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1- レス

【新隊長】異邦人モリサキ3【始動】


[177]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/12/06(木) 19:10:47 ID:???
迷う森崎を前に、

「騎士の家に生まれたんですよ」

あっさりと、レヴィンが続けた。

「父が若い頃、リヴォニアで功績を挙げて取り立てられたんです」
「リヴォニア……ああ、お前はスウェーデンの出身だったな」

リヴォニアは北欧、バルト海の東側に位置する地域である。
港を求めて西進したシベリアに対し、北欧の雄スウェーデン他の諸国が交戦してこれを打ち破ったのは
時を遡ること二、三十年前の話であった。

「騎士の出なら、まあ文武に通じてるってのも納得ではあるが……」

含みをもたせたのは、無論この先を続けて構わないのかという意思確認だった。
しかしレヴィンの口元に張り付いた薄い微笑は、僅かな乱れを見せることもない。
澱みのように穏やかに、汚泥のように柔らかく、何らの葛藤も見せずに頷くと、言う。

「もう、ありませんから」
「え……?」

咄嗟には言葉の意味を図りかね、接ぎ穂を失った森崎にレヴィンがゆっくりと瞬きをして、繰り返す。

「もう、ありません。レヴィン騎士爵家は、既にスウェーデン王国には存在しないんです。
 それで僕は浪々の身となりました」
「それは……」

あまりにも屈託なく。
どこまでも淡々と。

「壊されてしまったんです。そこにあった家も、そこにいた人も。だから、もうありません」


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