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【新隊長】異邦人モリサキ3【始動】


[116]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/20(火) 18:27:37 ID:???
***

A コーナーを抜けた瞬間の加速だ。


リンダの疾走をしっかりと瞼に焼き付けながら、森崎が最初に感じ取ったのはそれである。
無数の情報の中から最初に拾い上げられたものには、何らかの意味がある。
そう考える程度には、森崎は自身の嗅覚を信頼している。

(スタートから……第一コーナー。ここは、そうハンナと変わらねえ。問題は……)

いま眼前に近づいてくる実際のリンダをしっかりと頭に納めながら、同時に森崎の瞳の奥では
記憶の中のリンダの走りが幾度も繰り返されている。
思考し、分析し、導いた回答を徹底的に反復して体に覚え込ませる、それは森崎がこれまで
自らに課してきた鍛錬の手法、ほとんど癖ともいえるような作業だった。

(そう、コーナーを抜けた後、そこから……)

地力の違いがあるとはいえ、カーブの処理自体は素人目にはそれほどの差異があるように思えない。
しかしその後の結果が、決定的に異なっている。
落とした速度を取り戻せないハンナと比べ、リンダはむしろ縮めた撥条を弾くように加速していく。
その差が、どこから生まれるのか。

(重ねろ……)

先月に見たハンナの走りと、まさにいま眼前に得たリンダの走り。
二つを記憶の中で近づけていく。
少女二人の躍動はやがて同じ色となり同じリズムとなり、近づいては遠ざかり、遠ざかっては近づいて、
交錯し行き違い、戻っては離れ、しかし次第にそれらの波は薄れていき、遂に重なったとき―――。

「……ここだ! この瞬間だ!」


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