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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】


[310]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/18(土) 01:20:36 ID:???
「できたさ……今、クレアを護っているのは、俺だ」
「なにィ……!?」
「今のクレアは俺の妻だ。いつまで恋人気取りでいる」
「フン……風の噂には聞いていたが、横恋慕を実らせて満足か?
 それが貴様の言う、護るということか!」

構えは互いに正眼。
じり、と摺り足が左右に、そして前後に滑り、間合いを僅かずつ変えていく。
ヤングが右に指一本を動けば、ネクセラリアは前に小石ひとつ分。
応じてヤングは剣先を指の腹一つ上へ。ネクセラリアが、元の位置にまで下がる。
息の詰まるような、駆け引きであった。

「―――人を斬って姿を消せば、それで何もかもが解決するとでも思ったか。
 お前は何もわかっちゃいない……残された者の苦しみも、悲しみもな」

呟くような声音には、襞がある。
積み重なった時という、襞であった。

「知った風な口をきくなよ、ヤング」
「言ったろう、今の俺は教導官でな。ガキを見れば説教の一つもしたくなる」
「老いを誇るか、いくさ場で……!」

それきり、互いが口を噤んだ。

「……」
「……」

きいん、と。
周囲の音が消えていく。
一撃必殺の気構えが、互いの内側を満たし、溢れ、辺りを染め上げているかのようだった。
張り詰めた静寂が、その頂点に達した瞬間。


0ch BBS 2007-01-24