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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】
[828]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/10/17(水) 18:38:50 ID:???
森崎の言葉は実感を伴ったものである。
いくさを生業とする者は、当然ながら生死の境を彷徨うような怪我を負うものも多い。
一命を取り留めたとしても酷い後遺症が残るようであれば仕事を続けることはできなかった。
中でも悲惨なのは四肢、とりわけ足に重篤な障害を負った者たちである。
酷い出血や開放骨折で切断するしかなかったもの、誤って馬や車輪に踏み潰されたもの、
あるいは何らかの衝撃で関節部の骨を複雑に折ったもの、要因は様々であるが、
もはやまともに歩けぬという一点で、彼らは共通している。
歩けぬ者に務まる仕事は、ない。
運良く支えてくれる親族がいれば生きてはいけようが、それらの一生の重荷となる。
そうしてそれもなければ天から金やパンの降るわけもなく、ただひとり野垂れ死ぬのみであった。
彼らを抱える受け皿は、この世に存在しなかった。
「……ごめん、なさい」
「俺に謝っても仕方ねえだろ。つまんねえことで何もかんも台無しにしねえように気をつけろって話だ」
「……はい」
『お、素直でよろしい』
肩を落としたハンナに、ふるりと舞い降りたピコが頷いたのも束の間。
「……で、でも!」
『あら、あんまり素直じゃないかも』
ハンナが、決然と顔を上げて言う。
僅かに潤んだ瞳は、叱られたことにか、それとも怒鳴られたことにか。
否。
「つまんない理由で抜け出してたわけじゃ、ないから。……それだけは、違うから」
その目に宿るのは、もっと強く美しい、何かだ。
たとえば明日や、たとえば希望や、そういうものを真っ直ぐに見るときにも、涙は滲む。
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0ch BBS 2007-01-24