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【新隊長】異邦人モリサキ3【始動】


[172]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/12/05(水) 17:53:24 ID:???

//馬術(レヴィン)


枯葉舞う林に響く重低音は、馬の呼吸と蹄の音である。
手綱を繰る森崎の視界を時折白く染めるのは轡を食む馬の、熱い吐息が湯気になったものだった。

『だいぶ様になってきたじゃない』
「ま、これだけやってモノにならねえってわけにも……よっ、と」

軽く手綱を揺すり、愛馬を小さく跳ねさせる森崎。
突き出していた木の根が瞬く間に馬体の下に消えた。

『わ、すご〜い』
「へへん、どんなもんだ」
『前はジャンプさせるたびに舌噛みそうになってたもんねえ』
「いつの話だよ!」

肩の上でぷらぷらと足を揺らす小さな相方に向けた怒声も、しかし実際には呟くような声だった。
軍馬は周囲の騒音や怒号に慣れるよう訓練されているとはいえ、やはり敏感な動物である。
突然の大声に驚いて振り落とされてはかなわない。

『でも慢心は禁物だからね、もっと上手い人はいくらでもいるんだし』
「また偉そうに……」
『たとえば、あの人とか』

と、ピコがその舞い落ちる枯葉よりも小さな手で指さしたのは前方、梢の向こうに見え隠れする影である。
森崎と同じように騎乗したその後ろ姿は、どこか線が細く儚げに見える。
しかしその手綱捌きは流麗の一言に尽きた。
傭兵大隊の馬は基本的に軍部からの貸与であり、特に一般隊員に割り当てられる馬は質が高いとは言い難い。
だが、前方の男にかかれば駄馬も一流に変わるのである。


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0ch BBS 2007-01-24