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【弟くんの】キャプテンEDIT31【初陣】


[753]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/05/07(土) 05:25:21 ID:???
大前「え?」

出し抜けに切り出された言葉に、大前は目を瞬いた。

菱野「――不安、と一口に言っても、これからの大会で勝ち進めるか、ということではないんです。
むしろその逆のことが怖いんです。大前さんは、この三年間で物凄く強くなられました。
それこそ、初めてお会いした頃からに比べると、まるで別人になられたみたいに」

菱野が初めて出会った頃の大前は、熱意だけでサッカーに取り組んでいるような少年だった。
技術は無い。体格を活かせるほど当たりにも強くない。それこそごく平凡な選手だった。
それが早瀬の下で全国を目指し、飯地に鍛えられるうちに、どんどん様変わりしていった。

菱野「今の大前さんなら、それこそ全国でも敵無しなんじゃないか、って。そう思いさえしてしまいます。
ですが、そんなお姿を見ていると、マネージャーとしては誇らしい気持ちになる半面……不安にもなってしまうんです」

大前「……どうして?」

菱野「だって……こんなにもお強くなられたら、私を置いてどこか遠くへ行ってしまわれるんじゃないか、って!
もし日本一になって敵がいなくなってしまったら、もっと広い世界に行ってしまうんじゃないかって!
いつからか、そんなことを考えてしまうようになってしまって……怖いんですっ!」

大前「ひ、広い……世界?」

その言葉に、頭をガーンと殴りつけられたような衝撃を受けてしまう。
ただただ、掲げた目標――鳴紋中での全国制覇のために、日々走り続けてきていた。
それが叶った後のことなど、一顧だにしていなかった。だが――それはいつまでも考えないままでいていいのだろうか?
少なくとも来月。全国大会が終わった後には、その問いが有無を言わせずに圧し掛かってくるのだ。
大前良という人間は、これからの人生をどう歩んで行くのか? と。


0ch BBS 2007-01-24