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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】


[123]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/01(水) 18:12:35 ID:???

炎天下、ずるりずるりと足を引きずりながら歩く二人の男がいる。
片方の男が纏う板金鎧は装飾が折れ欠け、元は美しい白銀の輝きを放っていたであろう姿は
泥と返り血と、そして男自身の血によって汚れ、見る影もない。

「痛い……痛い、痛いぃ……」
「……マルセル様、今少し、耐えて下さい……。本営までもうすぐ、もうすぐですから……」

うわ言のように呟く鎧の男の脇を支え、必死に宥めるのは男の従卒であっただろうか。
夏の陽射しに熱された鎧に添えられた手は、火傷で赤く腫れている。

「どうして……どうして俺が、こんな目に……」
「弱気なことを、仰いますな……。お命があるだけで、主の恵みというものです……」
「うぅ……いくさなど、いくさなど、もう二度と出ないぞ……」
「……」

ぐすりと啜り上げる男に俯き、渋面を作りながらもその歩みを止めなかった従卒が、

「……?」

ふと、顔を上げる。
その耳に、何かが聞こえていた。

「……、……! ま、マルセル様……!」
「な、なんだ、今度は何だ!?」

それは、地響きである。
それは、足音である。
それは、百を超える軍馬と、その鞍上にある赤い鎧の兵団が奏でる、死の重低音である。


0ch BBS 2007-01-24