※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ 現行スレ 投票 最新20

1- レス

【新隊長】異邦人モリサキ3【始動】


[95]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/13(火) 19:33:04 ID:???
「一度、見といてほしかったんだよ」
「あ?」
「天才ってやつを、さ」

何を、と問いを重ねようとした森崎の耳に、そのとき飛び込んできたのは男の声である。
森崎の無論知らない、しかし妙に耳に馴染んだ声音。
怒号だった。
それも、感情に任せたものではない。
相手の精神にどう響き、どう動かすことができるかを計算し尽くした大喝。

「……教練か」
「ああ」

聞き覚えがあるのも当然である。
それは森崎自身もまた毎日のように発している種類の声だった。
叩き込む、という言葉の意味を、身体のみならず精神にも浸透させるための大音声。
あるときは限界に近い疲労から半ば強引に奮い立たせ、あるときは無駄な反骨心や自尊心を打ち砕いて
無意識のレベルにまで機械的な反復を刷り込む、ほとんど人格の改造に近いそれは、
日常に生きる人をいくさという非日常へと適応させるための儀式である。
人が己で定めた枷を打ち壊し、環境が厳格に要求する新たな枠をその首に嵌めてやって初めて、
多くの人間は情動の外側で人を殺せるようになる。
裏を返せば、そうでなければ大多数の人は、人の外側に出られない。

「―――、―――ッ! ―――!!」

そして今、人をそうでないものに変えるための声音をその身に受けているのは、一人の少女である。


名前

E-mail



0ch BBS 2007-01-24