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【SSです】幻想でない軽業師
[350]森崎名無しさん:2018/03/06(火) 16:20:00 ID:??? オテッロ「アンザーニ監督……試合に、出たいです……」 本当にアンザーニ監督だったらアナカンさんに土下座ものでしょうがw
[351]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/07(水) 00:23:40 ID:??? >>350 アンザーニ監督は……出るかもしれないし出ないかもしれない? それではちょっとだけ更新します。
[352]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/07(水) 00:25:14 ID:??? 佐野「イタリア……レ、レッチェ?」 マンチーニの言葉を受けて、思わず佐野はそう鸚鵡返しをしていた。 佐野とてサッカー少年。海外の著名なリーグ、有名なクラブチームというのはある程度知っている。 知っているのだが――それはやはり、ある程度という知識でしかない。 この時代、サッカー後進国である日本において、海外リーグの情報を得る手段というものは決して多くは無く。 佐野としては、イタリアがサッカー大国であるという事は知っていても、 レッチェというクラブチームなど知らないというのはある意味当然なのであった。 佐野「(イタリアって事はセリエA……でいいんだよな? インテルとかミランとかなら知ってるんだけど、レッチェ? ……無名クラブなのかなぁ)」 マンチーニ「さあ、それじゃあ次は皆に自己紹介をしてもらおうかな」 カルネバーレ「お前から行け」 佐野「(おっと、ま、チームの事については後で聞けばいいか。 ……しかしこのゴリラはなんでこんなケンカ腰なんだ?)」 思い悩む佐野であったが、知らない事についていつまで考えていても答えが出る筈もない。 マンチーニらに促されながら、ここは先に自己紹介をしておくべきだろうと口を開く。 佐野「あー……名前は佐野満! 元々は日本の比良戸中学ってトコにいたんだけど、 色々あって幻想郷の命蓮寺ナムサンズってトコで世話んなってました。 ポジションはFWとMF! ま、攻撃に関しちゃお任せあれって感じで1つヨロシク!」 マンチーニ「ああ、Jrユース大会ではマカイという所の代表で出ていたのを見ていたよ。 見事なドリブル技術でこれから本当に頼もしいな」 佐野「あ、そう? まーなー、俺くらいのドリブラーはそんなにいるもんじゃないからなぁ」 カルネバーレ「タワケが。 足元の技術はともかく、体つきが中学生どころか小学生並だ。 そんな体でここでやっていけると思っているのか」 佐野「ぬ……」
[353]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/07(水) 00:27:18 ID:??? まずは己の長所をアピールしつつ、気さくな感じで自己紹介を済ませる佐野。 これにはマンチーニが先の大会での佐野の活躍ぶりを評価しながら褒める。 実際、佐野の実力に関しては――少なくともドリブルだけならばトップクラス。 世界一という訳ではないものの大きな武器であり、マンチーニの頼りがいがあるという言葉も嘘偽りの無いものである。 これには佐野も鼻高々とばかりに気をよくするのだが、カルネバーレの辛辣な言葉に思わず詰まるのであった。 佐野「(なんだよこのゴリラ。 さっきからイチャモンつけてばっかじゃねーか……チェッ、マンチーニってのはいい奴っぽいんだけどなぁ)」 マンチーニ「あ、あー……それじゃ次。 端の方からお願い出来るかな?」 一輪「私ね!」 思わず険悪なムードになりそうになった所で、慌ててマンチーニが話を進める。 指名をされた一輪は、待ってましたと言わんばかりに立ち上がると、 胸を張りながらその口を開いた。 一輪「名前は雲居一輪! 佐野くんと同じく、命蓮寺ナムサンズ所属のGKよ! 好きな色は白! 好きな花は蓮! 好きな属性は聖! 好きな言葉は南無三! 好きな京都の通り唄のフレーズは『あねさん ろっかく』のトコロ! 好きな如来像は釈迦如来像! 好きな三法印は……」 マンチーニ「ま、待った待った……もういいから」 一輪「え、そう? 折角だから趣味の写経でやったお経を読みたいと思ってたのだけど……」 佐野「(アカン、テンション上がってるのかイチさんまた変な感じになってる……)」 凄くどうでもいい事を長々と――というか、そもそも恐らく大半の人物が違う宗教を信仰しているだろうにも関わらず、 仏教的な事を話しはじめ、おまけに事前に持ってきたと思しき経典を読み上げようとする一輪。 これにはマンチーニも慌てて止め、佐野は内心でまた一輪の悪い癖が出てると冷や汗を流す。
[354]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/07(水) 00:30:33 ID:??? 佐野「(しかし、イチさんも大変そうだな……他のポジションならともかくGKってのは枠が1つしかねーんだ。 イチさんだって悪いキーパーじゃないんだけど、もしもこのチームにいるGKってのが優秀ならスタメンは難しいぞ? ……って、ん?)」 ブルノ「ふっ……GKか。 やれやれ、折角留学に来てくれたというのに、 それがこの『ザ・レッチェの壁』ことブルノ様のいるレッチェというのは運が無かったな」 佐野「お? もしかしてアイツがここの正GKなのか?」 マンチーニ「え? ああ……まあ、そうだね」 一輪の事を心配する佐野は、この一輪の挨拶に反応をした1人の少年に目をつける。 よくよく見てみればマンチーニやカルネバーレをはじめ、他の選手たちがユニフォームを着ている中。 その少年だけは違う色のユニフォーム――GK用のユニフォームを着ていたのである。 佐野が気になりマンチーニに問いかけてみると、マンチーニはどこか歯切れ悪くも肯定をした。 ブルノ「ククク……この後の練習で『SSGGKK(スーパー・スペシャル・グレート・ゴールデン・かっこいい・キーパー)』と呼ばれる、 ブルノ様の実力が如何に高いかという事をお見せしよう」 佐野「(むむむ……この自信、この不敵さ……。 まさかコイツ、相当強いのか?)」 マンチーニ「………………」 カルネバーレ「………………」 尊大な態度を取るブルノの姿勢に、思わず唾をゴクリと飲み緊張する佐野。 一方でマンチーニとカルネバーレは、生暖かい視線でブルノの事を見つめるのだった。
[355]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/07(水) 00:31:52 ID:??? マンチーニ「ええと……それじゃあ次に行こうか。 お願い出来るかい?」 ??「にゃあい! 待ってました!」 佐野「(そーいやあの子は見た事ねーな。 ……少なくとも、この前のフランス大会じゃ出てなかったんじゃねーか?)」 何はともあれ、一輪の自己紹介は終わったという事で。 マンチーニは次の少女へと視線を向けて自己紹介をするよう促す。 つられて佐野もまた、その少女に視線を向け――しかし見覚えの無い少女だと首を捻る中。 少女はそのネコミミをピクピクと動かしながら立ち上がる。 お燐「あたいの名前は火焔猫燐(かえんびょう りん)! 幻想郷は地霊殿の出身さ! ポジションはMF! これからよろしくね、お兄さん方! ま、気軽にお燐って呼んでおくれよ!」 佐野「地霊殿……(って、確かフランスに派遣されてたキーパーさんらがいる場所、だったよな?)」 ウインクをしながら、愛嬌たっぷりにそう自己紹介する少女の名前は火焔猫燐。 佐野の考え通り、古明地さとりが統治する地底の要所――地霊殿のペット。 先のフランス国際Jrユース大会では試合に出るどころか、幻想郷Jrユースの代表にすら落選した選手である。 彼女が本来留学選手としての権利を行使出来る筈だった地霊殿の留学選手は、古明地さとりで内定をしている。 では何故そんな彼女がここにいるのか――それは、彼女が他勢力の権利を使って留学をしていたからに他ならなかった。
[356]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/07(水) 00:32:55 ID:??? 〜 回想 〜 お燐「にゃ〜ん……さて、いそがしいそがし。 こいし様がやる気を出してくれたとはいえ、やっぱりまだまだ荷が重すぎるもんね。 おくうじゃとても補佐なんてもんは出来ないし、あたいがしっかりこいし様を支えないと!」 古明地さとりが留学選手に決まった地霊殿。 留学までの間、さとりの指揮のもと、地霊殿を統治する体制を一同は整備しようとしていた。 その中でも人一倍動き回り、内情を纏めてさとりがいなくとも運営出来るようにと努力していたのはお燐である。 こいしが妖怪を集め、運営に携わるようになるとはいえ彼女はまだ未熟。 盟友であるおくうもやる気だけはお燐以上に出しているが、残念ながら彼女の頭は頭脳労働に向いていなかった。 よって、お燐が頑張るしかない。 幸いにしてさとり達が留守にしていた期間中、この地霊殿を切り盛りしていたのはお燐だ。 その時に培ったノウハウもあり、後はこれを長期的に運用出来るようなシステム作りをすればいい。 辛くはあるがこれもさとりの為と懸命に働くお燐だったのだが……。 勇儀「お、ここにいたのかい地獄猫」 お燐「うにゃ? あ……勇儀の姐さん」 そんなお燐に声をかけてきたのは、旧地獄街道を取り仕切る鬼――星熊勇儀であった。 慌ただしくバタバタ走り回るお燐は声をかけられた事で一旦足を止め……。 しかし、やはり忙しそうに、申し訳なさそうにしながら口を開く。 お燐「悪いけど宴会のお誘いならまた今度! 今ちょっと忙しいんだよ」 勇儀「おいおい、まだ話の用件も言ってないのにそりゃないだろ? ……まあ、いつも宴会に誘いに来てるからその反応もわからんでもないが」 三度の飯より酒が好き。今もまた盃を手にしている勇儀を見て開口一番にそう言うお燐に対し、 勇儀は困ったように頭をかきながら宴会に誘いに来たのではないと手を横に振って否定する。
[357]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/07(水) 00:34:13 ID:??? 勇儀「私は回りくどいのが嫌いでね。 単刀直入に言わせてもらうよ。 地獄猫……アンタも例のサッカー留学とやらに行かないかい?」 お燐「……はァ?」 そして続いて出てきた発言に……お燐は思わず恍けた声を上げていた。 一体こいつは何を言っているのかと、明らかに格上である勇儀に対して疑念に満ちた視線を向ける。 酒の飲み過ぎで頭まで悪くなったのか、というか何故彼女がサッカー留学の話を知っているのか。 疑念は絶えないが、いずれにしろ地霊殿の留学選手はさとりに決まったのだ。 お燐「悪いけど、ウチから留学に行くのはさとり様だよ。 っていうか余所の御家の事情に首突っ込まないで欲しいにゃ」 勇儀「あー……いやいや、違う。 コイツは地霊殿として留学に行けっていう話じゃあないんだ」 お燐「にゃ?」 勇儀「地獄の裁判長様が先日お見えになってねぇ……」 肩を竦めながら、勇儀は決していいとは言えない頭と弁舌で説明を始めた。 曰く、先日――旧地獄街道を取り仕切る星熊勇儀の元に、現在の地獄――。 是非曲直庁に勤務をする四季映姫がやってきたのだという。 そこで四季映姫が語ったのは、地獄が得た留学権を星熊勇儀に委託したいという話であった。 お燐「……にゃんでそんなことに?」 勇儀「あちらさんは仕事熱心だからねぇ。 裁判長殿は、基本的に誰も行かせたくないんだろうさ」 地霊殿を始めとして、基本的にどの組織も程度の差こそあれ幻想郷での役割を持っている。 その中でも地獄――是非曲直庁に関しては幻想郷でもトップクラスの忙しさを持つ組織であった。 タイトに組まれた裁判制度と慢性的な人員不足。 ぶっちゃけ、サッカー留学などに人を出している暇など無いのである。 お燐「あの渡し守のお姉さんなんか、いてもいなくても仕事しないんだから問題ないんじゃにゃい?」 勇儀「かもしれんが、だからってホイホイ留学に行かせられんのだろう」 お燐「ふーん……」
[358]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/07(水) 00:35:17 ID:??? お燐「(火燐だね……)」 かつてサッカーの試合中、お燐と共に中盤を切り盛りし、覚醒をしたゾンビフェアリー。 お燐を慕っていた彼女に対し、お燐は自身の名前から取った字を使い名前を与えた。 それ以後は一介の妖精ながらもサッカー、実生活共にお燐の支えとなっていた彼女。 勇儀の言うようにお燐を推薦するならば彼女しかいないと、お燐は考えていた。 勇儀「どうなんだい? 違うってんなら他の奴に話を持っていかなきゃあならなくなるんだが……」 お燐「あー……いや、あたいは……」 勇儀「おっと、『正直』に答えなよ? 正直にね」 お燐「(めんどくさいにゃあ……)……そうだね、まあ、確かに。 留学ってぇ奴に行ってみたいのは事実さ」 嘘を嫌う鬼に嘘はつけない、とお燐は白状をした。 実際、さとりが話を持ってきた時も――お燐自身は、 こいしやおくうに比べ、行ってみたいという気持ちを隠してはいなかった。 好奇心旺盛な彼女の性格上、外の世界というものに興味がある――という面もある。 だが、それ以上に彼女が求めていたのはさとりの役に立てるだけの力を手に入れたいというものだった。 お燐「(おくうは殆ど出番が無かったらしいけど、それでも代表入りしてゴールだって決めてた。 こいし様はさとり様の支えになって、外の世界のチームの選手たちを鍛えてたらしい。 あたいだけが何も出来なかった。 ……地霊殿で帰りを待つしか出来なかったんだ)」
[359]>>358は無視して下さい ◆0RbUzIT0To :2018/03/07(水) 00:36:17 ID:??? はじめはイマイチ話が読めなかったお燐であったが、勇儀の説明によりある程度は納得した。 確かに是非曲直庁の忙しさというのは耳にしているし、 厳格な四季映姫があくまで遊びの延長であろうサッカーにかまけて仕事を疎かにする訳が無いというのは理解できる。 何よりも、この話をしたのは目の前の星熊勇儀だ。 ウソを何よりも嫌う種族――鬼の勇儀がそう言うのだから、それはきっと真実なのだろう。 お燐「っていっても、なんであたい? パルパルズの人たちとかは? お姐さん、仲良かったんじゃないの?」 勇儀「一応話は持って行ったが、乗り気な奴がいなかったからねぇ」 お燐「ふーん……じゃ、おくうとかこいし様とかは?」 勇儀「ああ、そいつは考えたんだが……どうも話を聞いてるとアンタが適任そうだったからね」 お燐「うん? どゆこと?」 パルパルズのメンバーに話を持って行った時、彼女たちが乗りきでなかったというのはまだわかる。 なんだかんだと言いながら、あそこも既に強豪クラスのチーム。 おまけに橋姫を中心としながら、多種多様な種族、勢力の選手たちが集まり仲良くしているチームだ。 噂で聞いた妖夢の離脱こそあれど、基本は全員があのチームでやっていきたいと考えているのだろう。 ただ問題はその上で何故勇儀がお燐に話を持ってきたのかという事である。 地霊殿には他にもおくうやこいしがいる。 その中でお燐を選んだ理由がいまいちつかめず、問いかけると、勇儀は快活に笑いながら返答した。 勇儀「お前さんがこの地霊殿で、ホントは一番外の世界に行きたがってたって聞いたからね」 お燐「……誰にだい?」 勇儀「顔色が悪い妖精さ」 お燐「………………」 勇儀の返答を聞いて、お燐はすぐにピンと来た。
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