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1- レス

【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】


[381]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/24(金) 02:42:14 ID:???
***


神速、と。
たとえばその槍捌きを見る者があれば、そう呼んだかもしれなかった。

「……ッ!?」

先程までならば見切って躱せたはずの突きが、今は森崎の胸甲を掠めて抉る。
盾に当てて容易く弾けたはずの薙ぎが、当てた腕ごと圧し折らんとする勢いで森崎を吹き飛ばす。

「―――アァァッ!!」

裂帛の気合が、ネクセラリアの喉から溢れて轟いた。
その咆哮に合わせるように、槍の速度が更に一段、上がる。
身を捩った先に蛇のような動きで襲い来る槍の柄を辛うじて剣の鍔で止めた森崎が、
次の刹那、怖ろしいまでの寒気を感じて大地に身を投じるように屈んだ。
ほとんど本能、脊椎反射による動きである。
それが、森崎の命を救った。
一瞬前まで森崎の首があった場所を、茜色の光が薙ぎ払う。
夕陽を反射する、槍の穂先であった。


0ch BBS 2007-01-24