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【新隊長】異邦人モリサキ3【始動】
[238]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2013/03/16(土) 11:01:53 ID:???
C「……お前、何を怖がってんだ」
***
「……ッ!!」
その一言がトニーニョに齎した効果は激甚というに相応しいものであった。
地に伏したまま森崎を見上げようとする、険しい顔は変わらぬ。
しかしその表情の意味は、常の懊悩に満ちてみえる渋面では、既にない。
もとより白く、日に焼けて僅かに赤い肌は今や蒼白を通り越し、濁った血の皮の下に澱み溜まるが如く黝い。
見開かれた瞳はふるふると焦点の定まらぬまま眼前の森崎を、あるいはその存在する空間を写そうと彷徨っている。
怒りではない。煩悶ではない。真実を射貫かれた痛みでも、恥辱でも苦衷でもない。
小さく、小さく首を振りながら微かに後ずさりを試みる男の、その顔に浮かんでいたのは、
森崎が言ってのけた通りの、恐怖である。
「……、」
薄い唇が、荒い呼吸の中で何事かを紡ごうと開かれる。
しかしトニーニョの言葉は、声にならぬ。
欠けた歯車を、あるいは磨り減った石臼を無理矢理に回すような、手応えのない掠れた音だけが、森崎に届く。
森崎が、手を伸ばす。
触れれば砂となって消えてしまいそうな音の塊を拾い上げるように。
手を伸ばして、問いかける。
「何だ。何が言いたい。聞くぞ、俺は聞くぞ、トニーニョ」
「……、……、」
しかしトニーニョは森崎の、その立ち姿の影の中でただ首を振り、その影だけを見上げ慄き、
やはり声にならぬ何事かをほとんど悲鳴のように呟きながら、伸ばされた手を、払いのけた。
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0ch BBS 2007-01-24