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1- レス

【しばし】ファイアーモリブレム29【別れの時】


[191]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/04/18(月) 23:15:36 ID:???
パオラとミディアの肩を借り、ポストにもたれかかりながら、森崎はようやく起き上がる。
側には同じように支えられながら立たされるマルスと中山の姿があった。
二人とも大きな疲れからか顔色は青白く、肩で息をしている酷い有様であった。

森崎「(…延長戦前のハーフタイムで、少しは体力を回復できるかもしれない。
   だが、あいつらの体のことを考えれば、ここは速やかに交代させるべきなんだ。だけど……)」

マルスも中山も貴重な指揮官。指令を出し、ラインを統率できる彼らを失えば
森崎たちAチームはあっという間に崩壊するだろう。勝利を優先するならば、彼らの存在は絶対なのだ。

森崎「(誰かを…犠牲に………そういうことかよ……日向…!)」

試合の勝利、引いては自分の地位確保のため。この試合だけは負けたくない。負けるわけにはいかない。
しかし、自分の大事な親友たちの体力はもはや風前の灯。
日向は期待しているのだ。マルスや中山を犠牲にしつつ、最善の手を尽くして森崎に向かってこいと思っているのだ。
そしてその瞬間こそ、かつての森崎の再誕であり、かつてのようにキャプテンの座を争うに相応しいライバルだと認めるつもりなのだ。

森崎「(……俺は……)」

何かの指示を出すのが怖い。そう思ったのは森崎にとって初めてのことだった。
試合に有利な指示を出せば出すほど、仲間たちは疲弊していくのは明らか。
かといって、彼らを交代させることはこの試合を捨てたも同然だということも明らか。
非道さを捨て、仲間に対する信頼と絆を手に入れた森崎は口を開けたまま、身動きが取れないでいた。

マルス「……どうしたんだい、森崎。指示を…出してくれ……」

中山「まだ、笛は吹かれていないんだぞ……どうしたんだ、森崎……」

二人の自分を案じるような優しい声が、森崎の心臓を強く握りつぶす。
出来るのか?こんなにも自分のことを大事にしてくれる彼らを犠牲にするような指示を出せるのか?
悩みに悩みつくした森崎が導きだした答えとは――


0ch BBS 2007-01-24