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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】


[134]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/01(水) 19:29:11 ID:???

文字通りの、激突である。
数百キロを優に越える質量の塊が百の単位で正面からぶつかり合う、その轟音と衝撃は
その塊の一つ一つが人間であるということを、簡単に忘れさせる。
一瞬の交錯の後、嘶き、棹立ちになる馬から転げ落ちるのは最早原型を留めぬ血肉たちであった。
軍馬の疾走と巨大な質量の前に、生半な鎧など意味を成さぬ。
刃を弾き槍を通さず、しかし歪み捻れて中の肉を、腹を、骨を潰し砕く、鉄の虐殺器具。
この場において、大方の鎧はそのような役目を担った。

「着いてきているか、コンセイソン!」
「はい、ここに!」

第一陣の突撃を終え、叫ぶように振り返ったヤング・マジョラムは総鎧を身に纏っておらぬ。
歩兵の長槍を警戒しての胸鎧と脛当だけという装いである。
応えたトニーニョもまた、それに似た軽装であった。
重騎兵のチャージを前にすればどの道、生きるか死ぬかを決めるのは刹那の身の捻りでしかないと、
そう割り切るとしたところで、命知らずと言うより他にない。
恐怖という恐怖、不安という不安を極限の中で御せるものだけが選ぶ、これもまた戦場の狂気である。

「全軍反転、再突撃に向けて隊列を整えるぞ。向こう側はお前がまとめろ!」
「……、はい!」

目に入ってじわりと滲みる汗を袖で拭い、食いしばった歯の隙間から荒い息を吐いてトニーニョが返答し、
馬の腹を蹴った。
死の淵からようやく拾い上げた命を再び種銭として賭けるべく、彼らは走る。

***


・ターン3 終了


0ch BBS 2007-01-24