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【弟くんの】キャプテンEDIT31【初陣】
[755]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk
:2011/05/07(土) 05:28:37 ID:???
日本一の選手になって、それを足がかりに世界へ。そして、やがては頂点に。
そんな道程を空想し、しかしそれは叶わぬ夢だと諦めたのは、いつだったか。
遠い目をする大前を、菱野は潤んだ瞳で見つめる。
菱野「貴方はきっと、高い目標を目指し続けることでどこまでも強くなれる人なんです。でも――」
微かな嗚咽が、言葉を遮った。
菱野「――もしその為に、貴方が私の手の届かない所に行ってしまったら?」
大前「…………」
菱野「そして、そしてもし、私が我儘を言って……大前さんをここに縛り付けてしまったら?
その為に、世界に通用したかもしれない可能性を、奪い取ってしまったら?
最近の大前さんを見ていたら、そんなことばかりを考えてしまって――」
大前がもし、遠く海外に羽ばたいて行ったとしたら、それは二人の別離を意味する。
離れてしまった恋人たちは、不幸であろう。
大前がもし、自分の可能性に背を向けて足踏みし続ければ、それは彼から未来を奪う。
磨き切れなかった才能を抱えた選手は不幸で、その才能を信じていた者もまた不幸だろう。
……菱野を悩ませるのは、そんな二律背反だった。
菱野「馬鹿げたことだと、思いもしました。途方も無いことだとも思いました。
でも、どうしても頭から離れないのです……! 大前さんが強くなって、強敵を倒していく度に、どんどん怖くなっていくんです!」
ついには、菱野の瞳から涙の粒が零れ落ちた。
菱野「一番大事な時期に、こんなこと戸惑わせるだけなこと言って、マネージャー失格ですわよね?
でも……今日みたいに一緒にいて楽しい時間を過ごすほど、貴方が愛おしいほど、そんなことを考えてしまうんですっ!
大前さん、私……もう、どうしていいか分からないですよぉ……」
力無く自分の胸に顔をうずめる菱野を、大前は恐々と抱きしめた。
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0ch BBS 2007-01-24