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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】


[152]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/06(月) 18:11:43 ID:???
「五百……いや、千近くいるみたいだね……」
「それ、あいつらのほとんど全軍って話じゃないのか!?」

ジェトーリオが言うのへ、ネイが常の悪態すら忘れて訊き返している。
圧倒的なその数に混乱していたのは、何も敵ばかりではなかった。

「左翼の全軍が……本隊の目の前を突っ切って、こんなところに現れたってのか……?」
「畜生! どうなってんだよ、この戦は!」
「何が起こってんだ、なあ、隊長さん!?」

口々に叫ぶ男たちの問いに、森崎は答えない。
答えられない、というのが正しかった。
しかし、それを顔に出すわけにはいかない。
指揮官の混乱や不安は、瞬く間に隊全体へと伝染する。
敵を目の前にしてのそれは即ち、自ら死神を寝床に招き寄せるに等しい。

「―――落ち着け!」

故に、森崎はそれだけを口にする。
内心をおくびにも出さないよう細心の注意を払いながら、顔だけはふてぶてしく。

「連中がどういう意図でこっちに首を突っ込んで来たのかはわからねえ……だが、気にすんな!
 どうあれ俺たちのやることに変わりはねえんだ、今は目の前の敵だけを見てろ!」

寸分の迷いもないといった様子を、上手く演じられただろうか。
鎧下にじっとりと染みた汗は、暑さのせいではなかった。


0ch BBS 2007-01-24