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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】


[480]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:41:19 ID:???
「いいからちょっと落ち着け」

ため息をつきたいのはこっちだ、と思いながら森崎が言う。
レズリーという少女、実際の歳よりも上に見える端正な顔立ちである。
もとより背も高く、発育もいい。
今日の服装とてアースカラーをベースにしてタイトなレザーのベストでまとめた、
強気な女性らしさを前面に押し出したものである。
堂々としていれば決して奇異の視線を集めるような外見ではないはずだったが、
何しろ挙動が不審なことおびただしい。
結果的に周囲の耳目を一身に集中させてしまっているのだった。

「うぅ……そんなこと言われてもさ」
「ったく……」

形のいい、少し薄い唇が今ばかりは力なく半開きになっているのへ眉根を寄せた森崎に、
カウンターの中から店主らしき男が注文を聞いてくる。

「何にしましょう」
「あー、そうだな……」

気分的には盛大に深酒をして憂さを晴らしたくもあったが、そうもいかない。
明日には執務机に積まれるだろう書面の山と、陽子の悪魔じみた笑顔が脳裏をよぎる。
そもそも隣の少女を、心ならずもエスコートせねばならぬ立場であった。

「それじゃ、」

適当に軽いアルコールを頼もうとした森崎だったが、それを制するように上がる声があった。

「―――い、いつもの!」

言わずと知れた、レズリーである。


0ch BBS 2007-01-24