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【新隊長】異邦人モリサキ3【始動】


[71]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/09(金) 20:00:45 ID:???
諧謔は、しかし少女には通じなかった。
眉筋一つ動かさぬまま、リンダが問う。

「祭典には、おいでになって?」
「ああ、そのつもりだが」
「では、その折にまたお目にかかりますわ。月桂の冠を戴く者として」
「剛毅な話だ」

月桂冠といえば、古来より各種競技の優勝者にのみ贈られる栄光の証だった。
紫水晶色の瞳を細めた笑みは、己が勝利を微塵も疑わぬ自信と自負とに満ちている。
しばらくそうして森崎を見つめていたリンダが、やがて満足したように視線を移した。
はたりと、扇が畳まれる。
それが合図であったかのように動いたのは、黒服の女である。

「ジーン。いいわ、出して」
「へいへい、お嬢様。閉めますよ」

ジーンと呼ばれた女が投げやりな言葉とは裏腹に洗練された所作で馬車の扉を閉めると、
赤の世界が、蒼を纏う少女と共に、白の装飾の向こうへと消える。
外鍵をかけると、御者台に乗り込んだのはジーンであった。
慣れた仕草で手綱をとって、微動だにしない芦毛の馬たちの尻をひと撫で。

「さ、仕事に戻るぜ、お前たち。……どいてくんな!」

愛おしむように口にした前半は、手綱の先にいる馬たちに。
乱暴に言い放った後半は勿論、馬車の傍に立つ森崎に告げたものである。


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