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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】


[339]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 00:01:07 ID:???

「……ッ!」

槍と剣が相対したとき、勝敗を決するのはまず第一に間合いである。
如何にしてその間を詰めるか、或いは詰めさせぬかが闘いの枢要であった。
森崎が選んだ初手は、単純である。
正眼の槍、その突きの軌道から身を逸らすように相手の左へ、左へと回り込みながら
にじり足で半歩を埋め、それを二度繰り返して一歩と為した。

「―――」

当然の如く、柄による打撃が森崎を迎え撃たんと振るわれる。
槍の恐るべきは鋭い穂先の突きばかりではない。
遠心力と梃子の原理を利用した打擲は充分に人体を破壊する威力を持つ。
円弧を描いて迫り来るその一撃を、森崎はどう捌いたか。
盾であった。
左の腕に通した円盾を、森崎は槍を受け止めるのでなく、むしろ槍の柄に叩きつけたのである。
強い衝撃が、森崎の腕に走る。
痺れるような感覚に顔を顰めながら、しかし更に間合いを詰めようとした森崎が、思わず瞠目する。

「……!?」

盾を叩きつけられた槍が一瞬、止まっていたのである。
すぐに石突を返しての第二撃、跳ね上げるような打撃が繰り出されるが、しかし、

(傷が、深いのか……)

振り上げられた槍にぬるりと垂れる鮮血を目にして、森崎が悟る。


0ch BBS 2007-01-24