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【SSです】幻想でない軽業師
[406]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/14(水) 00:19:36 ID:??? 佐野「ほげっ……」 あまりの弱弱しさに佐野は思わず息を飲み。 お燐「蹴りそこにゃい……じゃ、にゃいよね……?」 お燐は思わずずっこけそうになりながら、必死そうな表情のはたてとパスとの温度差に引きつった笑みを浮かべ。 マンチーニ「…………よっ!」 このパスコースに飛んでいたマンチーニは、悠々とパスカットをした。 たった1人で練習を繰り返し、ドリブルの技術は佐野達からもそこそこという評価を受けていたはたて。 しかしたった1人で練習をし、試合経験が全く無い彼女は、ドリブルで走る為以外にボールを蹴った事がまるで無い。 何故ならパスを受けてくれる者も、シュートを止めてくれる者もいないのだから。 更に言えば、あの射命丸文をもってして、大局的に物事を見る事が出来ず、視野が狭く、コミュニケーションが下手と言われているはたて。 これが何を意味するのか。 大局的に物事が見れず視野が狭いという事は、パスコースを探す事が苦手であるという事。 そして、パスがボールを通したコミュニケーションという言葉もある通り――。 姫海棠はたてという少女は、パスとシュートがドがつく程に下手であった。
[407]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/14(水) 00:28:44 ID:??? 一旦ここまで。 なんだかはたてちゃんがメインみたいになってますがそんな事はなく、 前作で出てこなかったキャラなので色々と掘り下げている形となっています。 それでは。
[408]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/15(木) 23:51:09 ID:??? はたて「ひぅっ!?」 ガーン、と大きなショックを受けながら悲鳴を上げるはたて。 彼女の中ではとっととボールを手放してDF達に追いかけられず、 また、注目されるような事から解放されると思っていた筈が結果はパスミス。 彼女なりに精いっぱい頑張ってのパスであったが、悲しい事にそれはやはり弱弱しく。 ド下手で精度も速度もまるで無いそれを見て周囲の者たちが深い溜息を吐くのを、 彼女はその場で立ち尽くして聞くしか出来ないのであった。 はたて「(失敗しちゃった怒られる〜!? っていうか、ボール手放したのになんでみんなが私見てるの!?)」 佐野「(見た限りパスはへっぽこ……あれじゃシュート打たせようとしても多分キック力不足だろうなぁ。 ドリブルだけは実践レベルってトコだけど動きも不安定だし……。 っていうかパスに至っては高杉さんとかと同じくらいのレベルじゃねーか?)」 注目されている事に気づき顔を真っ赤に染めるはたてを見やりながら、佐野は考える。 某日本代表で同チームにいたの先輩を軽くディスっているが気にしてはいけない。 彼はDFの数が少ないが故に選出されているだけであり、 得意であるブロックとクリアー以外はまったくもってお話にならないのは事実なのだ。 マンチーニ「(試合経験が無い……それにしてもパスが出来ないというのは大問題だな。 これからの練習で向上が見られればいいんだが……それよりもまずは)」 カルネバーレ「マンチーニ!」 マンチーニ「ああ、いくぞっ!」 バシュウッ! 一方でボールをカットしたマンチーニは、そのまま一気に前線へと放り込んだ。 自陣深くから一気にセンターライン付近まで飛んだボール目掛けてカルネバーレは走り込み、 慌ててこれにはDFのバルトロメオとMFのモゼが連携をして競り合いに向かう。
[409]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/15(木) 23:52:09 ID:??? バルトロメオ「くそっ、二人がかりなら!」 カルネバーレ「止められると思うか!?」 ダダッ! バッ!! ガシィイッ!! モゼ「だ、駄目だ……」 佐野「(うげ、やっぱあいつ見た目通り競り合いに強い……上に案外ジャンプ力もあるぞ!?)」 体格がいい上に跳躍力も人並み以上にはあるカルネバーレ。 2人がかりで阻みに来たバルトロメオ達をあっさりと蹴散らしながら空中でボールを確保すると、 そのまま脇目も振らずドリブルで中央を突き進む。 流石にキャプテンというだけあって実力は確からしいと佐野が感心する中……。 カルネバーレ「…………」ドタドタ 佐野「って、足おそっ!?」 しかし、そのドリブルスピードの速さが巧さや力に比較をしてあまりに遅い為に思わずそう叫んでいた。 あまりの遅さ……というか鈍重さに、走る音も『タタタ』や『ダダダ』でなく『ドタドタ』であった。 一気に前線に放り込んだはいいものの、これではカウンターにはならない。 実際にカルネバーレはすぐに戻り始めたお燐にもチェックをかけられたのだが……。 お燐「ふふ〜ん、あたいは他のネコ科と違って守備も出来るんだからね! ゴリラのお兄さんボールちょうだい!」 カルネバーレ「誰がゴリラだァッ!!」 バギィッ!! お燐「うにゃ〜んっ!?」 佐野「うお、やべっ! みんな、そのゴリラ止めるんだ!!」
[410]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/15(木) 23:53:41 ID:??? 横からスライディングタックルにやってきたお燐を、強引に吹き飛ばしながら更にカルネバーレは突き進む。 やはりスピードだけは完全に欠如しているが、パワーについては疑う余地も無い。 このままでは一気にシュートチャンスを作られてしまうと佐野は慌てて守備陣に指示を飛ばし、 これを受けて守備陣もカルネバーレの危険性をよく知っているのだろうすぐさまプレスをかけに向かう。 シュタタタタッ!! はたて「うぇひっ……(い、勢いで戻っちゃったけど……これ私も行かなきゃいけないの!?)」 佐野「おお……はえぇ。 よしはたて! そのままゴリラに突撃だ突撃!!」 はたて「ぅへあ……」 その中にはなんと先ほどまで前線にいた筈のはたてもいた。 いくらカルネバーレが鈍足といえど、大きく距離が離れていたにも関わらずチェックに行けるあたり、 彼女の足の速さについてはもはや疑う余地も無いだろう。 ……割と足が速いつもりであった佐野ですら、まだ追いつけていないのだから。 はたて「(突撃って言ったってどどど、どうすりゃいいのよ〜!? えっとえっと……)」 カルネバーレ「(上手く俺にマークが集中してきたな。 よし、頃合いだ!)マンチーニ!!」 はたて「(うぇっ、あ、ボール蹴る!? さ、触らなきゃ!!)」 指示を受けてもまごまごしていたはたてであったが、 そんなはたてを後目に、カルネバーレはここで強引に突破を図らずパスを選択した。 自身にマークが集中する今、再びマンチーニへと預けて彼にボール運びをしてもらう為である。 その右足を小さく振りかぶり、サイド際に流れてゆくマンチーニにパスを出そうとするのだが……。 ビュンッ!! はたて「え、ええ〜いいっ!!」 カルネバーレ「むっ!?」 バチィッ!!
[411]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/15(木) 23:55:07 ID:??? 直接ぶつかるのではなくパス相手にならと、思い切って飛び出したはたて。 そのスピードはやはり速く、彼女の突き出した足は辛うじてボールに触れて軌道を変えた。 カルネバーレ「(……俺自身、あまりパスが得意という訳ではないのもあるがそれでも触れたか。 身体の使い方がてんでバラバラだが……守備がそこまで苦手という訳ではないか?)」 はたて「うぃ、うぃひひ……(なんでこのゴリラ私じっと見てるの!? 食べる気!?)」 ドリブルは上手いがパスは苦手。守備はまるで形がなっていないがスピードには目を見張るものがある。 なんともちぐはぐなはたての動きに、カルネバーレは訝しむような視線を向け。 一方で目の前で凝視されたはたては愛想笑い(のつもりだが完全に引きつっている)を浮かべながら半歩下がった。 ちなみに愛想笑いを浮かべている最中も、はたてはカルネバーレの目をまるで見れていなかった。 そしてこぼれたボールはカルネバーレチームのMFがフォローした。 直接とはならなかったが、そこを経由してボールはマンチーニへ。 結果的にはカルネバーレの狙い通りとなったが、それでも間に1人挟んだ分時間はかかっている。 故にこのマンチーニには佐野が向かう事が出来た。 佐野「よーし、ここで俺が颯爽とボールを奪って……」 マンチーニ「………………」 スッ ササッ タターッ!! 佐野「……あれ?」 マンチーニ「(国際Jrユース大会を見ていてわかったが、やはり情報通り彼の守備は軽いな……)」 もっとも、向かう事が出来ただけで、ボールを奪えはしなかったのだが。
[412]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/15(木) 23:56:43 ID:??? その後、マンチーニは向かってきたパトリツィオも抜き去り完全にサイドを突破。 そのまま中央を向き、PA内へと侵入してきたカルネバーレへとセンタリングを上げる。 これに対してカルネバーレは高く飛び上がり、慌てて守備陣もクリアーとセービングの構えを見せるのだが……。 カルネバーレ「喰らえ! これが俺の……G・ヘッドだぁ!!」 ドゴオオオオオオオオオオオオオンッ!!!! チェーザレ「ぐぼあっ!?」 高い跳躍力と体躯を生かした力任せのヘディングシュートが放たれると同時、爆発的な音を掻き立ててゴールを襲う。 クリアーに向かったチェーザレは威力を殺す事すら出来ないままあっさりと吹き飛ばされ……。 バゴォオオオンッ!! ズバァッ!! ピピィーッ!! 佐野「うげっ……(すげー破壊力……流石に威張ってるだけあるな)」 お燐「うにゃ……(おくうの八咫烏ダイブよりももしかしたら上? うそ〜……)」 更にゴールネットを突き破り、それと同時に審判の得点を告げる笛が鳴り響いた。 無論、このシュートよりも威力は上であるシュートは数多く存在する。 佐野にしろお燐にしろ、そんなシュートを敵として何度も見てきたのだ。 ただ、それでも彼らはカルネバーレの放ったようなシュートを打つ事は出来なかったし、 何よりも上には上がおろうと、それがカルネバーレのシュートの威力を否定する事には繋がらない。 実際にこうやってゴールを決められているのだから尚更だ。
[413]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/15(木) 23:58:24 ID:??? 佐野「(って、そういや『G・ヘッド』って……なんのGなんだ?)」 チェーザレ「ぐ……いててて。 やっぱりすげーなカルネバーレの『ゴリラヘッド』は」 モゼ「ああ、わかってても止められないぜ。 キーパーの……人も頑張ってたんだけどな」 バルトロメオ「俺達が束になっても止められないもんなぁ、『ゴリラヘッド』は」 佐野「へー、GはゴリラのGなのか。 ははは、そいつぁ傑作だ」 ゴン! ゴン! ゴン! ゴン!! カルネバーレ「誰がゴリラだ! バカタレ!!」 チェーザレ「げふ……」 モゼ「がへぇ……」 バルトロメオ「ごほっ……」 佐野「いってぇ〜!!」 なお、このカルネバーレの『G・ヘッド』。 当人は巨大な自身の身体と威力から『ジャイアント・ヘッド』というつもりで名づけたのだが、 周囲からの通称は完全に『ゴリラ・ヘッド』で定着してしまっていた。 ……無論、それを口にした場合、今のようにカルネバーレの拳骨が飛んでくるのだが。
[414]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/16(金) 00:00:32 ID:??? 佐野「(畜生……すげぇシュート打てるからって威張りくさりやがって! ミニゲームとはいえこのまま負けてちゃ、このゴリラにもチームの皆にも舐められちまいかねん。 こうなったら残り時間でなんとか点をとらねーと……その為には……)」 内心舌打ちをしながら、痛む頭を摩りつつ敵陣ゴールを睨み付ける佐野。 レクリエーション、互いの実力を知る為のお遊びに近いゲームとはいえ、このまま負けるつもりは毛頭ない。 時間的に逆転は難しいだろうが同点に追いつけば、まだ面目は保てるだろう。 問題は得点が出来るかどうか……先ほどまでのプレイを見ている限り、はたてはどう考えてもシュートは打てそうにない。 お燐は打てるかもしれないが、それでもMFと言っていて、得意なのはドリブルだと言っている以上自分よりは下だろう。 佐野「(俺がゴールを奪えるかどうかにかかってるな……あいつから……!)」 ブルノ「(ふふふ、生意気にもガンを飛ばしてきてやがるな。 来るなら来い……そう簡単にこの俺様の守るゴールから点は奪えんぞ!)」 このレッチェのゴールを守る正GK――ゴール前で不敵な笑みを浮かべながら、 こちらを睨み返してくるブルノを見て、ゴクリと唾を飲み込む。 佐野とブルノ――後に終生のライバル、とは絶対に呼ばれない2人の対決の時間が、 刻一刻と近づいてきていた。
[415]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/16(金) 00:03:06 ID:??? 一旦ここまで。 原作では強引なドリブルしかなかったカルネバーレですが、必殺シュートを持たせて強化しています。 威力的にはサトルステギのダイナマイトヘッドくらいですかね。 次回更新でミニゲームパートも終わり。 その後に一輪・お燐・はたて・ゴリラ・マンチーニの現時点での能力を公開出来たらなと思います。 それでは。
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0ch BBS 2007-01-24