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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】
[502]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/09/14(金) 19:13:37 ID:???
歩き出したのは、カード卓の置かれた一角の方だった。
つい今しがた自分が口にしたことを忘れたように言い返すレズリーだったが、
しかし慌てて席を立つと森崎を追いかけてくる。
「遊ばせてもらえるかい」
「―――いらっしゃいませ。承ります」
卓のある一角には専任のディーラーが立っている。
とはいえ、あくまでバーの余興であり専業のカジノというわけではない。
卓ごとにディーラーがつくわけではなく、少なくともこの時間は一人で全体を回すようだった。
執事を思わせるモノトーンの略装に身を包んだディーラーを一目見て、
「え……?」
森崎の動きが止まった。
そんな森崎を目にしたディーラーもまた、
「あ……」
凍りついたように、固まる。
そこに立っていたのは、女性である。
品の良い所作と、端正だが常に伏せられがちな表情。
暗緑色の瞳が帯びる憂いを隠すように、長い睫毛が瞬く。
森崎が、光に透かすと緑を帯びるハンガリア系特有の黒髪を長く伸ばしたその女性を見知ったのは、
つい先日のことだった。
言葉を交わしたわけではない。
森崎が目にしたのは、ただその背中である。
血と泥とに汚れたマントを抱き締め震える、黒い背中。
「……マジョラム、さん」
「……」
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0ch BBS 2007-01-24