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【侵食された】キャプテンEDIT24【現実パート】


[632]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/02/19(土) 01:51:49 ID:WSps1ABY
その問いに、一瞬詰まってしまう。
菱野と出会う前。つまり鳴紋中に来る前の過去は、今現在と比べるととても誇れるものではない。
遠く離れた関東の地。そのとある町の選抜チームのFW。それが二年前の大前良だった。

鳴紋で飯地の指導を受ける前の大前は、決定力はお粗末でドリブルも見れたものではない、長身だけが売りのFWだった。
それでも小学生にしては珍しくポストプレイを積極的にするだけで、上手いこと大会では波に乗れた。
全国への切符を掛けた予選トーナメントの三回戦までは順調に駒を進め、もしかしたらと欲を掻いた。
……それで惨敗。後に全国に進むチームに、本当の強豪の力というものを思い知らされたのだ。

だが、チームを引っ張ってきたという自負は消えず、根拠の無い自身を抱いて鳴紋中の校門をくぐり――また打ちのめされる。
今となっては、本当に県レベルでの強豪でしか無かった当時のサッカー部。それを前に自信を失ってしまったのだった。
あの時、雪村に引っ張られ、小豆沢に誘われ、早瀬に認められなかったら、それだけで終わっていたような小さな少年だ。
とてもではないが、胸を張って言えはしない。

菱野「? 大前さん?」

大前「え、いや、ええとだね――」

そのことを、菱野に晒さなければいけないのだろうか。
せめて彼女の前では、あくまで『全国に通用するFW』でいたい自分を殺してでも。


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0ch BBS 2007-01-24