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【SSです】幻想でない軽業師
[55]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/23(火) 21:55:15 ID:??? 反町「(もしも俺が帰るとすれば……オータムスカイズはどうなるんだ?)」 先ほど、輝夜と話した反町の今後の身の振り方。 もしも外の世界に帰るとなった場合――オータムスカイズはどうなるのだろう、と夢想をする。 自分1人が抜けた所で大丈夫だろう、と安易に考えられる程には、反町は卑屈でもなければ責任感が無い訳でもない。 キャプテンであり、エースストライカーである。その程度の自覚はある。 ただ、だからといっていつまでも幻想郷にいていいものか……という思いもいくばくかはある。 全日本というチームに対して、東邦学園という居場所に対しては未練も決して無かったが、 やはり外の世界にも友人や両親は残してきている。 常識的に考えれば、少なくとも両親を安心させる為にも、一度は帰郷しなければならないだろう。 反町「(それに将来を考えればやっぱり高校くらいは出ておかないと……。 将来……いや、幻想郷で将来を過ごすなら外の世界での学歴は意味無いのか? 高校を出るってなっても3年はかかる訳だし、その間チームを離れるっていうのも問題だし。 そもそも高校はどうしよう。 東邦……いや、うーん……別に今更日向は怖くない、けど。 かといって好き好んであいつが牛耳ってる所で過ごすっていうのもなぁ。 ただ、他校を受験するのは……そもそも俺受験勉強してないしなぁ。 いや、勉強はそこそこ出来るとは思うけど。 東邦はエスカレーター式だからまるで対策とかもしてないし……やっぱり幻想郷に残った方が……でも……)」
[56]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/23(火) 21:56:47 ID:??? むにぃ 反町「ふへ?」 穣子「なーにをまたムッツリ考え込んでんのよ、私と姉さんを前にしときながら」 と、反町が悶々とまた考え事を始めた所で、不意に頬をムニンと引っ張られた。 意識を再び現実へと引き戻してみれば、そこには頬を膨らませながら右手で反町の頬を抓む穣子。 その横では苦笑をしながら、そんな2人の様子を見守る静葉の姿がある。 穣子「こんな時まで難しい顔してうんうん唸る事無いでしょ」 反町「にゃにするんだよ……」 穣子「大会がやっと終わったってのにまだなんか心配事でもあるわけ?」 反町「いや……」 静葉「……何かあるなら、相談に乗るわよ一樹くん?」 口調はあれではあるが、穣子も心配をして言ってくれているのだろう。 その程度の事は、反町にもわかる。 しかしながら――外の世界に戻るべきか否か、2人に相談をしてもいいものだろうか。 2人が引き留めるかもしれない……と考えての躊躇では無い。 恐らくは今後の生き方を決める、大事な人生の岐路である。 だからこそ、これは――。 反町「これは多分、俺が答えを出さないといけない事だから……」 ようやく離してくれた頬を摩りながら、それだけ答えた反町。 穣子は未だに納得がいかない様子ではあったが……これ以上聞いても仕方ないと判断したのか、プイと怒ったように顔を背け。 一方で静葉は困ったように、やはり微笑を浮かべるだけで――。
[57]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/23(火) 21:58:03 ID:??? 早苗「反町くーん♪」 反町「へ? え、早苗さん?」 と、そこに反町の耳に飛び込んできたのは――やけに陽気な声。 振り向けばそこには、頬を赤らめグラスを片手にニコニコと笑みを浮かべる緑の巫女。 その背後で疲れ切ったような表情を浮かべぐったりしている、赤の巫女。 東風谷早苗と博麗霊夢、両者の姿があった。 早苗「えへへ、大会お疲れ様でした!」 反町「は、はい……(あれー?なんだか凄く上機嫌だぞ……?)」 かつては常識に囚われず、フィールドで堂々と寝釈迦のポーズを取ってみたりGKながらオーバーラップをしたり、 はたまたゴールバーで懸垂をしてみたりと、それはそれは奇行を幾度となく繰り返してきた早苗。 ただ、反町と出会い常識の大切さを取り戻してからは、以前のような訳のわからない言動やハイテンションは鳴りを潜め、 どちらかといえば大人しい部類の性格へと戻っていた筈である。 ところが、今の早苗はといえば――いつもの様子は失せ、かといって常識に囚われなくなった訳でもない。 一体どうしたのかと目を白黒させる反町だったが……。 穣子「あー……飲んでるのね、早苗」 早苗「はいっ! 飲んでます!!」 反町「つまり……(酔っぱらってるのか……)」 静葉「(あまりお酒に強くないようだものね……おまけに酒癖がいい方でもないし……)」 同じ妖怪の山に住まう者、八百万の神と風祝。 何かと親交がある静葉と穣子は、早苗の様子について見当をつけ、的確に言い当てる。 そう、何が会ったのかと言えば……単に酔っぱらっているだけ。 本来、あまり酒を好んで飲む方ではない早苗であったが、祝勝会で高揚していたという事もあってか、ついぐいぐいと。 一口が二口、二口が三口となっている間にアルコールはどんどん体内に吸収され……ご覧の有様である。
[58]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/23(火) 22:00:28 ID:??? 反町「で、霊夢さんは一体どうしてそんなに疲れ切ってるんです?」 霊夢「……こいつがあんたんとこ行くって言って聞かないのを止めてたのよ」 反町「? なんでまた……」 霊夢「嫌な予感するのよねぇ……すっごい嫌な予感」 酔っ払いを放っておく、というのは――確かにあまりいい事ではない。 が、あくまで所詮は酔っ払いである。 倒れこむ程飲んでいる訳でもなければ、気分を悪くしている訳でもない。 ただ単純にいつも以上にテンションが上がり、いつも以上に気が大きくなっているだけだ。 霊夢がわざわざ早苗の手綱を握る――しかも、反町に会いに行こうとするというのを止めていた、という言葉を聞き、 反町は首を捻るのだが……霊夢は盛大に溜息を吐く。 しかし、そんな事は今の早苗には関係ない。 早苗「反町くん、あの……約束の事なんですがっ!!」 反町「約束?」 穣子「なんかしてたの反町? っていうか早苗、声おっきい」 霊夢「(あーこれは……これは駄目な奴だわ、うん)」 思いのほか大きな声を出した早苗に、一体何事かと会場にいる者たちも反町達に視線を向ける。 そんな視線を知ってか知らずか、早苗は更に声量を上げ、満面の笑みで――。 早苗「はいっ! 大会が終わったら、ほら、その……」 反町「あ――」 早苗「私と正式に、お付き合いしていただけると!!!!!!」 ぶちかました。 ……… …… …
[59]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/23(火) 22:01:48 ID:??? 「「「「「はあああああああああああああああああああああああああああああああっ!?!?!?!?!?!?」」」」」
[60]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/23(火) 22:03:35 ID:??? 反町一樹と東風谷早苗。 2人の出会いは遥か昔である。 かつて常識に囚われないとしていた早苗は、常識にまるで捉えられないシュート力を持つ反町に一目ぼれ。 その後、早苗は紆余曲折を得てやっぱり常識は大切ですねと無意味にオーバーラップをする事を控えるようになり、 また、反町もなんだかんだで容姿端麗で(常識が戻れば)大和撫子。 男の理想とするタイプを具現化したような早苗に惹かれたのは当然の事であり、 両者は紅魔杯が終わった際、人知れず両想いの恋人となっていた。 しかしながら、その後全幻想郷Jrユースというチームに召集されるとわかっていた2人。 真面目な反町と常識的な感性を取り戻した早苗である。 大会が終わるまでは2人の関係を黙っていよう、と約束をしたのだが――。 反町「(そういや……大会終わったから、黙ってる必要も無いのか!)」 無論、あけすけに話すような必要も無い。無いが――今の東風谷早苗は酔いどれである。 1.酔っ払い 2.フランス国際Jrユース大会優勝でテンション上がりっぱなし 3.それよりとっとと愛しの反町くんとちゅっちゅしたい これらの要因が重なり合い、早苗はとんでもない爆弾発言をした。 大声で、である。 ざわ……! ざわ……!!
[61]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/23(火) 22:07:05 ID:??? これには思わず、周囲の者たちもどよめくのだが……。 早苗「……反町くん、お答えを」 反町「え、え? いや、その……(まさかいきなり来るとは思わなかったっていうか!? え、ここで俺が答え出すの!?)」 東風谷早苗は反町一樹が逃げる事を許早苗。 魔王がにげるコマンドを選ぶ事を選択出来ないとはどういう事かと混乱する反町だったが、 それでも……それでも……! 反町「(そ、そうだよな。 思えばようやく……)はい……そうですね、ようやく表に出せますね早苗さん」 反町個人としても、思春期。 色々と豊満でグラマーで浮き球3/3な早苗が相手な事はあり、また、それは差し置いても好きあっている仲である。 逃げる事は当然なく、肯定の意志を小さくうなずきながら告げ――。 早苗「えへへ……ぎゅーっ!」 反町「(う、うわーっ!? うわーっ!? ああああああああっ!?!?!?!)」 それを聞いて、早苗はやはり満面の笑みで……反町の腕に絡みついてきた。 一同が絶句をする中で――それだけ、このビッグカップルの誕生は衝撃だったのだろう――。 ともかく、早苗は幸せそうに反町の腕に絡みついてきた。 これに対して反町は右腕に伝わるたわわな幸せと恥じらいとどうしていいのかわからなさに翻弄される。 反町一樹15歳、6点フェイスの男は言うほど女性に慣れていない。 早苗「うふふふ……」 反町「さ、早苗さん?」 早苗「これからは……これからは、我慢だってしなくていいんですもんね?」 反町「え、え、ええ……まあ……その……」 早苗「じゃあ……」 言いながら、早苗はすっと身を翻し――。
[62]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/23(火) 22:08:53 ID:??? ちゅっ……
[63]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/23(火) 22:10:27 ID:??? その光景を見て――ようやく一同は、2人の関係性について、確信を得た。 魔理沙「ぅぁ……」 割と初心な者は、濃厚なそれを見て、思わず顔を赤らめ。 大妖精「あ、あわわわ……!?」 にとり「ひゅいぃ!?!?!?!?!?(恐ろしいねぇ! 恐ろしいねぇ!!!)」 臆病な者は、とりあえず理解の範疇外の――想定外の出来事に懼れ抱き。 咲夜「(え?え? え!? ずっと年下の早苗が私より先に彼氏手に入れた!? って、いやいやそういう事じゃなくて!! えっと、そう、ここは……ここは、友人として祝福すべきね!?) お、おめでとう早苗!! お幸せに!!」 妹紅「めでたいっ! 凄くめでたいね!! 反町、良かったねぇ!!」 松岡コーチ「心も身体も熱くなってきた!!」 その場がシンと静まり返ってるにも関わらず、祝福する者もいたり。 パルスィ「パ……パル……パ……パルルルルル……!!!!!」 ヤマメ「ちょ、やめなよパルスィ!! 妖夢、止めて!!」 妖夢「お任せ下さい! この魂魄妖夢、サッカーならともかく! 腕力や弾幕勝負で2ボスに負ける事などあんまりない!!」 水を得た魚のように嫉妬する者もおり。 リグル「ああ……このジュース美味しいなぁ。 おかわりください」 ヒューイ「(うーん、早くご飯来ないかな。 焼き肉と言ったら白米だよ)」 そもそも話を聞いていない者もいた。
[64]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/23(火) 22:13:34 ID:??? そんな中で、それらとはまた違う反応を示す者もいる。 霊夢「(言わんこっちゃない……やっぱり面倒な……ああもう、面倒な!!)」 酒を飲ませた早苗を、この場で反町に合わせる訳にはいかない。 そう"第六感"を働かせていた霊夢は、執拗に早苗を引き留めていたが……そんな霊夢を振り払った早苗がしでかした事は、 案の定この場を混乱させるにふさわしい爆弾であった。 大きく溜息を吐きながら、霊夢は頭を抱える。 勘の良すぎる彼女は、ここから大まかに何が起こるかを理解し始めていた――。 恐らく、幻想郷のルール自体が変わってしかねないという状況になりうる自体になる事に。 静葉「(これは……拙い……)」 てゐ「(……ここでそうくるんだー、うわーうわー。 やめてよー……これ以上永遠亭苦しめるのやめてよー……)」 輝夜「(ちょっと待ってちょっと待って……これ、幻想郷サッカー界的に考えて大問題じゃない?)」 パチュリー「(紅魔杯優勝チームの守矢フルーツズキャプテンと、トーナメント敗退ながら……。 この全幻想郷JrユースでMVPを獲得。 文字通り、世代最高の選手の栄誉を手に入れた選手のカップル……。 さて、これは……)」 一方で冷静に、この状況を分析しようとする者もいた。 彼女たちは頭を動かす事が仕事である。故に、考えた。 このビッグカップルの誕生が、一体幻想郷サッカー界に何を齎すのか――どう影響を及ぼすのか。 杞憂に終わればそれが1番である。だが――少なくとも、杞憂に終わるとは思えない、と3者は考える。
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0ch BBS 2007-01-24