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【変化する戦術】Another-CU_6【ロベルトの章】


[87]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/11/21(水) 18:31:15 ID:???

翼「バビントン、それは俺も考えた。 けれどロングボールは通用しない可能性が大きいんだ。
   相手のキャプテン、三杉淳は6年も前にオフサイドトラップを使いこなしていた。
   だからロングボールはみすみす相手にボールを渡すだけになると思う。」

バビントン「いや、でも…!」

翼「あとは監督が決める事だよ。(そう、ロベルトは当然知ってる事だ。)」

バビントン「………」

翼からの理路整然とした反論を喰らい、バビントンはそれ以上言い返せない。 省21

[88]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/11/21(水) 18:32:25 ID:???

ドトール「それならば私からも一つありますよ。」 スッ

翼「ドトール?」

ロベルト「何だ? 言ってみろ。

ドトール「相手チームのF番…ミハエル・ドノヴァンと言いましたっけ?
      奴は怪我を非常に恐れています、この試合中はもう使い物にならないでしょう。
      ボールを繋ぐにせよ、回収するにせよ、間違いなく狙い目です。」

暗い瞳を光らせ、口許を僅かに釣り上げた笑みを浮かべるドトール。
石崎などは反射的に嫌悪感を覚える話である。
省25

[89]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/11/21(水) 18:33:39 ID:???


・ ・ ・ ・


ロベルト「他にはないか? ……………ないな?」

選手の顔をグルリと見渡しながら、ロベルトは念を押すように確認を終えた。

ロベルトの頭の中はクリーンだった。
雑多に情報が詰め込まれ過ぎ、カオス状態だった昨日までとは違う。
昨日までのあらゆる情報が整理され、見えなかった物が見えている。
それと共に、胸には喩えようもない激しい後悔が渦巻いている。

改めてジョアンの手紙の内容を想い浮かべると、 省20

[90]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/11/21(水) 18:35:34 ID:???

スッ

驚いて反論しようとする翼をロベルトは手の動きで抑えた。
翼は勿論、他のメンバー達も目を見開いて驚くが…
しかしロベルトは反応の一切を無視し、尚奇妙な事を言い出す。

ロベルト「ところでお前達、この試合本気で勝ちたいと思っているか?」

「えっ?」「はい?」「そりゃ…」「当然だよな」

翼「と、当然です! 俺はこの試合、絶対に勝ちたいです!
  (どうしたんだいロベルト? そんなの当然じゃないか…)」
省26

[91]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/11/21(水) 18:36:38 ID:???

―――――――――――――
―――――――――
――――――


ジャイロ「おいお前ら、そろそろ時間じゃねえのか?」

三杉「…ですね。 よしみんな行こう、Forza Fiorentina!」

「「「 Forza Fiorentina!! 」」」

時間いっぱいまで休息を取った、彼らの気合いのおたげびがあがる。
アタッカー陣は体力に懸念を感じながらも、それを吹き飛ばす勢いを込めた。 省42

[92]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/11/21(水) 18:38:08 ID:???

  【サンパウロ(5−3−2)】
−−−@−−− @レナート
−−B−A−− Bワグネス・アマラウ A石崎 了
−E−D−C− Eマリーニ Dマグノ・オリベイラ Cリマ
−−−−−−−
−G−−−F− Gマウリシオ・ペレイラ Fエセキエル・バビントン
−−−I−−− I大空 翼
ー−−−−−J Jジョゼ・タハマタ
−−−H−−− Hチェザーレ・ストラット
−−−−−−−
===◎===
−−−−−−−
−−Q−J−− Q新田 Jブンナーク 省33

[93]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/11/21(水) 18:40:11 ID:???

<エスタジオ・ド・バカエンブー 観客席>

「そろそろだな…」「前半を終えて2点差か」「結構離されたが…こっから逆転してくれるさ」
 「ああ、ツバサとストラットならやるさ」「ドトールも今日は気合い入ってるしな」

選手達が退いて間もなく25分。
ハーフタイム終了が目前となり、サポーターも俄かに騒ぎ始める。
特に今回は追いかける側とあって、互いに励ましを交わす姿が多く見られる。

そのサポーターの中において、異質なほど冷めた目で虚空を見つめる人物がいた。 省19

[94]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/11/21(水) 18:41:17 ID:???

???「現監督とコーチ、それから前監督とコーチの名前まで聞き出せましたよん。」

???「…勿体つけるな。」

???「はいはい。 そのかわり例の件、宜しくお願いしますよ?
     ええと…現監督はアーバックル、コーチはシーザー・ツェペリ。
     そして前監督はシュワーボ・アンザーニ、コーチはジョアン・ウェンガーです。」

???「………」

???「おや、その顔…どうやらお目当ての名前があったようですね?」
省16

[95]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/11/21(水) 18:42:47 ID:???


・ ・ ・ ・


翼「…………」

フィールドに通じる廊下を歩きながら、翼は先程のミーティングを思い返していた。
受けた衝撃は大きく、あの場ではなかなか受け止め切れなかった。
だが内容はシッカリ耳に入っており、こうして内容を反芻している。

サッサと切り替えねばならない事は彼も理解していた。

――――――
―――――――――
――――――――――――― (記憶回想)

翼「待って下さい監督! 一体それはどういう意図なんですか!?」
省7

[96]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/11/21(水) 18:44:48 ID:???

ロベルト「キャプテンだ、このサンパウロのな。 それならばオレは何だ?」

翼「監督は……監督です…。」

ロベルト「そうだ。 ならばお前はオレの指示に従わなくてはならない。
      出来ないというならば交代させるだけの事だ。」

翼「!!」

ロベルト「…………」

翼「…………了解です。」



ロベルト「…………」

翼「…………」



ロベルト「オレはお前に謝らなくてはならない。」

翼「え…」

[97]アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/11/21(水) 18:45:58 ID:???

ロベルト「このままだと、近い将来お前はフィールドで孤立する事になる。」

翼「えっ…! な、何を言い出すんですか?」

ロベルト「それどころか、いずれオレと同じように大怪我をするだろう。」

翼「どういう意味だよロb…! …いや、どういう意味ですか、監督!?」

ロベルト「全てはオレの責任だ。 お前ほどの原石をこうしてしまったのは…」

翼「ロベルト…」

ロベルト「お前は遠からずトップチームに上がり、世界基準の闘いに身を投じるだろう。 省12


0ch BBS 2007-01-24