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【サッカーも】キャプテン岬3【ゲームも好き】
[326]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/17(日) 11:02:51 ID:Z4JbIyWA 第5.3話『聖薇の正体、そして過去』 聖薇がル・エストの鍵を開け、ドアを開く。長く話をしていた事もあって日が傾いていたためもあるが、 窓という窓にカーテンがキッチリと敷かれていたため、室内は数m先の視界がおぼつかなくなる程に暗かった。 聖薇「ごめんなさい。今明るくします」 そう詫びた聖薇からカチリと音がして、ボンヤリと薄暗い光が頭上から部屋を照らし出す。 横浜あたりの観光街道に見られるガス灯を模した電灯の形も相まって、男女の密か事にふさわしい雰囲気をかもし出していた。 岬「(いけない。別にこれから、アレだ、ヘンな事をするわけじゃない。ただ話を聴くだけだ)」 聖薇「よろしければ、お茶でも」 岬「あ、うん、ください」 少しお待ちくださいと言い残し、聖薇は奥へと退いていった。暗闇からこれまたボンヤリとした光が漏れ、 続いてカチッとガスコンロの点火音が聞こえた後に、お盆にティーカップ、ティーポットを載せて運ぶ聖薇が見えた。 聖薇「粗茶ですが」 岬「いえいえ、ありがとう……これ、紅茶なんだ」
[327]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/17(日) 11:04:12 ID:Z4JbIyWA 聖薇「はい、スーぺリア・ダージリンです。もしかして紅茶は」 岬「いや、嫌いじゃないよ。ただ久しぶりに飲むなあと思って」 家で飲むのは水か牛乳、日本にいた頃はそれに麦茶が加わる程度で、紅茶などは数える程しか口にした事が無い。 とはいえせっかくの好意であるし、本題に入る前にリラックスしよう。そう思って紅茶に口を着ける。 岬「うん、おいしい」 聖薇「そうですか、よかった」 岬「まろやかで、とろんと優しく口の中で広がって、いい感じ」 上品な味わいにふっと満足げにため息をつく。しいんとした暗がりの中に吐息は浸み入り、 ここに聖薇と2人きりになっている事を意識させられる。 聖薇「本当によかった。この紅茶、私の好きなお茶ですから」 僕が飲むのを目にしてから、聖薇も紅茶を口にする。向かい合った中で飲む紅茶。 静かなひととき。 しばらくそうして何もせずに紅茶を飲み、ほとんど無くなりかけたところで、僕を呼ぶ声が聞こえてきた。 岬「なんだろう」 聖薇「そろそろ、話の続き、させてもらえないでしょうか」
[328]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/17(日) 11:06:04 ID:Z4JbIyWA 本題について切り出してきた。口をふき両手を膝の上に揃えながら、話を再開する。 聖薇「これから話す事は、誰にも話さないと、約束してくださらないでしょうか。友達にも、先生にも、私の母にも…… 母さんから、堅く口止めされてますから」 岬「うん、絶対に誰にも話さない、約束する」 出来るだけ安心感を与えられるよう、声色に混じり気ない返事をする。それを聞いて少しホッとした顔色になった後、 隠し続けてきた秘密というのを、僕に明かしはじめた。 聖薇「日本の五大財閥に水瀬、片桐、東豪寺、若林、そして早乙女財閥がある事は知っていると思います」 岬「うん(早乙女財閥……やはりそうか)」 素知らぬ顔をして、聖薇の告白を聞き続ける。 聖薇「その早乙女財閥内の、早乙女電子株式会社は、ご存知ですか」 岬「まあ、日本にいる頃にCMで見たし、パソコンとか売り出している会社だったような」 ここまで返事をして、ようやくハタと思い至ったという風に話を打ち切り、もしやという口調で、問いかける。 岬「まさか、いや、もしかしてだけど、早乙女さんって」 聖薇「そのもしか、です。私は早乙女電子の元代表取締役社長早乙女愛の長女、早乙女聖薇です」
[329]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/17(日) 11:08:00 ID:Z4JbIyWA 父さんが語った通りだった。聖薇が早乙女財閥の御令嬢だという話は、本当だった。 岬「そうか、そうだったんだ、今までちょっと、失礼なことでもしてたかな」 聖薇「そんな!」 慌てて僕に飛び込んで抱きつき、矢継ぎ早に哀願した。 聖薇「そんな事はありません!お嬢様だからって遠慮して離れて行かないで、 クラスの皆と変わりなく接してくれて、ただのクラスメイトとして気遣ってくれたことがどれだけ嬉しかったか。 上げ奉らないで、どうかクラスメイトの早乙女聖薇として、一緒にいさせて……」 親しい相手が去ってしまうかもという恐怖と焦燥を受け止めながら、ゆっくりと赤子をなだめるように聖薇の頭を撫でてやる。 無心にすがりつく聖薇の姿を見て、愛おしさが湧かない訳では無かったが、後の事を考えぐっとこらえる。 どれだけ時間がたっただろう。ようやく落ち着いた聖薇は取り乱した事を詫び、眼鏡を据え直した後、告白を続けたのだった。 先着で ★聖薇の過去 !card★ と書き込み!とcardの間の隙間を埋めて下さい。スートで分岐します。 ダイヤ絵柄・JOKER→?「……よう」岬・聖薇「「あなたは!!」」 ダイヤ〜スペード→クラブ+過去についてより詳細に語る クラブ→過去に何があったか、なぜ風紀委員長になったかを語る
[330]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/17(日) 11:56:16 ID:Z4JbIyWA 一旦ここまでといたします。なお、岬君が後日あずみちゃんへ告白する事を決めていますが、 あずみちゃんが受け入れるか、そもそもどう反応するかは、スムーズにいくかもしれませんし いかないかもしれない事を御留意お願いいたします。
[331]森崎名無しさん:2020/05/17(日) 12:29:14 ID:??? ★聖薇の過去 スペード3 ★
[332]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/24(日) 17:00:18 ID:rU+8pYsg 申し訳ありません。今週はお休みさせてください。
[333]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/28(木) 00:10:56 ID:WkquqaaE Twitterにてキャプテン岬のメインヒロインのうちの1人、早乙女聖薇さんの イラストを投稿いたしました。興味のある方はこちらよりご覧になってください。 なお、年齢は原作にちなんで高校生の頃の姿となっております。 ・セーラー服姿の聖薇さん https://twitter.com/sc3loyupbCmTqIC/status/1265659499253084161 ・ビキニ水着姿の聖薇さん https://twitter.com/sc3loyupbCmTqIC/status/1265660198909145088
[334]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 16:57:13 ID:8HS4w75M ★聖薇の過去 スペード3 ★→過去に何があったか、なぜ風紀委員長になったかを、詳細に語る ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 聖薇「先にも言いましたが、私は早乙女財閥次期総帥の長女として、父母妹と4人、家族と共に日本で暮らしていました。 皆とても優しく穏やかで、一緒にいた日々が忘れられません。……離れ離れになったいきさつと共に」 岬「(会えなくなった?離婚でもしたかな)」 ドロドロとした話でも来るか、そう思った僕だったが、耳に聞こえてきたのはより奇怪な話だった。 聖薇「何年か前に日本で起こった、連続切り裂き事件は覚えてます?」 岬「まあ、テレビで見た位は」 もう何年前だったかも思い出せないが、東京のどこかの高級住宅地を中心に何度もバラバラ殺人が発生していた。 手がかりすらろくに見つからず一向に犯人が捕まらない事もあって、 「和製切り裂きジャック」だのあれこれ毎日のように騒いでいたんだっけ。 聖薇「その時私の家のすぐ近くでも起きたので父と母が心配して、 それまでの車での送迎に加えて、私のためだけにガードマンを3人もつけてくれたのです。 万が一にも危ない目に合わないようにって」 そこまで語ってから、聖薇は大きく深くため息をついた後、恐ろしい話を語りはじめたのだった。
[335]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 16:58:18 ID:8HS4w75M ――― ――――― ――――――― ――――――――― 『うわっ!』 突然体が宙がえりになり、強かに落下して頭を「天井に」打ちつけてしまいました。 それも私だけではなく運転手も、そして山の大きいガードマン達も揃って打ちつけられてしまっていたのです。 瞬時のうちに私達を乗せた自動車が、空き缶を蹴飛ばすように激しく横転していたのでした。 打ちつけた頭の痛みにうめく暇もなく、非難のためガードマンに腕を引っ張られながら、なんとか外に出ました。 そして立ち上がってその場から立ち去ろうとした時、しぶきが顔にかかりました。 はじめは水しぶきだと思いました。その日は雨が降っていましたし、水たまりもあちこちにできていましたから。 ですが目元をぬぐった手が赤黒く染まり、目の前で運転手さんが金切り声を上げて倒れるのを見て、 私の顔にかかったのは血だと、理解させられました。 運転手さんが道路へ倒れ伏した先には、1人の男性が立っていました。それも様子が普通ではありません。 何しろ雨が降り続いているというのに、その人の周りには透明な膜でもあるかのように雨がドーム状によけて通っていたのですから。
[336]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 16:59:52 ID:8HS4w75M その奇怪な現象と、鉄サビをこすり合わせたような不気味な笑い声を聞いて、この人が例の殺人鬼だと直感いたしました。 ガードマン達もそう思って私の前について身構えたのですが、その屈強な人達が全員、 かまいたちに切り刻まれる木の葉のように、何mも離れた相手に瞬時にズタズタにされ、断末魔を上げて倒れてしまいました。 周りの人達を音もなく殺してしまった後、その人は私を見て薄笑いを浮かべながら、私に向かって歩き出してきました。 その時私がどう思ったか!あの血の気の無い薄笑いは一生忘れることはないでしょう。 恐怖のあまり口が裂けそうになる程に叫んで、気を失ってしまいました。 ――――――――― ――――――― ――――― ――― そこまで語ったところで、聖薇にしてはらしくもない荒いため息が吐き出されていた。 僕がそっとティーポットを持ってカップに注いで渡しても、わずかにうなづく以外は反応する気力も残ってないようだった。 重く静まった聖薇の心情をかき乱さぬよう黙って待っているうちに、聖薇が語りを再開した。
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0ch BBS 2007-01-24