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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】


[914]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/26(金) 17:50:59 ID:???
***


広場の熱狂は既に最高潮に達している。
午後の陽射しを跳ね返すような歓声が、天幕から出た森崎に浴びせかけられる。
今更緊張を覚えるでもなく、心地良さすら感じながら舞台の中央へと歩み出る森崎。

「―――先程までの戦い、見せてもらった」

声は正面、漆黒の鎧の男である。
兜こそ被っていないが、全身をくまなく覆う板金鎧を纏いながら呼吸を乱すこともない。
手にしたハルバードの穂先が、陽光にぎらりと照り映える。

「ヴァルファの『疾風』を仕留めたのも偶然ではないらしいな! 実に面白い!」

ぐぁ、とひとしきり呵った男が、ハルバードを軽く持ち上げ、石突をステージに叩きつける。
重く低い音が、響く歓声を貫いて森崎の耳に届いた。

「だがまあ、こちらにも一応、背負う看板というものがあってな。
 そう安々と勝ちは譲れんのよ」

言った男の顔に、すう、と。
哄笑のかたちはそのままに、しかし愉悦とは違う色が、満ちていく。

「ドルファン騎士団、第五大隊長カール・フェルドマン」
「……ドルファン陸軍、外国人傭兵大隊長、森崎有三だ」

男の名乗りに、森崎が応える。
歓声は壁となり、二人の男を押し包んでいる。
審判役の男の声は、もはや聞こえない。
身振りで開始を合図するのが、見えた。


0ch BBS 2007-01-24