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【サッカーも】キャプテン岬3【ゲームも好き】
[297]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2020/05/03(日) 15:13:34 ID:ckL9aHIw 申し訳ありませんが、本日は投稿を休ませてください。5月5日の岬君の誕生日に投稿できるよう、 全力を尽くして執筆いたします。
[298]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 00:46:46 ID:2vLj8NCA 今日は我らが主人公岬太郎君の誕生日という事で、 Twitterにて誕生日イラストを投稿してみました。興味のある方はこちらより ご覧になってはいかがでしょうか。 https://twitter.com/sc3loyupbCmTqIC/status/1257324276178235392 この物語につきましては、本日または明日にでも投稿できるよう、努めてまいります。
[299]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 18:59:54 ID:2vLj8NCA 第5.1話『覚悟を決めろ』 B クライマックス直後の感極まった時に、そっと声をかける ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 岬「(やっぱり気分が最高に盛り上がった時が話しやすい。いい気分になって話を受け入れやすくなる。ここは待とう)」 ジナイーダの片想いの相手が分かっていない以上、クライマックスはまだのはずだ。そこまで待って ハイテンションになった時に声をかけてみよう。そう思って声をかけ驚かせたくなる衝動を抑え、あと少しだけ待つことにした。 そして残りのページが爪でつまめそうになる位に少なくなってきた時、遂にその好機が到来した。 『木造の小さな家のあけはなされた窓に向って、背中をこちらへ向けながら、 父が立っていたのである。父は胸を窓がまちにもたせていた。 家の中には、カーテンに半ば隠れながら、黒っぽい服を着た女が坐って、父と話をしている。この女が、ジナイーダだった。 わたしは立ちすくんでしまった。全くのところ、そんなことは思いもかけなかったのである。 わたしのしかけた最初の動作は、逃げ出すことだった。 『父は振返ふりかえるかもしれない』と、わたしは考えた。――『そしたら、もう万事休すだ』…… けれど、不思議な感情が――好奇心よりも強く、嫉妬などよりまだ強く、恐怖よりも強い感情が、わたしを引止めた』 岬「(お…きたきたきましたよ)」
[300]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:01:29 ID:2vLj8NCA 思わせぶりな描写、そして残り枚数からして、主人公の父親がジナイーダの片想いの相手だろう。 ここまで来てこの昼ドラ的な展開から見て、ここがクライマックスに違いない。この予感は、すぐに証明された。 『その彼女の顔を、今なおわたしは目の前に見る思いがする。 ――悲しげな、真剣な、美しい顔で、そこには心からの献身と、嘆きと、愛と、一種異様な絶望との、 なんとも言いようのない影がやどっていた。 そうとでも言うほかには、わたしは言葉を考えつかない』 岬「(やっぱりそうだったか、さてどうな)」 聖薇「ああ!」 ハッとして顔を上げる。僕の存在に気付かれたかと思ったが、聖薇は相変わらず視線を本に向けたままだ。 主人公の父を引き留めようとしたジナイーダがその相手から思い切り、腕に鞭を打ちすえられているところを読んで、 哀切な声を上げていたらしかった。その後の聖薇の仕草といったら! 僕の頭では詩的な感情を表せないので、文豪の表現を借りてみたい。 『聖薇は、ぴくりと体を震ふるわしたが、無言のままちらと想像の恋人を目の前に見ると、 その腕をゆっくり唇へ当てがって、(想像上の)一筋真っ赤になった鞭のあとに接吻した』
[301]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:03:37 ID:2vLj8NCA そこまで読んでため息をつき、再びそのキズ1つないきれいな腕に口づけした後、 折り畳むようにゆっくりと本を閉じ、ベンチの隅に置いた後に顔を上げ、 葉が散って隙間が大きくなったマロニエの枝の間越しに空を見上げ、つぶやきだした。 聖薇「わが悲しみは、ただひとり君の姿にみたされて……このわびごころ、何ものの乱し騒がすものもなし。 かくて胸は、またも燃え、恋いわたる……愛さでやまぬ胸なれば」(※) 今だ。 岬「お嬢さん、空を見つめてごらんなさい」 ここが機だ。僕が彼女の物語に入り込み、彼女の心へ働きかける絶好のチャンスだ。 岬「日の光と風を感じなさい。鞭の痛みが生きる希望になるものでしょうか」 聖薇「光も、風も、私には届きません。見上げたところで、あの人は……」 悲嘆にくれた表情で返事をしたところで、ハタと口が止まる。悲しみにひたっていた表情が元に戻り、 そしてすぐに、みるみるうちに顔を赤く染めあげながら、サビついたブリキ人形のようにぎこちなく振り向いて、口を開いた。 聖薇「み、み……みみみ、みさ、き、くん……?」 ※:アレクサンドル・プーシキンの抒情詩『グルジヤの丘の上』より。 『初恋』でもジナイーダが主人公にその個所を読ませるシーンがある。
[302]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:13:53 ID:2vLj8NCA 返事の代わりに、僕は体をさらに聖薇へ近づけ、互いの腕が接する程近くに接近した。 聖薇「ひゃっ」 この反応、この表情、何よりこの間の勉強会の時とは別人としか思われない、甘い悲鳴。 ここまで見て僕に対し、少なくとも好意的にとらえていると考えても決して自惚れとは言われないだろう。 そうであるなら、相手が戸惑い混乱しているこの時に、衝撃を与えなくては。 岬「ゴメン、もっと早く声をかければよかった。夢中になって本を読んでる早乙女さんが可愛くて、つい」 聖薇「えっ……か、かわいい?みさきくんが、わたしを?」 とろけたため息のような返事を聞きながら、先の希望的推察を事実として受け止めた。 そして優しい笑顔を浮かべながら、次の行動について頭を働かせる。 岬「(ここまで好意的だったとはね、うれしい誤算だ。ただ、ここはまだ、しばらく辛抱しないといけないだろう。 ここで彼女との仲を決定的にする事は簡単だ。 『聖薇、愛しているよ、いつまでも一緒にいよう』 そう言えば彼女は大喜びで僕に飛び込み、遠からぬうちに全てを僕に捧げるようになるだろう)」 以前父さんが語った早乙女財閥の話が胸に飛来する。だが今は、これを奥深く押し籠めなくてはいけない。
[303]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:15:10 ID:2vLj8NCA 少々、私用につき中断いたします。続きは午後8時までに投稿いたします。
[304]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:46:48 ID:2vLj8NCA 視線を彼女の頭上へと飛ばす。その先には僕と早乙女母娘、そして千早とあずみとで食事をとった、あのテーブルが見える。 岬「(まずは生き残らないと。沙織さんの預言と勾玉の発光から見て 千早・あずみ・聖薇の3人の協力が無いと優君は殺される)」 祖霊『心してかからねば命は落ち、落命せずとも命運は尽きる』 少し前に叔母の沙織さんによる神おろしで語った先祖の言葉が、頭の中に蘇ってきた。 理不尽ではあるが3人力を合わせて戦わねばならない以上、彼女に深入りしすぎるとあずみと千早との仲に不和が生じ、 それによって不測の事態が起こるかもしれない。 岬「(あずみちゃんは特に気を付けないと、聖薇を敵視していたしなあ。それに)」 素直で淳良、そして人のために自分の命も惜しまなかった、幼子の顔が脳裏に映る。 岬「(1度自分が助けた子供を、見ないふりして殺されるのを見たくはないしね。さらに)」 思考を切り替え、今度は別の仲間について思案をめぐらす。 岬「(あずみちゃんと千早さん、今まで僕は多くの人に出会ってきた。女の子だって数え切れないほどに。 でもあの2人は、上手くは言えないけれど……他とは違う気がする)」
[305]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:48:17 ID:2vLj8NCA 岬「(これからもっと大きくなるというか、光るものを持っているというか。 勾玉の件が印象に残り過ぎたのかな?いや、それ以前からだ。 少なくともあずみちゃんは、サッカーで人並外れた才能を見せたじゃないか。まあ活躍はアレだったけど、ともかく)」 視線を聖薇へと戻す。そろそろ話をつなげて、不安がらせたり勘づかれたりされないようにしなくてはいけない。 岬「うん。その顔を見ると僕も、ホッとした気持ちになれるよ……ただ」 聖薇「ただ、どうしたの?」 岬「あ、いや、大した事じゃないんだ。ただ、読書するところを見てて気になる事があったから……」 わざと受け答えに間を開けて相手に尋ねさせ、やむを得ずという風にして語りだす。 岬「さっきの朗読を聴いていて、物語の少女が恋に苦しんだり、鞭打たれたりした時の語りが、 他のところと比べて妙に熱がこもっているというか、真に迫っているというか。 ひょっとしたら、何か悩んでいる事があるんじゃないかって」 勘違いだったらゴメンと言い添えた後、反応を見るべく彼女をジッと見つめてみる。 僕との視線が合った瞬間、彼女はハッとした顔つきになり、そして次第に苦しげな、 申し訳ありませんでしたと言いたげな顔色となっていく。 しばらく見つめあっているうちに耐えきれなくなり、顔をそらしてしまった。
[306]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:49:18 ID:2vLj8NCA 岬「大丈夫、つらいなら話さなくていいし、僕も見なかった事にするから」 聖薇「いえ、待って」 聖薇は今だこちらに振り向かずに話す。話すというより腹の底から無理無理しぼり出したような語気だ。 聖薇「わたし、は」 何とか語りかけようとしてきたが、途中で息がつまったようだ。 荒い吐息を叩きつけるように何度もついてから、僕に振り向き、告げた。 聖薇「私は、岬君が、大好きです」 途切れながらも一気に告白してから、ギュッと堅く口と瞼を締めてしまった。 勇気を振りしぼった反動が押しよせているのだろう。 こめかみの震えが治まり、目が再び開きだしてから、告白を続けた。
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0ch BBS 2007-01-24