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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】
[462]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/09/07(金) 00:43:11 ID:???
かけられる声があった。
ルーカスの背後、その大柄な身体に隠れるようにしていた影が、すっと歩み出てくる。
妙齢の女性である。
一目で東洋系であると分かる、服装と化粧であった。
襟とおくみのついた裾の長い帯留めの上着は夏らしく若草色と浅葱色でまとめられ、
足首までをゆったりと覆う空色のスカートには美しい刺繍が施されている。
『襦裙……? 珍しいね、中華のお客さんかな?』
ピコが言う中華、正しい国号を中華皇国というその国は、東洋圏に覇を唱える一大帝国である。
極東から欧州にまで流れてきた森崎としても、その文化様式程度は当然知っている。
襦裙とはその中華皇国の女性が纏う服のことであった。
『ていうかそうすると、ルーカスさんのヘンなカッコって、漢服なのかな……前、開いちゃってるけど』
(……まあ、あの上着にボタンはないからな。オビっつーベルトを締めるんだぜ、ルーカスさん)
ピコの呆れたような声に内心だけで返答した森崎が、改めて女性を見やる。
細面の整った顔立ちの、しかしその頂点に君臨するのは鋭い眼差しである。
アーモンド型の黒い瞳を彩るのは中華独特の鮮やかな紅。
燃えるような化粧に、決して負けぬ煌めきを放つ瞳であった。
己というものを世に誇れる者たちの持つ、特有の煌めき。
その自信は経験によるものか、あるいは実績に裏打ちされたものであったか。
『びっじ~ん。キミ、気をつけてよね』
(確かに、一筋縄じゃいきません、って顔だぜ……)
肩に垂らした長い黒髪が、黄金色の繊細な耳飾りと共にさらりと揺れる。
甘く漂う香気は麝香だろうか。
ラインの出ないゆったりとした服装の下について思わず妄想逞しくしそうになる白く細い首が
微かに傾げられ、艶やかに紅をさした唇は上弦の月の形で笑んでいる。
美しく、そしてまた自分の価値を熟知しているであろう女性であった。
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0ch BBS 2007-01-24