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【サッカー少年】キャプテンEDIT【奮闘記】


[178]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/19(金) 01:05:03 ID:???
菱野は大前の事を初めて見たときのことを鮮明に覚えている。
それは、マネージャーとして入部するより以前のこと――大前が、雪村に引っ張られるようにして乱入に加わった際の事だ。

子どもの頃から華道や茶道など、親に押し付けられた窮屈な稽古ごとに追われていた。
だから、自己の肉体を駆使して他者の思惑を超えていくようなスポーツ選手は、憧れの対象だった。
中学に上がったら、運動部に入部したい。
そう思うようになるのに対して時間はかからなかった。
だが、運動神経に恵まれない菱野は、選手としての活躍は望めない。周囲の足を引っ張るおそれがあった。
そんな周りとの軋轢を生みかねない道は彼女には耐えられない。
だから、マネージャーになろうと思ったのだ。
憧れの対象の近くに侍り、その力添えとなる。
妥協の産物の様な願望であるが、菱野本人の気性もあって、それはやがて、胸中で強い願いに育っていった。

(マネージャーになるなら、サッカー部にしよう)
(野球ほどメジャーじゃないから、マネージャーにも事欠いているだろうし)
(それに、これから行く学校ではサッカーが強いみたいだし)

だからサッカー部が当時、マネージャーを募集していなかったことは、菱野を落胆させた。
子どもらしい小さな打算を孕んだ願いを打ち砕かれ、トボトボと帰路に着く。
そこで、サッカー部のグラウンドを見たのは未練のなせる業だろうか。

そこに、一人の少年がいた。

少年は、友人(この時点では行きずりだったのだが)と一緒にサッカー部へ挑み、無残に敗れた後だった。
遠目にも、自信を無くして落ち込んでいるのが分かる。
ああ、彼は入部を諦めるだろうな。
沈み込むような目線から、自分ならそうするだろうと考え、その日はそのまま家に帰った。


0ch BBS 2007-01-24