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【新隊長】異邦人モリサキ3【始動】


[47]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/01(木) 20:02:28 ID:???
「ヴァン=トルキアからの荷がなければ、小麦も塩も手に入りません。
 石材も木材も、布だってセサの国の中で賄うには全然足りません。
 どれだけ高くたって、僕らはそれを買うしかないんです。止められたら、飢えて死ぬだけです」

セサという国の人間は、きっと皆、こうやって笑うのだろう。

「トルキアに人を出せと言われたら、セサの男たちは駆り出されます。
 それが戦でも、麦の刈り入れでも、安い賃金でいいように使われます。
 だけど、仕方ないんです。……女たちよりは、幾分ましですから」
「……」
「僕たちは、そうやってトルキアからお金を落としてもらって、そのお金で
 トルキアの小麦を買います。何も残らないけど、今日を生きていくことはできます」

静かに言ったカイルが、

「……あ」

森崎の神妙な顔に気づいて、再び頬を紅潮させる。

「す、すいません! ぼ、僕、つい変な話を……!」
「いや、聞いたのは俺だからよ」
「あの、それで、手伝いをさせてもらっていたお店の人が亡くなって、それで、
 は、母を食べさせていかなきゃいけなくって、どうせ外に出稼ぎに行くならって」

慌てたように言うカイルを手で制して、森崎が口を開く。

「実入りのいい仕事が、これだったってか」
「は、はい!」

こくこくと、何度も頷くカイル。


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