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【どん底からの】キャプテンEDIT2【出発】


[583]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:19:55 ID:HdLKyJYM
実況「おっと弾かれたボールは前線へと大きくクリアー。一方、前掛かりになった清栄は守備が手薄だ!
しかし、大量のリードを守る南葛、ここは丁寧に攻めていきたいところ――」

金成はシュートを放った位置に立ったまま、動けずにいた。
場内に響くアナウンスの声も、観客の声援も、再び追加点を許しそうな戦況も、全てが思考の埒外にあった。
彼の脳裏には、今の森崎のセービングが、くっきりと焼きついている。
それが、何度も何度も反芻されていた。

金成(い、今のセービングは何だ!? 森崎のヤツに、完璧なポジショニングを取られていた……。
この試合に初めて見せたシュート、しかも変化が加えられているのに、どうして事前に絶好の位置取りを把握できるんだ!?
そ、それにあの動きには淀みも強張りも無かった……ま、まるで疲労させられていないじゃないか!!)

実況「――ボールを取ったのは、翼くんだ! そして、チェックに着くディフェンス陣も陣もなんのその、圧倒的な速度で突破――」

金成(も、森崎のスタミナが、去年に比べて改善されていたのか? だから全力のセービングも可能に――)

清栄MF「金成ィ!! 何をしているんだ! 戻れェ!!」

清栄DF「り、リトリートが間に合わない! 撃たれるとヤバいんだ!!」

金成(――いや、違う! さっきの動きには、VTRで観た瞬発力も何も発揮されていなかった!
アイツに全力のセービングを、……つ、使わせることさえ出来なかったというのか、俺はっ!?)

その事実に思い至った瞬間、金成の耳に音が戻ってきた。そして、それは彼に残酷な現実を告げる。


0ch BBS 2007-01-24