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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】


[836]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/18(木) 18:19:58 ID:???
言った森崎がその、古傷とタコとで奇妙に固くごつごつと変質した拳に目をやると、
握り、開いて、軽く肩をすくめてみせる。

「そうでなくたって、結果に繋がらねえ鍛錬で無駄に疲れきって、肝心の戦場でくたばってたかもしれねえな。
 頭ン中に靄がかかってると、そういうことが見えねえんだよ」
「……」

すっかり黙りこんでしまったハンナに、森崎が視線を戻すと、言う。

「……あん時、俺が止めてもらえたのは巡り合わせだ。
 そういう人に会えたから、俺はまだここにこうしていられる」

今は亡き男の、当時は理不尽と思えた背中を思い返しながら。

「だからな、ハンナ。巡り合わせ……俺の故郷じゃ縁、つーんだがよ」
「エン……」

その響きを繰り返したハンナに、森崎が一つ頷く。

「その『縁』で今日、お前と会った俺が言うぜ」
「……」
「焦りに背中押されるような鍛錬はやめな。そいつはいつか、お前自身を傷つける」

無人の公園の、さわさわと芝生をざわめかせる涼風が、吹き抜ける。
風に靡く髪が目にかかるのも構わず、真っ直ぐに自身を見返すハンナに、森崎が告げる。

「目標を定めて、計画を立てろ。今日のことを朝になってから決めるな。
 お前は一年後にどうなっていたい? 半年後には? 来月はどうだ?
 そういう風に考えていけば、しなけりゃならないことは向こうから見えてくる」
「……」

こくりと、神妙な表情でハンナが頷く。


0ch BBS 2007-01-24