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【新隊長】異邦人モリサキ3【始動】
[97]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/11/13(火) 19:37:03 ID:???
「他人の事情に斟酌しねえ。世間知の中で変に賢しくなっちまっていかすかねえ。
手前勝手に相手を振り回して省みねえ。嫌な女さ」
女、とジーンは口にした。
おそらくは一回り以上も歳の離れた少女を、女と評してジーンは続ける。
「それでもオレは目が離せねえ。どうしたって、あのお嬢さんから目が離せねえ。
恩じゃねえ。義理でもねえ。ただ見ていてえから目が離せねえ」
「……」
「ほとんど惚れちまってんのかもな、ハハッ」
最後は冗談めかして言葉を切ったジーンに、しかし森崎は愛想笑いを返さない。
ジーンが、やがて森崎を横目でちらりと見やり、固めた拳で軽くその胸を叩く。
「今日、お前を連れてきたのに深い意味はねえよ。ま、嫁の自慢みてえなもんだと思ってくれや。
お前がこの先、あのハンナってのとどう関わっていくかも知らねえしな。……けどよ」
間は、呼吸一つ分。
「お前とはこれっきりになる気がしねえんだよ。いつか『こっち側』にくる目だって、
まあ、なくはねえと睨んでる。……俺の、当てにならねえ勘だがな」
今度こそ曇りなく、にかりと笑ってジーンがそう言うと、トラックの方へと目を戻す。
「……おっと、最後に通しで走るみたいだな。折角だ、しっかり見てってくれ」
無理やりに連れてきておいて折角だも何もないものだ、と苦笑しながら、しかし森崎の目は
スタートラインへと歩む少女に吸い寄せられていく。
競技者というものは、とその背を見ながら、森崎は思う。
競技者というものは誰しも、その戦場に立つとき、同じ空気を纏うのだろうか、と。
少女の後ろ姿はそれほどに、ハンナのそれと重なって見えたのだった。
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0ch BBS 2007-01-24