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【変化する戦術】Another-CU_6【ロベルトの章】


[699]アナカン ◆lphnIgLpHU :2013/01/22(火) 16:18:06 ID:???

<サンパウロ・クラブハウス寮 ミーティング室>

コンコン…

翼「監督、俺です。」

ロベルト「翼か…入れ。」

翼「失礼します。」

夕食後、大空翼は寮内のミーティング室に呼ばれてやってきた。
先程ロベルトがやって来て、寝耳に水の事である。
試合後のミーティングで総括を終えているため、呼ばれた理由が全く知れないが…
しかしロベルトに呼ばれたとあれば行かない訳にいかない。
立場的な物もあるが、当然信頼ゆえにという所でである。
省18

[700]アナカン ◆lphnIgLpHU :2013/01/22(火) 16:19:08 ID:???

この問いにロベルトは首を振った。
翼はますます首を傾げるしかなくなるが…
ロベルトが何か重要な事を言わんとがしているのだけは理解出来た。
翼は唾を飲み、ロベルトが次に発する言葉を待った。

ロベルト「翼…… 伝説のストライカー、ジャイロの名を知っているか?」

翼「ジャイロ…? 誰だい?」

ロベルト「そうか、知らないか… ジャイロはペレが活躍するより遥か前の世代のストライカーだ。」
省33

[701]アナカン ◆lphnIgLpHU :2013/01/22(火) 16:20:51 ID:???

ロベルト「サイクロンを捕れるGKキーパーは誰も存在しない。
      ジャイロは自らのハンデを補う無敵のシュートを編み出したんだ。」

翼「誰も捕れないシュートか…」

ロベルト「伝説は雄弁だ。 しかしサイクロンがどんなシュートだったかは記録に残っていない。
      今では誰も知らない、誰も撃てない幻のシュートと呼ばれ、伝説として伝えられるのみだ。」

翼「そうなんだね。」

そう頷きながら、しかし翼は何も合点が行っていなかった。 省34

[702]アナカン ◆lphnIgLpHU :2013/01/22(火) 16:22:13 ID:???

ロベルト「お前は一を教えれば十を身に付ける、紛れも無い天才だ。
      今日の試合だけで、遠からずお前は俺の望む選手に成長するだろう。」

翼「ロベルト…」 ホッ

ロベルト「しかし教え過ぎれば、お前は『ロベルトあっての選手』止まりとなってしまう。
      評価だけでなく、選手の本質としてな。 自らどういう存在になるべきか、
      そこが全て俺次第となっては、お前はプロで生きていく事が出来ない。」


翼「………。」


省13

[703]アナカン ◆lphnIgLpHU :2013/01/22(火) 16:23:15 ID:???

ガチャリ

扉を閉め、翼はミーティング室を後にした。
最後のロベルトの言葉… その真意を翼は自分なりに解釈した。
つまりは以前からロベルトが公言していた『俺を越えたければ、俺に教えを請うな。』である。

翼(自らのハンデを知り、そのハンデを覆す技を編み出したスーパーストライカー、ジャイロ。
   ロベルトは『ジャイロのように、何もかもを自らの頭で考え尽くせ』と言いたかったんだ。
   俺のサッカーの土台となっている、ロベルト教えを捨て、一から考えるんだ。) 省9

[704]アナカン ◆lphnIgLpHU :2013/01/22(火) 16:25:33 ID:???

ガチャリ

扉が閉まり、翼がミーティング室を後にした。
翼が自分の言葉に何を思ったか、ロベルトには容易に想像が出来ていた。

ロベルト(俺から卒業しろという意思は伝わった筈だ。 しかし…)

スパーストライカーを目指せ
ロベルトはその言葉に、もう一つの意思が潜んでいた。
そちらは伝わっていない、伝わる筈がない。
そう思っている。

ロベルト「完成されたスーパーストライカー、ジャイロ… いやアルトゥール・フリーデンライヒか。 省16

[705]アナカン ◆lphnIgLpHU :2013/01/22(火) 16:29:27 ID:???

ロベルト(ヴィオラとの試合で、俺は自ら目指すチームの姿を垣間見た。 …垣間見た筈だった。
      だが、確固たると思ったそれは、あの少年に一瞬にして打ち砕かれてしまった。)

一日でも早く、翼は自分(ロベルト)という常識から羽ばたく必要がある、と思わされた。
殻を破る日は一刻も遅らせられない…
ロベルトは自らの見立てが尚も甘かった事を知り、更なる過ちを退けたかったのである。
大空翼という才能を預かった責任として。

省17

[706]森崎名無しさん:2013/01/22(火) 16:36:36 ID:???
 ★その他のモノローグ→ ハートJ
ん? これは「ウィオラとの試合の後に」何かあったってこと?

[707]アナカン ◆lphnIgLpHU :2013/01/22(火) 17:53:54 ID:???

> その他のモノローグ→ ハートJ
> 《ハート》 アナーキーな世界の話
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シーザー「…ったく、どうにもとんだ思い違いをしていたもんだぜ。」

ピンガを注いだグラスを傾けながら、シーザーは部屋で一人、思いに耽っていた。


???『オレの夢はツェペリの血統に挑戦し、勝つことだけだった。
     曾祖父に始まり、祖父も変わらず敬意を忘れなかったツェペリ… 省24

[708]アナカン ◆lphnIgLpHU :2013/01/22(火) 17:55:37 ID:???

その少年に知らされた事実… まさに衝撃、シーザーは驚いた。

シーザー「サイクロンとは黄金の回転に非ず…か。
      まさか消えるシュート≠セったとはな。」

ジャイロの伝説が同属のものと信じていたシーザーにとって、ちょっとした落胆であった。
何度となく耳にした逸話は余りに誇り高く、尊敬の念を絶やす日がなかったのである。
それが単なる勘違いだった……

シーザー(しかし不思議なもんだ。 省32


0ch BBS 2007-01-24