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【混迷からの】Another-CU_3【脱出】
[877]アナカン ◆lphnIgLpHU
:2012/07/06(金) 01:40:43 ID:???
アルシオンは蓮子の言葉を聞き返しつつ、彼女の指差している方向を見た。
西の空には何とも言えぬ不思議な色が広がっていた。
蓮子「空が紫色をしているでしょう?
日没の直後と夜明けの直前、ほんの少しの時間だけ見れる事がある空の色。」
アルシオン「…それをマジックアワーと言うのか。」
蓮子「うん。 空は紫にはならないんだよ、本当はね。 オゾンとか、波長とか色々あって…
省12
[878]アナカン ◆lphnIgLpHU
:2012/07/06(金) 01:41:43 ID:???
蓮子「アルシオン、空はなんで青いんだと思う?」
アルシオン「えっ…? ああ…生憎オレはまともに学校へ行った事がない、自然の原理など知らない。」
蓮子「ふふ、そんな原理とか小難しく考えなくてもいいんだけどな。」
アルシオン「…何が言いたい?」
蓮子「前にさ、出会って間もない親友に同じ事を聞いてみたんだよね。
私的にはちょっと天文学について話したいと思っただけだったんだけど…。」
アルシオン「…………。」
省32
[879]アナカン ◆lphnIgLpHU
:2012/07/06(金) 01:42:56 ID:???
蓮子「マジックアワーも終わっちゃったか…。
って、あれ? 何? 私の髪に何か付いてる?」
アルシオン「えっ……あ、いや…そうじゃない。」
蓮子「へー、じゃあなに? 私の横顔に見惚れてたとか?」
アルシオン「ふぅ……」
蓮子「アハハ、溜め息吐くなし。」
アルシオン「それは済まない…ちなみにレンコは何歳だ?」
蓮子「あら、女性に年齢を聞くとはイイ心臓してるじゃない?
まあ別に隠す程の物じゃないからいいけどね…20歳よ。」
省20
[880]アナカン ◆lphnIgLpHU
:2012/07/06(金) 01:44:03 ID:???
会話が一段落すると、蓮子は再び空を見上げた。
星や月をじっと見つめ、また何事かを考えている様子である。
アルシオンは不思議と席を立たず、そんな蓮子の方を大人しく見ていたが…
アルシオン「レンコは今、誰か好きな男とかいないのか?
日本のユニバーシティは折角の夏休みって奴なんだろ? こんな何もない所で…」
蓮子「アルシオンはお化けとか妖怪とか、UFOとか信じてる?」
アルシオン「……えっ?」
省31
[881]アナカン ◆lphnIgLpHU
:2012/07/06(金) 01:45:06 ID:???
蓮子「アルシオンには、今は見えなくて…それでもいつかは見てみたい物ってある?」
アルシオン「見てみたい物?」
蓮子「うん。」
アルシオン「見てみたい物………。」
反芻し、アルシオンは真剣に考え始めた。
そして徐々に俯き、やがて表情も沈鬱になっていく様子が蓮子にも見て取れた。
蓮子「ああ……ごめん、ごめんなさい。 なんか私ちょっと無神経な事を言ったみたい。」
アルシオン「いや、いいさ………オレも随分と無礼な事を言った。」
省13
[882]アナカン ◆lphnIgLpHU
:2012/07/06(金) 01:46:06 ID:???
アルシオン「…アルシオンというのは本当の名前じゃないんだ。」
蓮子「そうなんだ…じゃあ、本当の名前は?」
アルシオン「○○○○……。」
蓮子「その名前で呼べばいいの?」
アルシオン「……………いや。 済まない、今のは忘れてくれ。」
蓮子「そーゆー訳にはいかんばい。 アルシオンって呼ばれるの、理解らないけど苦痛なんでしょ?」
アルシオン「そんな事はない………」
蓮子「嘘だ。 …って、そんな事を論点にしても意味が無いよね…。」
省10
[883]アナカン ◆lphnIgLpHU
:2012/07/06(金) 01:47:09 ID:???
蓮子「…じゃあ、そうだよ。 私は君の事を私が決めたあだ名で呼ぶ事にする、決めた。」
アルシオン「……はあ。」
アルシオンはこの日何度目かになる呆れ顔を蓮子に曝した。
付き合ってられない感もそろそろ隠しきれなくなっているのが判る程だったが…
その顔は数秒後には驚愕に変わっていた。
蓮子「ピクシー…そう、ピクシーがいい。 今日から君はピクシーだ。」
アルシオン「!!」 ガタッ
蓮子「えっ…ど、どうかした?」
省23
[884]アナカン ◆lphnIgLpHU
:2012/07/06(金) 01:48:31 ID:???
蓮子「う………。 …ってのは全部後付けでさ。 何だか解らないけどビビッと来た。
君はピクシーなんだって、そう呼ぶのが凄くシックリくるように思えたんだ。」
アルシオン「そう…か………。」
恐らく嘘のないであろう蓮子の言葉。
それを聞いてアルシオンは納得したのだろうか?
少なくともショックは依然として彼を包んでいるようであった。
蓮子「…………。 さっきの話じゃないけどさ…ピクシーはいつか見てみたい物はないの?」
省24
[885]アナカン ◆lphnIgLpHU
:2012/07/06(金) 01:49:32 ID:???
蓮子「あっ、ごめん…また無神経なこと言ったかも……」
アルシオン「いや…いいんだ。 大丈夫、少しだけ心が軽くなった気がする。」
蓮子「そう…? それなら良いんだけど…」
アルシオン「じゃ…オレはそろそろ自室へ戻る。 夏とは言え、流石に少し冷えてきたからな。」
蓮子「そっか…私はもう少し星を見る事にする。」
アルシオン「風邪を引かないようにな、お休み。」
蓮子「お休み、ピクシー。」
省5
[886]アナカン ◆lphnIgLpHU
:2012/07/06(金) 01:54:18 ID:???
アルシオン「(何故オレは…………)」
蓮子「あれ…? 何か言った?」
アルシオン「…いいや、何も。」
蓮子「そっか…」
蓮子は不思議そうに首を傾げ、再び空を見上げた。
アルシオンは少しだけ嘘を吐いていた。
『何故、オレは今まで年上の…ウンと年上の女性しか好きにならなかったのだろう?
こういう気持ちが湧いている今だって…いや、今も強くそう思っている…。 何故だ…?』
そう呟いたアルシオンの独白は蓮子の耳まで届く事はなかった。
省7
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0ch BBS 2007-01-24