※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ
現行スレ
投票
最新20
板
1-
前
次
新
レス
【SSです】幻想でない軽業師
[361]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/07(水) 00:38:56 ID:??? 表面上は明るく見せていたが、その現実はお燐にとってショックであった。 無論、地霊殿でさとりたちの不在の間しっかり留守番が出来たというのは1つの誇りである。 ただ、あまりにもちっぽけな誇りだ。 本音を言えば自分も代表入りをして活躍し、地霊殿のイメージアップに貢献したかった。 忌み嫌われた妖怪たちの首領。覚り妖怪の住まう屋敷の凄さをアピールしたかった。 そういった事を考えれば、お燐にとって留学という話は飛びつきたくなる程の話であった。 ……さとりの事を考えて自制をしたが、本音を言えば留学をして強くなりたい。 さとりの役に立てるようになりたいという思いは、同じペットのおくう以上には強かっただろう。 お燐「ただ……あたいが行ったらいよいよ地霊殿は傾いちゃうよ。 おくうとこいし様だけで回せると思うかい?」 とはいえそれはただの願望であり、現実的ではない。 お燐の言う通り、さとりという頭脳がいなくなった今、地霊殿を切り盛りするのは自分しかいないという自負がある。 この上にお燐までいなくなっては、地霊殿がのっぴきならない状況になるというのは自明の理であった。 故にお燐としては、行きたいが行けない。そう答えざるを得ない。
[362]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/07(水) 00:40:14 ID:??? ただ、そのお燐の答えも予想をしていたのか……勇儀は盃をクイと傾け一口呷り、 酒気を帯びた息を吐きながらも笑みを浮かべて解決策を述べた。 勇儀「問題ない。 あんたの代役についちゃ妖怪の山の天狗どもにお願いするつもりだからね」 お燐「は……はァ!?」 星熊勇儀は、かつて妖怪の山でぶいぶい言わせていた鬼でもある。 今ではこの地底に住まい、隠遁生活をしているようなものだが、今でもその威光は妖怪の山で通用し、 そこに働きかけて追加の人材を呼び寄越すくらいは簡単なものだ。 特に、この解決策は妖怪の山の天狗に頼む――という点が秀逸であった。 妖怪の山の社会組織は、地霊殿のそれよりもよっぽど人間社会のそれに近い管理体制である。 そこで働いている天狗がお燐の代理を務めるのならば、不慣れであろうともすぐ慣れる事が出来るだろう。 しかし、お燐が驚き声を上げたのはそんな事が理由ではない。 お燐「妖怪の山って……勇儀の姐さん、あんた……そんな性格だっけ?」 かつて、と言ったように……勇儀が妖怪の山にいたのは遠い昔の話である。 元山の四天王として名を馳せていた彼女は、しかし今は旧地獄街道で毎日酒盛りをしているただ一介の鬼。 良く言えば単純で豪快、悪く言えば短気で粗野で融通が利かない性格の彼女。 元来権力や過去の栄光というものを振りかざし、昔の部下に無理難題を突き付けるような性格ではない。 というよりも、むしろそういった権力をかざして命令する者を毛嫌いするようなタイプである。 そんな勇儀が何故そこまでするのか、とお燐が疑問を持つのは当然であり。 それに対して勇儀はどこか苦々しくしながらも返答する。 勇儀「……まぁ、私もあんまりこういった手は使いたかぁなかったんだがね。 ただ……地霊殿にゃあ借りもある」 お燐「借り?」 勇儀「ああ。 より正確に言えば……お宅のご令嬢にゃあ、大層失礼をこいたからね」
[363]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/07(水) 00:41:29 ID:??? そう言う勇儀の表情は、やはり苦虫をかみつぶしたかのようなものだった。 お燐の知る事ではないが、彼女は先日あったフランス国際Jrユース大会において、 同朋である鬼――伊吹萃香、と……おまけについてきた鴉天狗の射命丸文と共にウルグアイJrユースに参加。 フランスへと派遣をされていた古明地姉妹と対戦をしていた。 その以前までの幻想郷における大会において、見るも無残にシュートに蹂躙され、 トラウマを見せるどころか逆にトラウマに苛まれるようになった古明地さとりに対し、 心底呆れと軽蔑に近い感情を抱いていたのが勇儀である。 当然、Jrユース大会でも完全にさとりたちを見下し、歯牙にもかけぬつもりで戦ったのだが――。 そんな勇儀をあざ笑うかのように、さとりたちは奮闘し、勇儀たちを破った。 後半戦に入り難攻不落とされる萃香から、フランスの第二ストライカーがゴールを奪い。 そして、勇儀の持つバカげた威力のシュートをも、古明地さとりは完全に防いだうえで。 勇儀「……ここまでの便宜って奴は私なりの罪滅ぼしって奴だ。 鬼退治をしたツワモノには相応の褒賞ってのが古来よりの慣わしだろう」 鬼を相手に、決して強いとは言い切れない筈の覚り妖怪の姉妹が勝利した。 その事実は彼女に大きなショックを与え……。 それでも、例え負けたとしてもそれを受け入れるだけの度量が勇儀にはあった。 むしろ、自身を打ち負かしたという事実を讃え、侮っていた事を詫びる程度の気持ちはあった。 そんな中に舞い込んできた地獄からの留学話。 詫びを入れる際の手土産としては、十分なものではないだろうか。 勇儀「ってなわけだ。 行っといで、地獄猫」 お燐「お姐さん……! ありがとにゃーっ!!」 勇儀「(やれやれ……しかしなんとまあ、あの古明地のご令嬢といいこいつといい、留学……いや、修行、練習か。 そんなに楽しいもんかね。 まるで人間のような事を。 ……鍛えるってのは女々しい事だと思ってたが、これも時代なのかねぇ)」
[364]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/07(水) 00:43:02 ID:??? 諸手を上げて飛び跳ね喜ぶお燐を見て、苦笑をしながらもそう思う勇儀。 力を持って生まれ、その力をして四天王とまで呼ばれていた彼女の思想は、 才覚ある者がそれを鍛えようとするのは女々しい――という、恐らくは鬼独特でしかない思想である。 ただ、しかし……こんな勇儀の考えも、決して珍しいという訳ではない。 実際にこの幻想郷には……練習をしない訳ではない、が、それでも。 生まれ持った才能、種族というものが全てという考えを持つ者も大勢いる。 そして事実として、かつての幻想郷では才能を持ち、 それを思うが儘に使う者こそがサッカーにおいても力関係においても常にヒエラルキーのトップに立っていたのだが……。 少なくともサッカーに関しては、ここ最近は情勢が変わってきている。 勇儀「(地底だけでも古明地のご令嬢は今じゃ萃香にも負けない程のキーパーだし、 橋姫は博麗の巫女顔負けのドリブラー……とんでもない話だ)」 早速皆に報告を、と駆けだすお燐を眺めながら勇儀は考える。 変わりつつある幻想郷、変わりつつあるパワーバランス。 それがいい事か悪い事かはさておいて……。 勇儀「(少なくとも、強い奴が増えるってのはいい事だね! 私の腕もなるってもんだ!!)」 お燐「勇儀の姐さ〜ん! みんな喜んでくれてるよ!! ホントありがとね!! あと、今度地霊殿ネコ科の会のみんなで壮行会やってくれるらしいから、お姐さんも参加しておくれよ!」 勇儀「おっ、いいのかい?」 お燐「もっちろん!! あたいが留学に行けるのはお姐さんのお蔭なんだからね!」 勇儀「ハッハッハ、ならお言葉に甘えて参加させてもらおうかね」 勇儀はそれを受け入れ、楽しみにしていた。 鬼である彼女は誰よりも強者との戦いを求め……そして誰よりも単純であった。
[365]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/07(水) 00:45:07 ID:??? ……ちなみに。 勇儀「………………」 お燐「………………」 アーマータイガー「………………」 火燐「………………」 数日後、お燐の言った通り地霊殿のネコ科たちが集まり、壮行会を開いてくれた。 ネコ科でもなく、勿論クマでもない勇儀が参加をするのは異例中の異例と言え、 また、一介の妖精である火燐がこの席にいるのもおかしな話でもあったのだが、 勇儀はお燐への留学話を持ってきたという事。火燐はそんな勇儀にお燐が留学に興味を持っていると告げた事。 そして何より当事者のお燐が誘ったという事もあって他の者たちにも受け入れられていた。 主賓であるお燐、客人である勇儀。 更にそこにアーマータイガーや、他の地霊殿に住まうネコ科たちが勢ぞろい。 全員が地霊殿のとある一室に集まりお燐の前途を祝おうとしていたのだが……。 微妙に、どことなく、雰囲気が重い。 何故か。 デビルねこ「ごめんね、ボクが糖尿病だからお茶しか出せなくて……」 この壮行会の幹事であるデビルねこが糖尿病である為アルコール類が出せず、 いまいち盛り上がっていないからだったという。 〜 回想 終わり 〜
[366]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/07(水) 00:46:16 ID:??? お燐「(まぁ……最後はともかく! あたいはやるよ、勇儀の姐さん!!)」 いまいち締まらない幻想郷最後の思い出であったが、それでもお燐は燃えに燃えていた。 お燐「(そしてさとり様、こいし様、おくう!! もう皆の後ろ姿を見るだけはゴメンだ。 あたいは今日ここから、皆と一緒に戦えるだけの力をつけるんだ!)」 幻想郷代表に残れなかったという、活躍するしない以前――スタートラインにすら立てなかった悔しさ。 外の世界という未知の環境に対する希望と好奇心。 地底に住んでいる割には意外に明るい少女は、この新天地。 慕う主や友がいない場所で、きっと自分は――今度こそ主の役に立てるような立派なペットになってみせるのだと、 そう胸に誓うのだった。
[367]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/07(水) 00:47:16 ID:??? おりんりんランド、イタリアで開園!という所で一旦ここまでです。それでは。
[368]森崎名無しさん:2018/03/07(水) 01:22:54 ID:??? 乙でした 謎のメンバーはこっちの猫さんだったか、レッチェでは貴重な戦力だなぁ あと一人は得点力がある選手だと大分バランス良くなるんだけどどうなるかなー
[369]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/08(木) 21:46:59 ID:??? >>368 乙ありです。 5のレッチェ編はキーパーのザル具合も含めて割とハードモードですからね。 留学してきた選手は佐野は既に一定の能力があるとはいえ、一輪お燐あと1人は元々の能力は低めでスタートする予定でした。 そこを鍛えながらどうやって勝っていくか、という展開にするつもりだったので、 そういった育成・練習描写や交流もそこそこ書いていきながらやっていければなと思います。 本日も更新は無しです。明日、明後日に出来ればと思います。それでは。
[370]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/10(土) 02:30:21 ID:??? 今日も更新は無しです。が、それだけだと寂しいので当時やっていた時の「反町への」好感度のデータを公表してみようと思います。 ちなみにデータ的にはJrユース編が始まる以前のオータムスカイズ編時点でのデータとなります。 まずは基準値となるであろうステディ・早苗さんの好感度について。 早苗評価 21 21です。ちなみにこれがどれくらいかというと、大体20が本編で言う+5くらいに思っていただければいいと思います。 20を超えれば絶対的な信頼や好意です。それを考えた上でのオータムスカイズメンバーの数値はこちらです。 穣子評価 28 静葉評価 9 にとり評価 17 大妖精評価 12 橙評価 10 リグル評価 21 妖精1評価 11 サンタナ評価 14 ヒューイ評価 9 チルノ評価 −2 メディ評価 0 幽香評価 7 レティ評価 6 リリーW評価 0 リリーB評価 1 妹紅評価 23
前
次
写
名前
E-mail
0ch BBS 2007-01-24