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【魔王の足音】幻想のポイズン55【天才の意地】


[656]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/28(月) 02:35:26 ID:???
ここでピエールはこの試合で最大の誤解をしてしまった。
ビクトリーノが狙っていたのは、突破をし、ゴールに近づいてからのミドルシュートではなく。
自分が囮となり、ボールをキープしてからストライカーにボールを渡しゴールを奪ってもらうというもの。
これにいち早く気づけたのは最後方から敵の攻めを見ていたさとりだが、その察知も遅く。
ビクトリーノのパスは自分の本来いる場所――左側のストライカーがいるべき場所へと通る……が。

ピエール「通……さんッ!!」

チィッ!!

ピエール「くそっ!」

これにピエールは強引に頭から飛びつき、ダイビングヘッドの形でクリアーをしようとした。
しかし、それはボールを掠らせ、僅かに軌道を逸らせるだけ……。
結果的にボールはビクトリーノがパス相手として選んだ選手が、予定していた場所僅か5cm前で受け取るという形となる。

とにもかくにも、こうしてビクトリーノの作戦は少々の誤算はあったが、見事に実った。
彼の意地と誇りが、フランスの堅固な防壁の第一陣を打ち破った。
残る問題は、パスを受け取った者が――この最高のチャンスをものに出来るか、否か。

パスッ

勇儀「………………」
さとり「………………!!」

ドゴールに吹き飛ばされると同時、ビクトリーノの意図を読み左側へと流れボールを待った星熊勇儀。
指示が遅れたが為にこの苦境を招いてしまった、古明地さとり。

両チームに派遣をされた選手同士が、今再び、睨みあった。

先ほどよりもより近い位置で。


0ch BBS 2007-01-24