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1- レス

【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】


[725]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/21(金) 14:20:56 ID:???
「これで、足りるかい」

腰に下げた、財布代わりの革袋から十数枚の銀貨を取り出すと、
店主の恭しく掲げる皿へと並べてみせる森崎。

「……はい、承ります。ありがとうございました」
「さっきの勝ち分がすっ飛んで、まだこれかよ。とほほ……」

銀貨の種類と枚数を瞬時に見分け、深々と頭を下げる店主に背を向けると、森崎が力なく
片手を振って扉の方へと歩み出す。

「またご贔屓に」

背にかけられる店主の声は、軽くなった財布を安々と突き抜けて森崎の精神に突き刺さる。
押し出されるように、ため息が漏れた。

(……けど、まあ)

しかし、と。
重厚な扉を押し開けて、隙間から流れ込んでくる夏の夜の匂いを感じながら、
森崎は階上できっと不機嫌そうな顔をしているであろう少女を思い浮かべる。
今日という一日。
これまでとは違う、様々な表情を見せたレズリーという少女。
その代価としては、この出費も決して高くはないのかもしれない。
そんな風に、森崎は思うのだった。



   『overreach yourself』(了)


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0ch BBS 2007-01-24