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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】


[801]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/04(木) 00:33:36 ID:???
『はい、そこまで!』
「うおっ!? っと、とと……」

ぺちん、と。
ピコの小さな手で不意に頬を叩かれ、思わず脱力する森崎。
同時に、握られていたカルツの手からも力が抜けるのが分かった。
息をつくと、急に視界が広くなっていくような感覚。
充血していた目から血が引いていくのだった。

「ふう……」
「ハハハ、なかなかやりよるのう、隊長さん」

小さな虫が目の前を無数に飛び回っているようなノイズ混じりの視界の中で、
芋のような男が涼しい顔で笑っている。
先ほどまでの形相が嘘のようだった。

「……お前、まだ本気出してなかっただろ」
「まあ、ちょっとしたお遊びやき。許しとおせ」

言って快活に笑うと、ばしんと森崎の肩を叩くカルツ。

「痛ぇよ! こんの馬鹿力!」
「ガッハハ、そんくらいの方が頼れるろうが」
『豪快なおっちゃんだねえ……』

ピコの呆れたような呟きは無論、カルツには届かない。
上機嫌のまま傍らに突き立てていた戦斧を片手であっさりと持ち上げると、
そのまま肩に担いでみせるカルツ。
ぶうん、と巨大な質量が大気を押しのける音が後からついてくるようだった。


0ch BBS 2007-01-24