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【SSです】幻想でない軽業師
[382]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/10(土) 23:08:20 ID:??? そしてそんなあからさまに挙動不審な少女に、無慈悲にも指名が飛んだ。 瞬間、少女は決して小さくない悲鳴を上げてから音を立てて椅子から立ち上がり……。 はたて「ひっ、ひっ、姫海棠(ひめかいどう)はたて……でっす、ぅ……!! よ、妖怪の山からき、来ました!!」バッサバッサ 佐野「(妖怪の山……って、えーっと、確か椛が仕事してるトコだよな? つーかめっちゃバサバサいってるあの羽……確か、烏天狗って種族だっけ? つーかなんで羽をあんなバサバサやってんだ?)」 お燐「ちょっ、天狗のお姉さんやめて! 羽が当たってる! 当たってる!!」 はたて「(い、言えた! ちゃんと自己紹介出来たわ私! やっぱりやれば出来るじゃない!!)」バッサバッサ やっぱりあからさまに緊張し、どもりながら、挨拶をした。 なお、緊張と興奮のあまりに羽が一緒に動いてしまい、お隣にいたお燐に思い切りぶつかるハプニングがあったのだが、 当の少女――姫海棠はたては自身が自己紹介を終えた安堵と達成感により、 そんな事にはまるで気づかなかったという。 佐野「(……しかし、また知らん人……いや、妖怪だな。 しゃめーまるとかいう天狗さんはウルグアイで活躍してたってのは知ってるけど……。 こんな人、確かどこの国にも。 勿論幻想郷代表にもいなかったよな?)」 一応は幻想郷Jrユースにおける控えが主だったメンバーについても、 命蓮寺のメンバーなどから聞いて知って聞いていた佐野。 しかしながらそんな彼のデータベースには、姫海棠はたてという少女の名は一切入っていなかった。 否、それどころかJrユースレベルですらなく、幻想郷での活動時点から、 守矢フルーツズ・オータムスカイズなど妖怪の山の妖怪・神を中心としたチームの中で、 彼女の名を聞いた事などまるで無い。 そして、それは無理からぬ事だった。 何故なら姫海棠はたてという選手がサッカーを始めたのは、Jrユース大会が始まる寸前の出来事だったのだから。
[383]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/10(土) 23:09:53 ID:??? 〜 回想 〜 文「……という訳で、はたて。 あなたこのサッカー留学というものに行ってみない?」 時間を巻き戻し、舞台は妖怪の山――当の姫海棠はたての住まう住居。 守矢神社からの通達を受けて自分が行くしかないかと思っていた射命丸文が、 藁にも縋る思いでサッカー留学の話を持って行った相手というのが、このはたてであった。 はたて「はァ? なんで私がそんな事しなきゃいけないのよ」 そして、そのはたて自身はといえば……そんな文の言葉を見事に一蹴した。 同じ烏天狗、そして同じ新聞記者。 両者はお互い旧知の仲であり、だからこそ文としてもそんなはたてに留学の件を話したのだが、 はたて自身の反応は決して芳しくは無い。 ……そもそも、彼女自身もまた文と同じ。そこまでサッカーに対して強い情熱というものを持っていないのだ。 いきなりこんな話を持ってこられて、承諾する訳もなかった。 はたて「3年間も外の世界とか……守矢の……えぇっと、ガンキャノン様だっけ?」 文「神奈子様よ……(本当にこの子は……まるで外の世界どころか、幻想郷の事すら何も知らないんだから)」 はたて「ともかくよ! あんたが言われた事なんだから、あんたが行けばいいじゃない。 私が行く義理も道理もないわよ」 それは正論ではあったが、しかし文としては困る事である。 よってなんとか文としてははたてを言いくるめるより他なかった。 文「そうは言ってもねぇ……アナタ、この前の新聞でもまた遅れに遅れた情報しか出さなかったでしょ」 はたて「うぐ……」 そう、サッカーに対する情熱というものははたてには殆どない。 だが彼女には新聞記者としてのプライドがあった。 そんな彼女にとって、目下の課題であり問題点であったのが――己の発刊する新聞の情報速度。 Jrユース大会から数週間遅れでようやくその大会の結果や経過などを知り、記事としたのだが、 あまりにも遅く――おまけに内容も薄っぺらいそれは文の刊行する文々。新聞の僅か1割程しか売れなかった。
[384]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/10(土) 23:11:09 ID:??? その事について当事者であるはたてが思う所が無かった訳ではない。 何故文の新聞の方が売れるのか、何故自分の新聞は誰にも読まれないのか。 分析し、考え、結局の所やはり問題点だと自分でも考えていたのが発刊速度と内容の充実さである。 ウルグアイJrユースに派遣選手として向かい、案外大した事ある指導力と実力で内部からの情報を得て即座に記事にした文。 それに対してはたてが出来た事といえば……。 はたて「で、でも私には念写があるし……」 文「そればかりに頼ってるから駄目なんでしょうが」 念写――はたての持つ、唯一にして最大の武器がそれである。 思い念じ、キーワードを使い検索をすればそれに見合った画像が浮かび上がる。 これを基にして記事を作成するのがはたてなりの新聞の作り方であったのだが……これには当然粗がある。 無論、念写をして思うが儘に画像――写真を撮れるというのは優れた能力であった。 ただ、その写真も……写真1枚だけではまるで意味が無い。 情報を持っていなければ、サッパリ訳がわからない写真などもあるのだから。 文「大体あの記事は何? アルゼンチンが……なんやかんやありまして、幻想郷には10−0で負けましたって」 はたて「いや、流石に10−0なんて大差が起こるとは思ってなかったし、そもそもその経過も……。 10点差なんて事になったらどこがターニングポイントかどうかもわかんないじゃない!!」 文「逆切れはいけませんよ……(まあ、気持ちはわからないでもないけど。実際参加してた私でもあの試合は訳がわからなかったし)」 スコアだけを見ても、その経過を知るすべは無い。 よってはたても、数々の全幻想郷Jrユースの戦績を、「全幻想郷 Jrユース大会 結果」などの検索によって、 写真を見る事によって知り得てはいたのだが……その内容については知る由もない。 特に大差で勝利をしたアルゼンチンについては、完全に雑魚扱いとして記事にしてしまっていた。 文「でもそれじゃ読者には伝わらない。 そもそもアルゼンチンも弱者じゃないわよ、ウチは負けたし」 はたて「えっ、なんで!?」 文「私を超えるドリブラーがいたからよ。 ドリブラーっていうか、まあ、全体的にワンランク上にしたような感じね。 多分永遠亭の薬師すら上回る天才。 ……幻想郷Jrユースとの戦いでは案外大したこと無かったけど」
[385]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/10(土) 23:17:20 ID:??? よって信憑性については著しく文の新聞などに比べれば落ちる。その上に、妄想や想像で記事を書くしかないのだからスピードも遅い。 実際の所は幻想郷Jrユースと戦った際、前評判に比べてそのチームのエースが案外大したこと無かったという事実と。 そもそもエースが存在しなかったという記事とでは、やはり意味合いは違ってくるのだから。 文「結局、あなたのやってる事は写真を基に記事を妄想で書き連ねてるだけ。 新聞ですらないわ」 はたて「あ、あなただってねつ造だの誇大表現だのやらかしてるじゃない! 何度クレーム来てるのよ!?」 文「あややや。 それは多少の誇張や表現の自由って奴よ、うん。 大体が部数で言ったってあんたの所の花果子念報、全然売れてないじゃない」 はたて「ぐぬぬ……」 無論、文の書く記事全てが真実であり、信頼されている訳ではない。 ただ、それでも文は文なりに取材をして記事は書いている。誇張などはあっても、それについては事実だ。 だがはたての場合はあくまでも想像でしか書けていない。そこにはやはり大きな隔たりがある。 文「あんたも外の世界に行って、実際に取材をしてみれば?って言ってるのよ。 これはビッグチャンスよ、はたて!」 はたて「むむむ……」 そして、その隔たりははたてとしても重々承知していた事だった。 文「あんたは最近サッカーを始めた割には下手じゃないし、留学させるには丁度いい頃合いの選手でしょ」 文の言う通り、はたては最近の幻想郷のサッカーブームに乗じて……しかしやはり流行に乗るのが遅く、 つい最近サッカーを始めたばかりの素人ではあった。 期間としては、大よそ命蓮寺のメンバーが佐野と共にチームを結成した頃とほぼ同時である。 しかしながらそんなはたては、才能でもあったのか――最近始めた割には、そこそこと言えるだけの実力は備えていた。 まったくの名無しの天狗などよりは、ずっとマシな留学選手候補である。
[386]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/10(土) 23:18:41 ID:??? はたて「で、でも外の世界って怖くない? 知らない人と会う事になるんだろうし……」 文「今更人間如きを怖がっててもしょうがないでしょうが」 はたて「う、うぅん……でも……」 その後もなんだかんだではたては渋ってはいたが、結局の所は文に言い包められ、留学に行くことに同意をした。 はたて「そうよね……うん、直接取材しないとわからない事もあるだろうし……」 文「(普通に取材するくらいなら幻想郷にいたって出来るのに。 やっぱりこいつチョロいわ……外の世界行って大丈夫かしら?)」 自分で話を持ってきながらも、それでも割と簡単に折れたはたてに、少しばかり不安を覚える文。 実際、文の考える通り、念写に頼らず取材などを行い記事を作るなど、 現状の文をはじめとした烏天狗がやっているように、幻想郷でだって行える。 しかしながらはたては、先のJrユース大会という一事象だけを切り取って考えてしまい、 外の世界に行かなければ現状を打破できないのだと考えてしまっていた。 ここら辺の大局的な物の見方というものも、やはり彼女は出来ていない。 おまけにはたてが口にしたように、彼女は生来知らない人と会話をするのが苦手である。 文とは旧知の仲であるからこそこのようにざっくばらんに話しているが、 これが知らない人物であればまともに喋る事が出来ない。 念写にばかり頼り、妄想と想像で記事を作ってきた少女。 彼女はあまりにも世間知らずで視野が狭く――そして何より、コミュニケーションが苦手であった。 〜 回想 終わり 〜
[387]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/10(土) 23:27:09 ID:??? はたて「(よ、よーし! ちゃんと挨拶は出来たしこの調子で外の世界でも頑張っていくわよ!! ……ところでイタリアってどこだったかしら? ……なんか記事でも書いた記憶があったけど)」バッサバッサ カルネバーレ「おい、あー……ヒメカイドー」 はたて「ぴっ!? は、はい!(えぇ、なんだろ!? ゴリラに話しかけられた!?)」 とにもかくにも、こうしてコミュ障のはたては自身が無事に挨拶を終えた事に安堵をしていた。 安堵をしていたのだが……やはりその挨拶は不十分であった。 よってカルネバーレが突っ込むのだが、これ以上何か言われると予想をしていなかったはたてはやはり悲鳴を上げ。 しかしそんな事を気にした素振りも見せず、カルネバーレは言葉を紡ぐ。 カルネバーレ「肝心な事を聞いてない。 お前のポジションはどこだ?」 はたて「ポ、ポジション?」 そう、ポジション――はたてはそれを、先の自己紹介では説明していなかった。 佐野はFWかMF。一輪はGK。お燐はMF。 それぞれが己の役割をしっかりと説明しており……カルネバーレたちも、それを聞きながら脳内で構想を立てる。 これから練習で実際に能力を見た上でポジションなどは決まるとはいえ、 それでも本人が元々やっていた役割を知る事は重要である。
[388]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/10(土) 23:30:55 ID:??? よってこの時のカルネバーレの質問は至って普通な問いかけだったのだが……。 一方で問われたはたては、やはり顔を真っ赤にしながら汗をダラダラと流し狼狽える。 佐野「あん?(どうしたんだあの天狗のねーちゃん……)」 マンチーニ「ハタテ? 何か……」 はたて「あっ、の……ポ、ポジションは…………」 これには一同もどうしたのかと疑問に思う中、意を決したようにはたては口を開き……。 はたて「あ、ありま、せん……」 カルネバーレ「…………何?」 はたて「し、試合なんて……したことが、ないので……」 サッカーの実力はある。練習だってしていた。烏天狗という種族上、その実力も確か。 しかし、実戦経験は全く無い。 世間知らず、人見知り、経験不足。割と不安要素しかないものを抱えた少女――。 姫海棠はたての告白に、一同は唖然とするしかないのであった。
[389]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/10(土) 23:32:38 ID:??? という訳で留学4選手発表といった所で一旦ここまで。 この4人+ゴリ、マンチーニ(+おまけのブルノさん)でイタリア編はしばらく進む事になります。 それでは。
[390]森崎名無しさん:2018/03/11(日) 01:13:27 ID:??? 乙でした 最後の一人が予想外にポンコツ…点取れるのかなこれ ゴリラのヘディングと佐野の突撃以外だけだときっつい
[391]森崎名無しさん:2018/03/11(日) 01:33:04 ID:??? 強いGKと攻撃手段がないという致命的な部分が大きく目立ってるの困るよな DFとマンチーニ達MFはわるくないんだけど あと控えもわるくない
[392]森崎名無しさん:2018/03/11(日) 07:09:14 ID:??? はたての実力が未知数でなんとも言えん
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0ch BBS 2007-01-24