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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】


[791]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/03(水) 19:27:58 ID:???
『えらく邪険にされてるけどね』

間髪入れずに混ぜ返したのは、いつの間にか舞い戻ってきていたピコである。
思わず眉根を寄せて中空に目をやった森崎に、黒壇の青年は相好を崩す。

「あっはは、その割にネイくんのあの態度は何だ、って顔だね。
 ま、不思議に思うのも無理ないけどさ」
「……」
『ありゃ』

勘違い、とも言い切れぬ勘違いではあったが、ともあれ森崎はピコをひと睨みするだけで
ジェトーリオが言葉を紡ぐに任せる。

「ネイくんはね、僕が嫌いなんじゃない。おっと、これは負け惜しみでも、悪あがきでもないよ。
 純然たる事実さ。彼は僕を嫌ってなんかいない。そうじゃないんだ」

黒い肌の中、そこだけは薄桃色をした唇の間から、黄ばんだ乱杭歯が覗く。
薄く笑っているようだった。

「彼はね―――怯えてるんだ。怖いんだよ。僕が」

弓型に細められた黒曜石の瞳が、結晶から削りだされた刃のように煌めいた。
皮を裂き肉を抉る、刃。

「僕といると、古い傷が開くんだ。だからあんな風につれなくして、目を逸らしたがる。可愛いね」

傷、と。
ジェトーリオは言った。
その意味を語るつもりはないと、表情が告げていた。

「だけど、それでも構わない」


0ch BBS 2007-01-24