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【サッカーも】キャプテン岬3【ゲームも好き】
[336]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 16:59:52 ID:8HS4w75M その奇怪な現象と、鉄サビをこすり合わせたような不気味な笑い声を聞いて、この人が例の殺人鬼だと直感いたしました。 ガードマン達もそう思って私の前について身構えたのですが、その屈強な人達が全員、 かまいたちに切り刻まれる木の葉のように、何mも離れた相手に瞬時にズタズタにされ、断末魔を上げて倒れてしまいました。 周りの人達を音もなく殺してしまった後、その人は私を見て薄笑いを浮かべながら、私に向かって歩き出してきました。 その時私がどう思ったか!あの血の気の無い薄笑いは一生忘れることはないでしょう。 恐怖のあまり口が裂けそうになる程に叫んで、気を失ってしまいました。 ――――――――― ――――――― ――――― ――― そこまで語ったところで、聖薇にしてはらしくもない荒いため息が吐き出されていた。 僕がそっとティーポットを持ってカップに注いで渡しても、わずかにうなづく以外は反応する気力も残ってないようだった。 重く静まった聖薇の心情をかき乱さぬよう黙って待っているうちに、聖薇が語りを再開した。
[337]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 17:03:01 ID:8HS4w75M 聖薇「意識が戻った時、私は病室のベッドで横たわっていました。 妹が泣き叫びながら飛びついて、父と母までが頬に涙を濡らしているのを見て、あの出来事は 夢でも幻でもなく現実に起こったの事なんだと、否応なく受け止めざるをえませんでした。 体の方はどういう訳か傷1つなく、検査を受けてもおかしいところはなかったのですぐに退院できました。 ですが家に返って静かな自分の部屋へ戻ってみると、 あの凄惨な光景がかえって鮮烈に蘇ってきて、絶えず恐怖に襲われるようになりました。 ドアが不意に空いただけでも叫び声をあげるぐらいで、悪夢はどれだけ見たか数え切れません。 外出はおろか外を眺めるのさえ怖くなって、家の中で閉じこもっていました。 ただただそうしてあの恐ろしい記憶が私をむしばみ続けていた頃のある日、母が私に告げました」 早乙女『聖薇、2人で一緒に、殺人鬼の追ってこれない所で過ごしましょう』 聖薇『2人で、って、母さんのお仕事は』 早乙女『辞めました』 聖薇『ええっ!?』 聖薇「母は私を元気にするために、大企業の社長の地位を投げ捨てて、 異国の地で2人きりで生活する道を選んでくれたのです。 日本にいる頃は仕事で月に1度も会えませんでしたのに。 他の家族と離れるのは寂しかったですが、母がいればきっと何とかなる、 漠然とですがそんな風に思って、パリに移り住む事になったのです」
[338]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 17:05:00 ID:8HS4w75M 聖薇「そうして母と一緒に本を読んだり、料理を作ったり、あちこちを散歩したりしているうちに、 いつの間にか自分の内に怖いという気持ちが消えてなくなっていきました。 そして学校に通うようになってから、みんなにはこんな怖い思いはしてほしくない、 ずっと安心して過ごしていけるようになってほしいと思って、 風紀委員へと入り学校内の安全と安全を脅かすであろうモノについて、目を光らせていました」 明かされなかったこれまでの境遇と、その心。忘れないようにと 頭に今までの言葉を刻み込んでいると、またも言葉がかかってきた。 聖薇「ですから私が優君を護ろうというのは、ただ義務として、あるいは関心を引くためだけに行こうという訳では無いのです。 今の私のように、人生に悲惨な事があってほしくない、ずっと幸せでいてほしい。その一心だという事を信じてほしくて」 岬「う、うん、分かったよ」 聖薇の決意に同意したところで、自分の胸の内に置いていた疑問を晴らすべく、聖薇に尋ねてみた。 岬「そういえば、日本で襲われて気を失った時に、何か覚えていた事はある?」
[339]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 17:07:08 ID:8HS4w75M 聖薇「あの時に、ですか?いえ全く」 岬「それじゃあ、この間の試合の後の事は?荒くれ達に向かって行った時の事」 聖薇「あの時……あの時も、ボールが私へと飛んできたのを見てから、記憶が途切れてしまってまして。 気付いた時には早川さん達に担がれて家に運ばれていました」 岬「(直接の記憶はなしか)お母さんからは、何か言われなかった」 聖薇「それですけど、何でも私がフランスの男の子達をいたぶっていたという話を聞かされたみたいで、 『あまりおてんばが過ぎないようにね』と、パリに来てからはじめて叱られてしまいました」 岬「(ははあ、あずみちゃんだな)」 快く思っていない相手だけに、聖薇がしでかしてしまった事を誇張して話してしまったのだろう。 あの母親の事だから本気にはしていないだろうが、後日機会を見つけて彼女をたしなめないといけないか。 そんな事を思いながら、話を核心へと進める。 岬「その記憶の無い時なんだけど、その時の早乙女さんは口調も態度も随分と漢っぽくなっていた。 しかも雰囲気だけの話じゃなくて、あの荒くれ達を全員、ボール越しに次々と吹き飛ばしていたんだ」 聖薇「え、わ、私が、あの人達を!?」 岬「そう、あっという間にね。まるでお話に出てくるような、もう1つの人格が発現したみたいに。 そして最後に、それとも違うような妙な事を言っていたね。『俺の愛のために』って」
[340]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 17:08:34 ID:8HS4w75M 聖薇「俺の愛って、もしかして、母の」 岬「おそらくね。人格が違うというより、全くの別人のようだった。何か心当たりは」 聖薇「いえ、私も初耳でした。そんな不思議な事が私の身に起こっていたなんて。今日の夜にでも、母に尋ねてみます」 聖薇には何かが憑いている。しかし本人には全く意識も心当たりも無いという。 これ以上尋ねても進展は無さそうだったので、その後二言三言とりとめもない話を交わした後、帰宅する事にした。 別れの挨拶を口にして外に出る。ドアからカチリと鍵のかかる音を後ろにして立ち去ろうとした時、かけた鍵を外す音が聞こえ、 次いで慌ただし気にドアが開いて、聖薇が僕を呼び止めた。 聖薇「お待ちください。言い忘れていましたが、実は来月に私の誕生日がありまして。 もしお暇でしたら、お越しになりませんか」 そのあまりに嬉しげな、僕の訪問を期待した笑顔を見て、 普段の僕にはあり得ない事だが、考えもせずに行くと返事をしてしまった。 その後家路に着きながら、あずみちゃんの事を思い出す。まだ関係を整理していないのにと後悔しきりだった。 だが、すぐに悩む必要はなくなった。
[341]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 17:10:27 ID:8HS4w75M 翌日の朝、服を着替え終わって朝食の準備に取り掛かろうとしたところで、電話が鳴った。 受話器を取ると聖薇の声が、気ぜわしげに耳に伝わる。 聖薇「すみません、今日から私、しばらく学校を休みます」 岬「今日から?どうして」 聖薇「ごめんなさい、すぐに切らないといけなくて、これから少なくとも1カ月は、日本に戻らないといけません。 詳しい話は日本に着いてから話しますので、それでは」 失礼しますと言い残し、電話を切られてしまった。聖薇らしからぬ乱雑とさえいえる説明不足と慌てぶり。 岬「(まあ、誕生会が中止になっただけでも良しとしよう)」 そう自分に言い聞かせて受話器を置いた直後、またもけたたましく電話が鳴り響く。 かけ直しかと思ったが、今度は電話越しにも分かるほど、心が浮き立っている人間の声が聞こえてきた。 沙織「ああ太郎くん!ビッグニュースよ!日本に戻って、いや私の人生で最大の、飛び抜けた上客から神おろしの依頼が!」 無間神社パリ分社を建立した後、運営が落ち着いてきたところで沙織さんは日本での様子を確認すべく一時帰国していたのだ。 その沙織さんに、飛び切り金払いのいい相手から依頼が来たという。その名を聞いて、僕は目を見開いた。 沙織「相手はなんと、早乙女電子の元社長さん!その娘さんにとり憑いているのは誰か、教えてほしいって!」
[342]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 17:12:24 ID:8HS4w75M *聖薇の感情値が6→13(最大値)になりました。岬の提案を無条件で受け入れるようになります。 更に「信頼」「親友」段階のボーナスも適用されます。詳しくは前スレの464レスを参照の事。 http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1536464753/464 *聖薇の各人に対する感情が以下のように判明いたしました。 聖薇→(大好き)→岬 聖薇→(だらしない・劣等感)→あずみ 聖薇→(感謝・劣等感)→千早 と、いうところで岬と聖薇の1エピソードはいったんここで終わりです。 ちなみに聖薇の誕生日を11月にしたのは、後々の誕生日が他の主要人物と重ならないように というこちらの都合による独自設定となります。 如月千早:2月25日 岬太郎:5月5日 早川あずみ:不明、7・8月頃が望ましい? 早乙女聖薇:11月に設定 聖薇とあずみの誕生日はまた後日確定する事といたします。その際は皆様の意見もうかがってまいります。 最後に、月の最後に得られる、今月分の岬君の収入を決定するために、以下の投稿をお願いいたします。 空白は埋めて投稿してください。 ★このようにかせぐのだ⇒10+!num+!numフラン★ それでは、本日の投稿はこれで終わりといたします。
[343]森崎名無しさん:2020/05/31(日) 19:40:48 ID:??? ★このようにかせぐのだ⇒10+ 8 + 9 フラン★
[344]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2020/06/07(日) 21:51:06 ID:+spIrzDw すみません、本日は投稿をお休みさせてください。明日投稿出来るよう尽力いたします。
[345]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/06/08(月) 18:19:28 ID:uFaMwq9o ★このようにかせぐのだ⇒10+ 8 + 9 フラン★→27フラン獲得! ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 第5.4話『このようにかせぐのだ』 僕は今、ヴォルテール通りのアタリフランス社前にいる。 より正確には、1階のゲームセンターとゲームソフト売り場を横目に抜けてたどり着いた、2階のオフィス入口にいる。 あずみ『受付に着いたらこれを渡して、話は通しておくから、問題なくキーを渡してくれるわ』 以前の打ち合わせで聞いた言葉を思い出す。胸ポケットから丁寧に折り畳んだ紙切れを取り出した後、受付へと歩いていく。 受付嬢「こんにちは、かわいい坊ちゃん、何かごよう?お名前は?」 幼さが残る少年がおずおずと自分の前に歩み出てくるのを見て、 受付嬢としてではなく1人の年上の大人として、鷹揚としたところをみせようとする気持ちがくすぐられたようだ。 岬「はい、岬太郎です!あずみちゃんからここに来てほしいって言われました!」 これから金銭の受け渡しを円滑に続けるには、万が一にも疑われたりしないように、相手の望んでいるイメージへと応えてみた。
[346]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/06/08(月) 18:20:29 ID:uFaMwq9o 受付嬢「あら、プリンセスから?そう、ふふ、うちのプリンセスはやんちゃで男勝りだけど、いい子だから大事にしてあげてね」 あずみちゃんは親の会社の人達からも可愛がられているようだ。密かに頭へ情報を浸みこませた後、 何食わぬ顔で「書類」を渡す。受付嬢はその1枚の紙を手に取って、目を丸くした。 岬太郎に対し、第2保管室の505キーの貸与を認める。 また、この証書により当該人物の第2保管室の入室を認めるものとする。 アタリ株式会社フランス支社代表取締役社長 早川こずえ フランス語でこう言った内容の文書を渡す。 まさかこんな子供から社長直々の指示書類が渡されるとは思わなかったのだろう。 まごつきながら机の下から鍵を取り出して僕に渡し、保管室までの道筋を説明した後で、 いってらっしゃいませと恭しく頭を下げて見送ってくれた。 岬「(しかし、いくら一人娘の頼みとはいえ、支社長の名前を使ってまでここまでするとはね)」 そこまで自分の子供を溺愛しているのか、それとも商売に貪欲なのか。 あずみ母の思惑に想いを馳せているうちに、第2保管室へとたどり着いた。
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0ch BBS 2007-01-24