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【行く者】キャプテンEDIT36【残る者】


[667]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/04(月) 03:06:54 ID:???

  … … …


人気のはけた競技場を、大前はぼんやりと見つめていた。
一年前も、こうして大会を終えた後の虚脱感に浸りながら、一人でいたのだった。
だが、今日はあの日と違う。

キャプテンの称号。得点王の座。全試合ハットトリックの記録――

昔の自分からは考えられない、重たすぎる称号の数々。
それを携えながら、来月はまた次の舞台に進む。
取りこぼした、一番大きな称号――日本一を示す、真紅の大優勝旗を賭けた戦いの舞台に。

大前「ここで戦うのも、もう最後だったんだよな」

三年間、何度も戦ったピッチを目に焼き付ける。
……思えば数え切れないほどの思い出があった。

――観客席から眺めることだけしかできなかった、小豆沢の負傷による大敗。
――挫折から立ち直り、切り札を携えて初めての公式戦に挑んだ秋季地区大会。
――早瀬らを助けて決勝まで進み、彼らに助けられて試合を終えた去年の夏。
――初めてキャプテンマークを巻いて挑んだ去年の秋。
――クリスマスの夜。菱野と思いを通じた場所も、ここだった。
――そして今回。最後の全国挑戦を賭けた、県内のライバルとの戦いの数々。

楽しいことも、辛いことも、手に余るほど体験してきた舞台。
二年前には世界の全ての様に大きく見えたフィールド。
ここで何度も凌ぎを削った敵の一人は、最後にふっと自分の前から消えてしまった。
彼と真っ当に決着を付けられなかったのには悔いが残るが、それをも背負って行かねばならないのがこれからの道なのだろう。


0ch BBS 2007-01-24