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【甦れ】ファイアーモリブレム26【勇士たち】


[990]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/03/08(火) 03:09:02 ID:???
もしかすれば、山森は泣いていたのかもしれない。自分と同じように高校に入ってから
まるで別人のように伸び悩み続ける先輩から言われた八つ当たりのような罵声にショックを受けてもおかしくはない。
だが、中山は自分が間違ったことを言ったとは到底思えなかった。
自分は間違ってはいない。ならば間違っているのは……なんなんだ?

全国小学生サッカー大会での自分の活躍か?静岡県予選大会での南葛との死闘だろうか?
これまでの自分のサッカー人生を振り返りながら、うつろな目で中山はグラウンドの外へと飛び出していた。
向かう先はただ一つ。BJから紹介されている肉体改造専門の病院。
もう自分は戻ることができないかもしれない。いや、戻りたくはない。
トップクラスの選手でしか眺めることの出来なかったあの雄大な景色が脳裏から消えてくれないのだ。

もう一度。もう一度森崎や翼たちと。日向や三杉、世界との強豪たちと戦いたい。
味方でも敵でも構わない。自分も彼らのような一流の選手たちと同じ舞台でサッカーをしたい…
終わらない夢など無い。けれども夢を見続けたい衝動からは逃れられない。
中山は決意した。全てを捨ててでも…自分はあの頃のようになりたいと。
疾く、巧く、強く、逞しく。風林火山の如き強靭な肉体をどんな手段を使おうとも手に入れるのだ。

山森には絶対に無理だと言われた言葉。森崎のようにはなれないのだと。
だが、皮肉なことに確かに中山の瞳は『あの頃』の森崎のようになっていた。
自分の欲望に正直で、誰かの犠牲など厭わない。野心の塊にとり憑かれた覇王のように――。


0ch BBS 2007-01-24