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【過去の鎖と】キャプテン三杉5【未来への軌跡】


[373]キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/08/21(土) 13:09:38 ID:???
一方、三杉はミハエルの心の内など全く知らなかった。
「何の為にサッカーをやっているか…」その言葉通りを三杉は考えてしまう。
だが三杉にとって「何の為にサッカーをやっているか」は
「何故サッカーを始めたか」という卵まで時を遡る事を必要としていた。

三杉「(僕がサッカーを始めたのは…両親の為だった。)」

三杉淳は先天性の心臓病を持って、この世に生を受けた。
先天性の心臓病…つまりは心臓に奇形を持って産まれたという事実である。
“先天奇形の児は身体の障害を、親は心の傷を持っている”という言葉通り、
彼の両親、特に母親については想像を絶する傷を心に持っていた。
自分が我が子を生まれつきハンデのある身体に産んでしまったという後悔。
そもそも自分が女(男)として、人間として出来そこないだったのでは…という自己否定。
三杉の両親はこのような傷を心に抱えたまま、三杉を育てたのだった。

しかし感受性が豊かな三杉が、この両親の悲しみを察する事のない筈が無い。
両親は自分がハンデのある不自由な我が子、可能性を奪ってしまった我が子と思っている。
だから彼は幼き心ながら強い決意をしたのだった。
それがサッカーだったのは、何となくという理由だったのか、
それとも常に走りまわるスポーツだったからこそ選んだのか、それはよく覚えていなかった。
自分は心臓病だけど何だってできる普通の人間だ、って…
自分は心臓病なんかに負けない、だから母さんも父さんも悲しまなくていい、って…
三杉は両親にそういう事を伝えたかったのだ、その為にサッカーを始めたのだ。


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