最後で幻想郷には敗れ、決勝トーナメントでも敗退をしてしまった訳ではあるが。 しかし、他国に派遣された選手との実力の違い。 己の大きな成長という点を見せつけられたという意味では、名誉を挽回出来た大会だったと言っていいだろう。
[298]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/24(土) 00:16:20 ID:??? さとり「(そう、私はもう十二分に活躍が出来ました……)」 さとりの心中では、まだ、これ以上を望む気持ちは当然ながらある。 何故なら、彼女はまだ反町一樹に一度として勝っていない。 選手個人としても、チームとしても。 幻想郷三大キーパーという称号如何はともかく、ある程度の権威は回復出来たとはいえ――。 未だに彼女自身はリベンジを果たせていないのだ。 本音を言えばそのリベンジの機会が欲しい――その為の、強くなる土壌が欲しい。 ただ、それは出来ない。 だからこそ、彼女は己の心に蓋をする。自分は十分活躍出来た、それよりも大事なペット達にチャンスを与えるべきだと考える。 さとり「(もう十分、十分我儘を通させて貰った。 私がいない間、お燐は本当によくこの地霊殿を守ってくれた……これ以上、皆に負担をかける訳にはいかないわ)」 そう――彼女は一勢力の代表だからこそ、留学には行けないのだ。 無論、彼女がそうしたいと言えば、彼女のペット達はもろ手を挙げて賛成をしてくれるだろう。 さとりの事を愛し、何よりも大事に思ってくれている彼女たちだ。疑う余地は無い。 だが、だからこそ出来ないのだ。 さとりがいなかった間、お燐が――おくうがいつも管理している灼熱地獄の様子を見る事もあって、 てんてこ舞いの忙しさでこの地霊殿を管理してくれていた事をその第三の瞳を持ってさとりは知っている。 彼女たちの負担を考えれば、どうして留学に行きたいなどと言える事が出来るだろう。 さとり「……すぐに答えが出せないのなら、よく2人で話し合って考えてみて。 どちらが留学に行くのか……ね?」 おくう「うにゅ? あれ?」 お燐「(さとり様……本当は自分が1番行きたいのに……)」 さとりの言葉を聞いて、予想外の一言だったのかおくうは首を傾げ……。 お燐はやはり俯いたまま、悲痛な叫びを心の中で上げる。 その声を聞こえない風に装いながら……ふと、さとりはこの場にもう1人いるべき人物がいない事に気付いた。
[299]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/24(土) 00:17:23 ID:??? さとり「……そういえばこいしはどうしたのかしら?」 そう、つい先ほどまで考えていた――最愛の妹、こいしの姿が見えない。 いや、見えないのはいつもの事だ。何せ無意識を操る彼女――完全な視覚外から出てきて驚かせるのは日常茶飯事。 ただ、この場――大事な話があるからと言い聞かせていたにも関わらず、姿を見せないというのは変である。 あの大会から帰ってきてからも、今まで以上に姉妹仲が深まっていた古明地姉妹。 基本的に気まぐれであるこいしも、さとりの言う事ならばある程度は聞くようにまで関係は改善されていたのだから。 お燐「ありゃ? そういえばおかしいですね……おくう、なんか知らない?」 おくう「わかんない。 さとり様はわかりますか?」 お燐「……今誰がこいし様の事を話題に出したかね」 ペット達もこいしがいない事を不思議に思い、首を捻る中――。 ガチャッ こいし「やっほー!」 おくう「あっ、こいし様!」 当の本人――こいしが扉を開き、さとりたちが話し合っていた広間へと姿を現した。 またそこらへんをほっつき歩いていたのかと内心不安だったさとりは、 彼女が姿を見せてくれた事に安堵しながらも注意をする。 さとり「言ったでしょうこいし、大事な話があるから広間に集まっていなさいって。 おくうでもちゃんと覚えてやってきたのに……」 お燐「(……まあそのおくうは案の定忘れてたからあたいが引っ張って来たんだけどね)」 さとり「…………ともかく、座りなさいこいし。 もう一度話を……」 こいし「いーよいーよ、もう聞いたもん。 サッカー留学でしょ?」 さとり「…………? こいし、あなた……」
[300]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/24(土) 00:18:43 ID:??? 呆気らかんと言うこいしに、さとりは思わず眉を潜める。 もう聞いた――つまり、恐らくは、こいしはきっと最初からこの場にいたのだろう。 そしてさとりがサッカー留学の話をすると共に、この部屋を出て行った。 無意識を操るこいしだ。姿を現さないだけでなく、誰にも感づかれず部屋を出て行く事など造作もない。 それ自体は問題では無い。問題は――何故そんな事をしたのか?という事だ。 まるで訳がわからない、とばかりに混乱するさとりに対して、しかしこいしはニコニコと笑みながら口を開く。 こいし「サッカー留学はお姉ちゃんが行きなよ! 行きたいんでしょ?」 さとり「……はぁ」 お燐「こいし様、それは……」 おくう「あ、そうですよね! やっぱりさとり様が行くんだぁ!!」 お燐「おくう、あんたちょっと黙っときな。 話がややこしくなる」 無邪気に言い放つこいしに対して、さとりは溜息を吐くばかりだ。 先にも言った通り、さとりにはこの地霊殿を離れられない訳がある。 地霊殿の主として、一勢力の代表として、3年間もの長き間を留守にする訳にはいかないのだ。 こいしもその程度の事はわかっている筈だと思っていたのだが、どうやら思い違いらしい。 そう考えたさとりは改めて説明をしなければならないか、と考えるのだが――。 こいし「地霊殿の事でしょ? だいじょーぶ!」 先手を取って、こいしがドン!とそのなだらかな胸をひとたたきし。 こいし「私が責任を持ってみておくから!!」 フンス、と鼻息荒くそう宣言をするのだった。 さとり「…………はぁ?」 これを受けて、さとりは思わずそう呟き返すのがやっとである。
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0ch BBS 2007-01-24