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【井沢滝長野】キャプテン森崎10【南葛トリオ】


[330]2 ◆vD5srW.8hU :2007/07/08(日) 02:10:32 ID:???
小田は燃え尽きていた。

自分はいままで何をやってきた?攻撃に参加もせず、守備でもロクにボールに触れていない。

3年間必死にやってきた。南葛小の頃から頑張れば何時かきっと上手くなれると信じて、翼、岬、石崎の
影を追い続けた。南葛中に衆哲の選手達が入ってきた時は絶望しかけたが、どうしても諦めきれず
厳しい練習に耐え続け、華々しい活躍をする翼や森崎の姿を見ては自分を奮い立たせ続けた。
そして3年生になり…ようやくスタメンの座を掴んだ。彼の夢はかなったのだ。

しかし、その夢が悪夢に変わるのに時間はかからなかった。スタメンになって、今まで自分はどれだけ甘かったのか
思い知らされた。他の選手達とは才能も実力も違う事を毎日確認する羽目になったのだ。
憧れ続けた理想郷は劣等感と言う名の針のむしろだった。味方からは期待と信頼の代わりに
しらけた視線と叱責、時には罵声すらをも送られ、後輩達は虎視眈々と下克上を狙う獣となって彼の周りを取り囲んだ。
それは彼の追い詰められた精神状態が作り出した幻想が多分に含まれていたが、
心に積み重なり続けた想いは現実となる。彼が夢見続けたスタメンの座が現実となった様に。

誰かを憎む事ですりきれた心を癒す事も出来なかった。彼は本来優しく大人しい男であったし、
チームメイト達は彼を表立って責めた訳ではなかった。憧れ続けた彼らの才能を妬む気持ちはあっても、
そんな彼等の役に立てていないと言う罪悪感の方が遥かに大きかったのだった。

スタメンだと苦しい。でもスタメンから降ろされたくない。皆が羨ましい。けど皆に迷惑をかけているのは俺だ。
だから努力し続けるしかない。でもどんなに努力してもダメだ。誰かに助けて欲しい。でも泣き言なんて言えない。

追い詰められながら全国大会を戦ってきた小田強。彼の心は人知れずボロボロになっていた。
そして準々決勝、敵が放った心無い一言とニヤケ顔が…張り詰めた糸を切り…
サッカーのルールを忘れたプレイに及ばせた。

そして、それも通じなかった。

現実は何処までも彼に冷たかった。


0ch BBS 2007-01-24