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【SSです】幻想でない軽業師
[92]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/26(金) 22:13:23 ID:??? その神奈子の言葉は、正に青天の霹靂であった。 今まで反町の考えにあったのは、即ち。 外の世界に戻り、どこの高校に通うかはともかくとして――外の世界のいち学生、いちサッカー選手として生活をしていくか。 はたまた、幻想郷に残り、オータムスカイズのキャプテンとしてこれからもチームに為に戦っていくか。 その2択であった。 ただ、神奈子の提案した1つの案を聞いて気づく。 反町「(俺が……守矢フルーツズに移籍する?)」 3つ目の選択肢について。 神奈子「さっきも言ったように、早苗は私たちの為に活動をしてくれている。 サッカーをしているのも、言ってみれば、信仰を集める為だ。 幻想郷じゃサッカーがブームだからね。 君がうちに加入をしてくれるなら、早苗だって心強いだろう。 オータムスカイズのままなら、当然、敵同士という事になる。 特に君はFW、早苗はGKだ。 直接相対する事になるんだ。 ……そして、それは直接、早苗の活動を邪魔する事にも繋がる」 反町「………………」 それは考えた事が無かった。 無論、自分のシュートを受けて再起不能になりそうになった(というか実際なった)人物がいる事も、 反町はある程度把握はしている。 地霊アンダーグラウンドの古明地さとり、全日本の若林源三。 どちらも天才GKと謳われながらも反町に蹂躙され、精神崩壊まで行った。 それ程までに自分に影響力があるとは彼自身は思っていなかったが、ともかく、事実として存在する。 今後、自分がオータムスカイズで活動をするならば――当然、守矢フルーツズと戦う事もあるだろう。 そして、その時は当然……反町はストライカーとして、早苗の守るゴール目掛けてシュートをぶち込むに違いない。 その時、早苗はどうなるのか。早苗が仕える2柱はどうなるのか。 反町「(でも……)」
[93]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/26(金) 22:15:46 ID:??? それがわかった上で尚、反町は考える。 早苗の事が大切である事は間違いない、思いがようやく通じ合えた人だ。大切でない訳がない。 ただ、それと同じく、反町にとってはオータムスカイズも大切であった。 自分が全日本からも、東邦学園からも離れ、生まれ変わる切っ掛けとなれたチーム。 秋穣子、秋静葉の姉妹と共に、チームメイトを集める所から始まった。 最初は無名。木端妖怪と名前も無い妖精、そして反町のような箸にも棒にもかからない選手しかいなかったチーム。 そこから皆で練習をし、切磋琢磨し、仲間をそろえ、時にはぶつかり合い、更に時には別れもありながら……。 オータムスカイズはようやく、名門と言えるだけのチームへと変貌をした。 反町「(それに、信仰っていうなら……穣子や静葉さんだって)」 そもそも、信仰を集める為にサッカーをしているというのは、神奈子たちだけではない。穣子たちも同様である。 いつか、何故サッカーをするのかと聞いた時、そう答えてくれたのは誰だったか。 ともかく、早苗の活動を邪魔しない為に守矢へ移籍するというのなら――それは逆に、穣子たちを苦しめる事と同じになる。 神奈子「……なんなら、吸収合併という形でもいい。 オータムスカイズの選手たちが入ってくれるなら、 こちらとしてもありがたい事だからね。 大所帯だろうが、面倒は見させて貰うよ」 反町「(その口ぶりだと……母体は守矢フルーツズになる、って感じだな。 いや、仕方ないのか……。 元々のチームとしての"格"はあちらの方が上なんだし、それに紅魔杯で俺達は負けたんだ。 それに、にとりや穣子、静葉さんにとっては神奈子さん達が上司に当たるらしいし……)」 神奈子の妥協にも思える提案も、反町にとっては苦いものだった。 チームメイト全員と移籍が出来るとしても、それはオータムスカイズの名が消えるという事である。 これまで反町達が築き上げてきたチームそのものが、消えてしまうのだ。 反町「………………」 神奈子「まあ、考えておいてくれ。 ああ、そうだ。 ちなみにね」 パンパンッ! 反町「?」
[94]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/26(金) 22:17:09 ID:??? ガラガラガラガラッ!!!! 西尾?「ワシじゃあ!!」 反町「ゲ、ゲェーッ!? 西尾?……じゃなかった、カルツ!?」 意味ありげに呟いた神奈子が手を鳴らすと、ガラガラッ!と戸を開けて現れたのは――。 なんと、西ドイツJrユース所属の仕事師――ヘルマン=カルツ。否……。 西尾?「カルツじゃないわい! ワシは西尾浩司?じゃあ!!」 反町「えぇーっ!?」 そう、そこにいたのはかつて守矢フルーツズに在籍。 その後、フランス国際Jrユース開催にあたって本名と素性を包み隠さず打ち明け、 西ドイツへと帰った筈の男……カルツ改め、西尾浩司?がいた。 反町「ど、どうして西尾?じゃなくてカルツが……」 西尾?「だからワシは西尾?じゃ!! まったく、どこをどう見ればこのゲルマ……ゴホン、静岡魂溢れるワシが外国人に見えるんかのう」 反町「(今、ゲルマン魂って言いそうになった! 絶対ゲルマン魂って言いそうになった!!)」 それにしても一体これはどうしたことだろう、と反町は混乱する。 そもそも、この西尾浩司?は早苗に助っ人として呼ばれた際、 異母兄弟であるという西尾浩司という男の偽名を名乗っていた――と説明をした。 その後、静岡愛はあるが西ドイツに帰らない訳にはいかん、何せワシにはゲルマン魂があるから……と、 謎の愛国心を見せながら帰国をし、Jrユース大会で戦った事は記憶に新しい。 反町「どうしてここにいるんだ? 西ドイツに残ったんじゃないのか? えっと……西尾?」 西尾?「西ドイツに残るじゃと!? 何を言うちゅうがじゃ! ワシは生まれも育ちも静岡生まれ静岡育ちじゃぞ!!」 神奈子「……話が進まないから私から話そう。 西尾?くんについてなんだがね……」
[95]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/26(金) 22:19:12 ID:??? 曰く、こうである。 元々、西尾?もとい――カルツは確かにゲルマン民族であり、ゲルマン魂溢れたゲルマンっ子だ。 しかしながら、この守矢フルーツズにも愛着があり、そう容易くは離れがたいと考えていたという。 どうするか迷っていた訳ではある西尾?……改め、カルツ。 ハンブルグに残るか、それとも守矢フルーツズに残るか。 神奈子「ただ、ハンブルグに残ると何か嫌な事が起こりそうな予感がして……うちに残ってくれたみたいなんだよ」 反町「そ、そうなんですか……」 具体的には事無かれ主義のパサーやら人殺しシュート(反町の事じゃない)を打つMFが加入をしそうで、 心労が増えそうだという事だった。 やたら具体的だと思いながらも、一応は納得を示す反町。 反町「でも……良かったのか? えっと……西尾?」 西尾?「何がじゃ?」 反町「それは、外の世界を捨てるって事じゃないのか? 両親や、友達……寂しくないのか?」 西尾?「無論、寂しさはある。 じゃがの、郷土愛は死なずじゃ」 反町の質問に、西尾?はドン、と胸を叩きながら言う。 西尾?「神奈子さんはの、いざユース大会などが開かれる事があれば、ワシに国に戻ってもいいちゅうてくれとる。 ……言ってみれば、これはワシにとってはサッカー留学みたいなもんじゃ」 反町「サッカー留学……」 神奈子「勿論、反町くんにしてもそうだ。 日本で代表としてサッカーをしたいというなら、私が八雲紫にも話をつける」 反町「(全日本で……? …………)」 その提案は、あまり反町にとっては魅力的とは思えないものではあった。 元々、反町は西尾?のように郷土愛に富んでいる訳ではない。 日の丸をつけて闘うという事にある程度の憧れはあれど、そこまで熱心ではなかった。 むしろ反町が気になったのは、サッカー留学という言葉である。 反町「(海外サッカーでは……よく選手が移籍をして、そのチーム、その土地のいい所を吸収するって聞くもんな)」
[96]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/26(金) 22:20:55 ID:??? 西尾?「守矢はいいチームじゃぞ。 なんといっても、アットホームじゃき」 反町「………………」 それを言うなら、オータムスカイズもそうだ、と反町は返したかった。 ……妖精トリオとチルノ。風見幽香と静葉らといった問題点は抱えてはいるが。 それでも、皆が仲良くやっている……と、反町は思う。 神奈子「カル……じゃなかった、西尾?くんもうちにはいてくれる。 反町くんも、同じ外来人として、やりやすい環境ではあると思う。 ……すぐに答えは出さなくていい。 ただ、考えてみてくれないか?」 反町「………………」 元の世界に戻る。 元のチームに戻る。 それに代わる第三の選択肢――新たな環境に身を置く。 2つの選択肢で迷っていた少年は、更に新たな選択肢を提示され――そして、迷っていた。 迷う程に、3つ目の選択肢は彼にとって魅力的な提案だったという。 ……… ちなみに。 反町「あの……ところでなんで、あいつまた西尾?なんて名乗ってるんです?」 神奈子「ああ……なんでも、幻想郷の原風景を見ていたら、やはり和名を名乗るのが礼儀じゃろう……らしいよ。 本人曰く、『ワシはゲルマン育ちの静岡県人じゃ』らしいから」 西尾?「うーむ、やはりおでんは黒はんぺんに限るわい! それにしても美味いのう! 料理上手なゲルマ……大和撫子の早苗さんとよい仲になってるとは、反町も憎い奴じゃわい!!」 早苗「やだそんな……あ、西尾?くん、おかわりいりませんか? まだまだありますよ黒はんぺん! だし粉も!!」 諏訪子「(舞い上がってるなぁ、早苗……西尾?くんがゲルマンって言いそうになったのに突っ込み入れてない)」 夕食はなんとも賑やかに滞りなくとられたもよう。
[97]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/26(金) 22:22:24 ID:??? 一旦ここまで。 次回は反町の決断を書けたらと思います。
[98]森崎名無しさん:2018/01/27(土) 00:27:40 ID:??? カル…西尾?くん馴染み過ぎ シュナイダーも居なくなったし若林含め他のメンツよりはこっちのがやり易いかもしれませんね 反町が日本代表に復帰するのは考えて無かったなー。 復帰したらどうなるかもちょっとで良いから見てみたいです。
[99]森崎名無しさん:2018/01/27(土) 00:55:17 ID:??? そういえば今静岡県でハリネズミが野生化しちゃってちょっとした問題になってるんだよな 西尾?くんと何か因果関係が……?
[100]森崎名無しさん:2018/01/27(土) 01:27:16 ID:??? サイヤ人は商売種族だっ!!!! なめるなよーーーーーーーーっ!!!!!
[101]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/27(土) 23:55:04 ID:??? >>98 シュナイダーがハンブルグに残っていれば帰ったかもしれませんが、 原作程仲良くない若林しかいないなら(更にその後問題児が来るなら)守矢かなと思います。 このスレですと、三杉も中学時点で心臓病が完治している為、ユース編ではそれなりにパワーアップすると思うので、 それに加えて反町までとなるとチートクラスに強くなりそうですね……。 >>99 野生の西尾?くんが大量発生……?(難聴) >>100 ???「ホーッホッホ、見てごらんなさい、綺麗な閉店セールですよ!」 本日も更新は無しです。 多分大体2日に1回くらいのペースになっていくかなと思います。 のんびりとお待ちいただければ幸いです。
[102]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/28(日) 22:08:45 ID:??? その日の事である。 守矢神社での夕食を終え、早苗に送ってもらい帰路についた反町。 帰宅した頃は既にチームメイトの全員が(幽香だけは、Jrユース大会が終わってからも帰宅をいていなかったが)寝静まる中、 反町は自室でこれからの身の振り方について改めて考え直していた。 反町「(俺には3つの道がある。 1つは、外の世界に戻る事……)」 今更東邦学園に戻るというつもりは無い。 以前にも考えた事であるが、やはり日向が牛耳る学園に残るという気持ちは彼には微塵もなく。 しかし、外の世界には友人や両親も確かにいた。 どの高校に進学をするかはともかくとして、安寧に暮らすならばそれが1番最良の選択肢だっただろう。 反町「(2つ目は……この幻想郷に残って、オータムスカイズのキャプテンとしてこれからも活動を続けていく事)」 自分がこの幻想郷へと呼ばれたのは、正に自身の人生において1番大きな転機であった。 これからどんな分かれ道が現れようと、それは間違いのないものである。 きっとあのまま全日本Jrユースにいたままならば、自分は恐らく、十把一絡げのその他大勢役。 なんでもこなせるFWと言われながらその実ただの器用貧乏。 見る所のないまま、ユース世代で消えて行ってしまっていたと言っても過言ではない。 そんな自分が変われたのは、やはり幻想郷へとやってきたお蔭である。 オータムスカイズを設立し、このチームを、『和を大切にするチーム』として運営しようとし、 仲間たちと切磋琢磨をしてここまで大きくした。 結果、反町も……そしてチームも、名門と呼ばれる程にまで成長を遂げる事が出来た。 迷いながら、それでも、これまでの反町ならば2つ目の選択肢に比重がやや傾いていた。 ただ、今日、知ってしまった……3つ目の選択肢がある事に。 反町「(そして……3つ目。 幻想郷に残り……守矢フルーツズに移籍をする……)」 ………
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0ch BBS 2007-01-24