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【崩落のステージ】Another-C_9【 後篇 】
[757]アナカン ◆lphnIgLpHU
:2012/01/13(金) 16:02:22 ID:???
ブンナークの体力が尽きた30分以降、フィオレンティーナは防戦一方に晒された。
反撃する為の守備ではなく守る為の守備が増えた彼等に、もはや流れは存在しなかった。
後半34分、オルミーガが35mの位置から放ったシュートを中山が何とか弾くが…
こぼれた浮き球をピャタコーフが連続回転しながらのボレーでねじ込んで4点目を決められた。
0−4…屈辱的とも言えるスコアを突き付けられ、遂にフィオレンティーナの戦意は口を閉ざす。
ジョアンはその光景を死んだような目で見下ろす事になった。
この観客のいない試合…選手達はまさしく必死に戦った。
カンピオーネは勿論、間違いなくフィオレンティーナも高いパフォーマンスを魅せた試合だった。
しかし、かつてブラジル不動のCF:ロベルト本郷の師だった男の心は空虚だった。
ジョアン「私の理想となるチーム…今日、この日から完成する筈だった。
ここまでの長い道のり、しかしこれが新しい始まりになると私は疑わなかった…」
彼は自問自答を繰り返していた。
自分は何の為に今日まで走り続けて来たのだろうかと。
ジョアン(アルシオンに太陽の下を歩かせる為、そう信じている……信じていた。)
しかしハーフタイムにてアルシオンから放たれた言葉が、その思い込みズタズタに切り裂いた。
ロベルトへの贖罪の為、自分の目的の為にアルシオンを利用しようとしたのだと…
考えもしなかった事だが、ジョアンは目の前の現実を見て、その事を否定出来なくなった。
そして今、彼の教え子:カンピオーネは、もう一人の教え子:フィオレンティーナを駆逐している…
彼が全く望まぬ形で駆逐しているのだ。
ジョアン(だが…見届けなければならない。 それが再び過ちを犯した私の今出来る事…)
無意識に伏せていた視線を上げ、ジョアンはフィールドを見据えた。
その視線の先、日本人選手にボールが渡った。
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