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キャプテン森崎外伝スレ10


[272]超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/07(木) 12:28:08 ID:???

丙月某日。体調が一時的に良くなってきたため、とりあえず通常の勤務体制に戻り、
翼くんの所へ出向いた。
「あっ、博士!」私の姿を見つけると翼は目を輝かせて駆け寄ってきた。
「どこに行ってたの?他の人に聞いても答えてくれなくて」
「私はちょっと具合が悪くて休んでいたのよ、翼くんを心配させるといけないから
黙っていたけど、ごめんなさい」
急な不在を詫びた後、私は話の接穂を断って翼が尋ねたかったことを聞き出そうとした。
しかし翼はもじもじとしたまま、なかなか話しだそうとはしない。
「何か私に聞きたいことがあるみたいだけど」思い切って私の方から問いかけてみると、
翼はなおももじもじしていたが、やがてぼそりとつぶやき始めた。
「博士ならきっと答えてくれると思ったんだ。他の人はなんとなく不気味だし、お母さんは
一緒にいると楽しいし落ち着くけど、僕の知りたいことには答えられそうに
ないから。…でもまだ口にする勇気がないから、先に博士の方から何か話して」
「へえ……じゃあこっちから翼くんの将来についての見通しについて、決まったことを
先に話すわ。君は人間でいう12歳ぐらいの体つきになっていて、外に出る時は小学校6年生から
はじまるの。1か月ぐらいたった後で外に出るけど、その時はここにいた記憶は消去されて、
その後で『11歳までの記憶』を新しく植え付ける。予定では11歳までは引越しを繰り返していた
ということにして、受け入れ先の人達に疑念を起こさせないようにするつもりよ」
「博士や母さんのことも忘れちゃうの?そんなの、いやだ」
「大丈夫、母さんの方は、あなたに対する愛情は消えはしないから」
「でも……」
「はい、これで話は終わり。私ばかりに話をさせないで、そろそろ翼くんも答えなさい」
翼はわずかに顔をうつむいたが、少しして顔を私に向け、問うた。
「なんのために、僕はこうして生まれてきたの?」


0ch BBS 2007-01-24